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【凱旋門賞】有力騎手・調教師情報【解説コラム】

2016年09月26日 15:00

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 ブックメーカー各社で1番人気に推されるポストポンドを管理する英国のロジャー・ヴァリアン調教師は、今、世界で最も勢いのある若手調教師と言っていいだろう。79年生まれでまだ37歳。マイケル・ジャーヴィス厩舎のアシスタントとして英チャンピオンステークスなどを勝ったラクティなどに携わったのち、11年に厩舎を引き継ぐ形で開業すると、初年度からフランスのG1オペラ賞を勝利。14年にはキングストンヒルが英ダービー2着、英セントレジャー優勝と存在感を放つようになった。

 そのヴァリアン厩舎の主戦となっているのがアンドレア・アッゼニ騎手。昨年日本に短期騎乗を果たした。イタリア・サルデーニャ島出身の25歳で、イタリアでデビューした後に、イギリスに拠点を移し、めきめきと頭角を現した。初G1タイトルはイタリアでの12年のリディアテシオ賞で、13年よりヴァリアン厩舎の主戦となると前述のキングストンヒルとのコンビなどで一気にブレイク。その後一時はカタールレーシングと騎乗契約を結んでいたが、現在は再びヴァリアン厩舎などを中心に騎乗し、今年も100勝に到達する勢いで結果を残している。

 

 フランスの無敗牝馬ラクレソニエールを管理するジャンクロード・ルジェ調教師は、調教師としてのキャリアは40年に近く、その間、フランスの年間最多勝記録を何度も更新しているように、フランスを代表する名調教師の一人に数えられている。日本でお馴染みのところでは、G1を6勝した名牝スタセリタや、ヴィクトワールピサの出走した10年のニエル賞などを制し、日本で種牡馬となったベーカバドなどを手がけた。

 ラクレソニエールの鞍上クリスチャン・デムーロ騎手は、現在は日本に拠点を置くミルコ・デムーロ騎手の13歳下の弟で、11年に地方競馬・船橋に所属する形で初の短期免許来日を果たすと、以降は中央競馬に毎年のように短期免許で来日。13年にはアユサンとのコンビで桜花賞を制した。自国では11年に初のリーディングを獲得、翌年も2年連続リーディングとなったが、イタリア競馬の経営不況から徐々に国外へと活躍の場をシフトし、現在はフランスを拠点に騎乗。リーディング上位に顔を並べている。

 愛チャンピオンステークスで惨敗したものの、依然有力馬の1頭とされるハーザンドを管理するダーモット・ウェルド調教師は、アイルランドを代表する調教師のひとり。メルボルンカップ2勝、米ベルモントS、同セクレタリアトSなど、海を渡っての実績も多く残している。2000年代に入ってからは、クールモア勢に圧されるところはあったものの、この1、2年はハーザンド、ファッシネイティングロック、フリーイーグルと相次いで中距離の大物を送り出している。

 ハーザンドとコンビを組むパット・スマレンはこれまでに8回もアイルランドのリーディングジョッキーに輝いている、アイルランドを代表する騎手。大レースの実績も数多く、前述のウェルド厩舎とのタッグではハーザンドのほか、ファッシネティングロック、フリーイーグル、ヴィニーロー(愛セントレジャー4連覇)、グレイスワロー(愛ダービー)など枚挙に暇がない。

 ファウンド、マインディング、ハイランドリールらを管理するエイダン・オブライエン調教師といえば、クールモアのメイン調教師として説明は不要だろう。凱旋門賞もディラントーマスで07年に制している。今年は特に手駒の豊富さでは群を抜いており、どの馬を1番手として使ってくるのかが注目である。

 その1番手の馬に騎乗するだろうと思われるのが、お馴染みライアン・ムーア騎手。ジェンティルドンナ、モーリス、リアルスティールに海外で栄冠をもたらせた一方で、10年の凱旋門賞ではワークフォースでナカヤマフェスタを接戦で下すなど、強力なライバルとしても立ちはだかってきた。昨年からクールモアのエース騎手として契約。当然、ここでも怖い存在となるはず。