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【香港カップ】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2016年12月06日 00:00

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 日本馬は95年のフジヤマケンザンから優勝4回、2着3回。4レース組まれた香港国際競走のなかで最も健闘している。昨年はエイシンヒカリ、ヌーヴォレコルトのワンツーフィニッシュだった。スプリント、マイルは地元香港勢が強く、ヴァーズは時期的に競合するジャパンカップを優先する馬がほとんど。カップの成績が相対的に優れているのはこうした理由による。

 今年のエントリー馬は過去最高の5頭。しかも、イギリスのブックメーカーによれば上位人気4頭は日本馬が占めている。まるで日本国内のレースのようだ。過去10年間に連対した日本馬4頭――アドマイヤムーン、トウケヘイロー、エイシンヒカリ、ヌーヴォレコルト――は、すべてサンデーサイレンスの血を抱えている。パワーが必要なヨーロッパの芝とは違い、香港は日本とさほど変わらない馬場なので、サンデーサイレンスの血は問題なく通用する。むしろ、サンデーのスピードと瞬発力がなければ通用するのは難しい、といったほうがいい。

 不動の1番人気モーリスはロベルト系のスクリーンヒーロー産駒。スクリーンヒーローは、父グラスワンダーよりもむしろ母ランニングヒロインやその父サンデーサイレンスの影響を感じさせる種牡馬で、他にゴールドアクター、ミュゼエイリアン、グァンチャーレ、トラストが重賞を勝っている。モーリスは香港で香港マイル、チャンピオンズマイルと2戦2勝。天皇賞・秋で距離を克服したので2000mも問題ない。まず好勝負に持ち込めるだろう。

 連覇を狙うエイシンヒカリは、前走の天皇賞・秋では12着と大敗してしまったが、逃げ馬は“勝つか大敗か”というタイプが多く、昨年も天皇賞・秋で9着と敗れたあと巻き返しているので、馬の状態さえ問題なければ評価を下げる必要はない。「ディープインパクト×ストームキャット」はニックスで、しかもエイシンヒカリのほかにリアルスティール、キズナが海外の重賞を勝っている。海外向きの血統、といえる。イスパーン賞ではヨーロッパの一線級を相手に10馬身差で楽勝しており、ハマった際の破壊力は凄まじいものがある。エイシンヒカリが120%の力を出してしまうと、いかにモーリスといえども苦戦は免れないだろう。逆に、すっぽ抜けてしまうと惨敗の危険性もある。

 クイーンズリングは4歳秋を迎えてようやく本格化した感があり、府中牝馬S、エリザベス女王杯と連勝した。母アクアリングは仏1000ギニー馬トレストレラの半妹で、母の父アナバーは、ゴルディコヴァ(カルティエ賞年度代表馬でG1を14勝)、アナバーブルー(仏ダービー)、トレヴィセ(凱旋門賞を2連覇したトレヴの母)、アナバンダナ(NZ2歳チャンピオン)と、代表産駒の多くがリヴァーマンのクロスを持つという際立った配合的特徴がある。本馬の母アクアリングもこのクロスを持っている。質の高い好配合馬で、昨年の2着馬ヌーヴォレコルト(エリザベス女王杯2着から参戦)との比較でも見劣らない。

 ステファノスはディープインパクト産駒。今回と同コースで行われた15年春のクイーンエリザベス2世カップでは2着と健闘している。昨年のこのレースでは10着と大敗してしまったが、今回は同じ轍を踏まぬよう仕上げに工夫をしてくるのではないか。実力的には十分通用する。

 地元香港のシークレットウェポンはデインヒル系のスピード型種牡馬ショワジールを父に持つ。母が「モンジュー×シャーリーハイツ」というコテコテの欧州スタミナ血統なので、2000mまで距離をこなしている。ただ、配合的には切れ味が足りず、それがG2止まりという成績にも表れているのではないか。日本馬に割って入る匂いはしない。

 デザインズオンロームはデインヒル系のホーリーローマンエンペラー産駒。14年の優勝馬で、シャティン芝2000mですでに4つのG1を制している。ただ、最近は成績が下降気味で、昨年は4着だった。配合的に日本馬のような切れ味は期待できない。デザインズオンロームと同じく成績は下降気味。すでに8歳馬で多くを期待するのは酷だろう。雨が降ればおもしろい。

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