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【香港マイル】土屋真光の見解

2016年12月10日 14:18

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 昨年、モーリスが制するまで、香港調教馬の独壇場だった香港マイル。その勝ち馬はほぼ例外なく、地元の前哨戦ジョッキークラブマイルを使われてきている。さらに、大半がその前哨戦で上位の成績を残しており、惨敗から立て直してきたのは国際招待のマイルG1競走勝ちの実績があることが共通している。

 今年の前哨戦の勝ち馬は、ローカル4歳限定G1の香港クラシックマイルの勝ち馬ビューティーオンリー。今春のチャンピオンズマイルでもモーリスの4着に好走しているが、国際招待G1を勝ちきるとなると底力に疑問符が残る。ここでは3番手評価としたい。

 前哨戦2着だったロマンチックタッチも、これまでに重賞勝ちの実績はなく、ここでは格で見劣る印象を受ける。勝負に加わったとしても3着までと見るのが妥当だろう。

 そこで敢えて一発を期待したいのが、前哨戦7着だったヘレンパラゴンである。フランスからの転入馬で、移籍前は2016年のフランスダービー5着、ジャンプラ賞3着とG1タイトルはないものの、実績を残してきた。香港に移籍後は12戦4勝。このうちには芝1800mの重賞、G3プレミアプレート勝ちを含んでいる。格では見劣らない。前哨戦は直線で馬群に突っ込んだところ、完全に行き場をなくし、詰まり通しで脚を余したままで2馬身差の7着に敗れている。引き続き鞍上はヒュー・ボウマン騎手。

 2番手には、前哨戦3着のサンジュエリーを挙げる。今春、芝1600mの香港クラシックマイルと、芝1800mの香港クラシックカップの4歳限定のG1を2勝。三冠目の香港ダービーこそ2000mの距離が合わず7着に敗れたが、続く芝1400mのG3プレミアカップを勝利して、古馬相手でも重賞勝利を挙げてみせた。昨シーズンの香港最優秀マイラーに選出。今シーズン初戦のシャティントロフィーはスローペースが合わずに6着、前走は6番手から伸びて3着となった。溜めて切れる馬ではなく、速い流れに乗って、直線で抜け出す競馬が身上のタイプ。ビューティーフレームが引っ張る展開はベストだと管理するジョン・サイズ調教師は語る。最優秀マイラーの意地を見たい。

 3番手は上述のようにビューティーオンリー。トライアルホースの懸念もあるものの、ノーチャンスではない。

 問題はかつてのアジア最強マイラー、エイブルフレンドの取捨である。昨年の香港マイルのレース後に故障が判明。今年1月にオーストラリアに送られて、8月まで休養に充てられた。傷も癒え、帰国後、香港マイルを目標に調整が再開したのもつかの間、調教時に他の馬のギャロップが目前をかすめた際に大きく暴れ、ラチを飛び越えて再び外傷を負ってしまい、調整に遅れを生じた。

 管理するジョン・ムーア調教師は「大型馬だし、本調子にまで仕上げるために、もう1走したいのは偽らざる本音。ただ、体調自体は問題ないし、体もしっかり絞れている」と、枠順確定前は手応えを見せていた。しかし、抽選で決まったのは不利とされる大外14番枠。「テリブル!」と天を仰ぎながら、「正直、どうなるか走らせてみないと判らない」と、珍しく弱気な姿勢を見せた。これがブラフか否か。

 日本馬3頭は、それぞれここで勝ち切るにはワンパンチが足りない。伏兵までの評価にとどめたい。

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