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【香港クイーンエリザベス2世カップ】土屋真光の見解

2017年04月28日 11:38

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今年は8頭立てと少頭数の割りに、実力の比較が難しく、また地元の実績馬も揃っていることから、難解なレースとなっている。そんな中、海外諸国のブックメーカーでは、軒並みネオリアリズムが1番手の評価。昨年の札幌記念でモーリスを下し、そのモーリスが香港カップを圧勝したことに加え、ドバイターフでもヴィブロスとのコンビで世界を驚かせた地元のエース、ジョアン・モレイラ騎手を配したこと、さらに逃げ馬不在で、展開を作れることが大きく評価されているようだ。

 確かに、モレイラ騎手が手綱を取っただけで、同じ馬でも3~5馬身は結果が違っているといっても過言ではない。仮に他の騎手では、ヴィブロスでのドバイの勝利は難しかったのではないかと思える。

 加えてネオリアリズムの調整過程も、初遠征だった昨年の香港マイルと比べて、格段に順調であることがうかがえる。香港マイルでは現地に到着してからやや調整に遅れが生じ、調教も同厩舎のほかの2頭(サトノクラウン、モーリス)とは別メニューで行われた。今回は現地に日曜日に到着して、火曜日には馬場での調整、木曜日に追い切りが行われた。

 とはいえ、地元のG1実績馬を差し置いて、日本でG1未勝利馬を1番手に評価していいものだろうか。中山記念は最高に上手く立ち回っての勝利。人気の差し勢は展開に翻弄された。より、スローになるのなら、決め手勝負でやや分が悪いのではないだろうか。

 そこで1番手は昨年の勝ち馬ワーザー。今シーズンはシーズン直前に後肢の負傷で始動が遅れ、復帰戦は今年1月のマイルG1スチュワーズCから。ここをひと叩きして臨んだ2000mのG1香港ゴールドカップでは、勝負どころで完全に前が塞がり、一旦大きく下げる不利がありながら、ゴール前できっちりと差し切った。スムーズだったならば、もっと余裕があったと考えられる。香港の天候は今週はやや湿り気が多い予報で、重い馬場が得意なこの馬にはうってつけ。加えて、鞍上はオーストラリアの名牝ウインクスの主戦を務めるなど、今世界で最も脂が乗っているとされるヒュー・ボウマン騎手。ネオリアリズムの逃げ粘りをすんなり許すことは考えにくい。

 2番手以下は混戦と見る。その中で2番手とするのは昨年の香港カップでモーリスの2着だったシークレットウェポン。G1勝ちはないものの、今シーズンは芝2000mに限れば[1-1-1-0]と崩れていない。今が充実期であり、前走の香港ゴールドカップ3着後は無理にレースを使わずに、ここを照準にされた点も好感が持てる。スローからの決め手比べもこの馬には有利。

 3番手にはフランスから遠征してきたディクトン。この時期にフランス調教馬がドバイを使わず、こちらに矛先を向けてきたのは、オーナーが香港系のロバート・ウン氏というのが理由だからだろう。ウン氏はこれまでにもダリアプールやエイントヒアなどを所有している。とはいえ、実績的にもG1仏2000ギニーとG1仏ダービーでそれぞれ3着としているように見劣りはしない。マイル路線を中心に使われていたが、ここでチャンピオンズマイルではなく、こちらを選択してきた点も勝算があってこそだろう。鞍上のオリビエ・ペリエ騎手の大レースでの強さも脅威。

 以下では、未知の魅力で4歳馬パキスタンスター。追い込み一辺倒の脚質だが、超スローなら追走も楽になるはず。はまれば後半400m21秒台の決め手が炸裂する。もう1頭、一昨年のこのレースの勝ち馬であるブレイジングスピードも。ペースというよりは、ゴチャつく流れに左右されやすいタイプ。2着だった前々走の香港ゴールドカップは7頭立て、昨シーズン勝利したG1チャンピオンズ&チャターCも7頭立てで、8頭立ての頭数はこの馬にとって歓迎できる要素だろう。

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