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日本馬が2勝!香港で響いた2度の君が代

2016年12月12日 12:00

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 雲間から差す香港の日差しは、12月だということを感じさせないほどに強い。それでもこの日の気温23°cという数字以上の熱を感じたのは、香港競馬最大のイベント香港国際競走において、これまでで最も多い10万人以上の競馬場に訪れた人々の熱であったのかもしれない。

 1211日に開催された香港国際競走には、地元香港のほかに、日本、イギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アメリカ(注・ピュアセンセーションは出走取り消し)の8か国から競走馬が参戦し、その舞台、シャティン競馬場には、第1レースがスタートする1225にはすでに多くの観客が詰め掛けていた。

 競馬場に集った人々は、日本と同様に、熱心に馬券検討に打ち込むオールドファン、小さな子供を引く親子連れ、5、6人の若者たちのグループなどさまざま。さらに、国際競走デーに相応しく自らもドレスアップすることでこのイベントを楽しんでいる紳士淑女たち。そして13頭が参戦した日本馬を目の前で応援すべく観戦ツアーで香港を訪れた日本の方々と、まるで「人種のるつぼ」とも言われる香港を象徴するかのような光景がそこにはあった。

 4つのG1競走の幕開けを飾るG1香港ヴァーズの発走が1400。出走馬がパドックに登場する頃には、すり鉢状になったそのパドックの周りを何重もの人たちが取り囲み、熱い視線が注がれていた。

 そのG1香港ヴァーズに優勝したのは、日本のサトノクラウンだった。最後の直線では、断然の1番人気となったアイルランドのハイランドリールとの差を一完歩ごとに詰め、ゴール手前できっちりと捉えて、初のG1タイトルを海外で手にした。レース後の表彰式では、この日、最初の君が代が競馬場に流れた。

 続くG1香港スプリントはエアロヴェロシティが勝利して復活を遂げ、G1香港マイルではビューティーオンリーが新たな香港マイル王の座に就いた。どちらも地元香港勢が1着から4着までを独占する意地を見せ、詰め掛けた多くの地元ファンの期待に応えた。

 G1香港マイルが終了した頃には太陽が雲に隠れたものの、競馬場内はますます熱気を帯び、グランドスタンドからの歓声とともにスタートが切られたメインのG1香港カップは、日本のモーリスが優勝。現役最後のレースでこれまでのベストパフォーマンスともいえる3馬身差の圧勝劇を演じて、再び君が代が競馬場に響いた。

 モーリスはこれで昨年12月の香港マイル、今年5月のチャンピオンズマイルに続いて、香港のG1を3連勝。日本を含めると6度目となるG1制覇を果たし、最高のかたちで競走生活を締めくくった。そして、日本馬も昨年に続いて香港国際競走で2勝を挙げるという素晴らしい成績を収めた。

 香港国際競走はモーリスの優勝で幕を閉じたが、この日のシャティン競馬場のレースはまだ終わらない。その後にはかつて香港国際競走で活躍した日本馬の名がつけられた条件クラスの2つの競走(ロードカナロアハンデキャップとエイシンプレストンハンデキャップ)が組まれていた。

 そして、最終10レースのエイシンプレストンハンデキャップが発走した1750頃には、すっかり日が落ち、すでにシャティン競馬場の照明に火が灯されていた。しかし、最終レースが終わった後もグランドスタンドの席を立とうとするお客さんの数は少ない。この日の掉尾を飾る花火ショーを楽しみに待つ人たちなのだろう。

 そうは思いながらも、ターフビジョンに映し出されたレースリプレイを見つめる真剣なまなざしには、今年9月の新シーズンから国際パートI国入りを果たした香港競馬をさらに盛り立てていこうとする、香港の競馬ファンの熱い思いが含まれているように感じてならなかった。

(サラブレッドインフォメーションシステム 伊藤 雅)