凱旋門賞 特別インタビューvol.03「サトノダイヤモンドは馬主人生で最高の馬」オーナー 里見治

オーナー 里見治

凱旋門賞 特別インタビューvol.03「サトノダイヤモンドは馬主人生で最高の馬」オーナー 里見治

取材:インターナショナルスポーツマーケティング

写真:倉元 一浩

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今年はサトノダイヤモンド(牡4歳)、サトノノブレス(牡7歳)の2頭が、日本馬初制覇を目指して凱旋門賞(10月1日、シャンティイ競馬場)に挑戦する。『JRA-VAN Ver.World』では凱旋門賞特別インタビュー第3弾として、2頭を所有する里見治オーナーに凱旋門賞に向けて意気込みを語ってもらった。(取材日:2017年8月30日)

「サトノダイヤモンドだけは絶対に買おうと思っていた」

改めてとなりますが、昨年の菊花賞でのG1初勝利から現在までで、海外も含め実に6つのG1を勝利しました。これまでの積み重ねが一気に実を結んだ形でしょうか?

「結果としてそういうことでしょうね。最初に馬主になったのは25年以上前ですが、その当時は1年に1頭買うか買わないかで、ほとんど競馬場にも足を運んでいませんでした。それからあるキッカケがあって、本格的にやり始めたのが12年前くらい。なので実際に馬が走り始めたのは10年ほど前ですね」

その後に池江泰郎元調教師がアドバイザー役となったことは、大きな分岐点となりましたか?

「本当にそこからです。アドバイザーになってもらって最初に見てもらったのが、サトノノブレスなんです。そのあとにサトノアラジンときて、そこから成績が上がってきましたね。特にディープ(インパクト)の仔を見る目が、池江先生は全然違います。ディープの良いところを100%把握してますし、その良いところが仔に出ているかどうかを見る目は、本当にすごいなと思います」

サトノダイヤモンド(菊花賞、有馬記念)、サトノクラウン(香港ヴァーズ、宝塚記念)、サトノアラジン(安田記念)、サトノアレス(朝日杯FS)と実に4頭のG1ホースが誕生しました。

「本当に自分でもビックリです。ダイヤモンドについては、セレクトセールで下見をした時から“この馬だけは絶対に買おう”と思っていましたから、最初から相当な期待をしていました。

クラウンは私が初めて見たときにピンときた馬なんです。正直に言って私自身はそれほど馬に詳しくないのですが、(アドバイザーの)池江泰郎さんに見てもらって“これは良い”ということで手を挙げました。血統も産駒が日本であまり走っていなかったですし、まさかG1を2つも取る馬になるとは思っていませんでした。昨年の香港ヴァーズでハイランドリールを負かしたときは本当にビックリしましたし、ギリギリの勝負だったので興奮しました。

アラジンも池江先生に見てもらって良いという話で、本当はもっと早くG1を取れると期待していたんです。これまで競馬で前が詰まるなど不運もありましたが、安田記念では力を出してくれました。勝った時は嬉しさ半分、ホッとした気持ち半分でしたね。

アレスは私が持っていたサトノアマゾネスの仔で、G1を勝つとは思っていませんでした。朝日杯FSではあまり人気もなかったですし、枠も17番だったのでちょっと厳しいなと思っていましたから、勝ったときはビックリしましたね」

今年はここまで(8月30日現在)で個人馬主としては賞金トップ、勝率や連対率も高いですね?

「阪神大賞典、安田記念、宝塚記念などビッグレースを勝ってくれたことが、賞金獲得額につながっていると思います。ただ、残念ながら2歳馬はまだ1頭(8月30日現在)しかデビューしていなくて、それも2着、2着なんです。今後デビューする馬がどうかと思っていますが、サトノエターナル、アイランドファッションの仔(サトノソルタス)、シャムロッカーの仔(サトノグロワール)など期待している馬は多くいますよ」

「有馬記念に勝てば凱旋門賞に行こうと」

そうした良い流れの中でいよいよ凱旋門賞が迫ってきましたが、意気込みを教えてください。

「サトノダイヤモンドには、かなり期待しています。ただ、エネイブルという3歳牝馬でとても強い相手がいますね。しかも斤量の差(4.5キロ差)もありますので、その辺がどうなるかなと思っています」

サトノダイヤモンドもブックメーカーで上位人気に推されていますが?

「それなりに評価して頂いているのかなと感じています。オルフェーヴルの2着2回など、日本馬には過去の実績がありますから」

サトノダイヤモンドの強さは、里見オーナーから見ていかがでしょうか?

「これまでの馬主人生で200頭以上を買ってきましたが、その中でも最高の馬だと思っています。まずはとても頭が良いですね。ジョッキーの意のままに走ってくれますし、入れ込んで行きたがることもありません。有馬記念では8番手くらいから特に押していかなくても、勝負どころでキタサンブラックの後ろにすっとつけましたよね。自在性に優れ、それでいて最後の脚もありますから。余計な力を使わないので安定感がありますし、海外でも十分やれるんじゃないかと思っています」

宝塚記念をパスして、凱旋門賞に照準を絞ってきました。

「実は有馬記念の前から“有馬記念に勝ったら凱旋門賞に行こう”と、(池江泰寿)調教師とも話をしていたんです。ですから今年は、凱旋門賞に照準を合わせてどのレースを使うかを決めてきました。池江調教師は、フランスの2400メートルはとにかくタフだと言っていて、日本で走らせるなら長距離を使おうと。そこで距離をこなせるのならば、フランスでも大丈夫という計算のもとで、阪神大賞典と天皇賞(春)を走りました。宝塚記念を使う、使わないについても調教師にお任せしていました。正直、私としては(優勝した)クラウンもいましたしね(笑)。フォワ賞は凱旋門賞と同じコースと距離ですから、強めの調教くらいの気持ちで走って、本番に照準を合わせてもらえればいいと思います」