クイーンエリザベス2世カップ

Queen Elizabeth II Cup

2017/4/30(日)17時35分発走 ※発走日時は日本時間

シャティン競馬場

見どころ

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(photo by Kazuhiro Kuramoto)

“優勝請負人”騎乗でネオリアリズム海外G1制覇なるか
少頭数で地力がモノを言う一戦に

レース史上最少の8頭で争われることになった今年の香港クイーンエリザベス2世C(QE2C)。ゲートから1コーナーまでの距離が短く、外枠が不利なことで知られるシャティンの2000mだが、レースの距離が2000mに固定された1997年以降では8番ゲートが最多の5勝を記録している。今年に限っては「大外有利」とさえ言えそうなデータもあり、枠順不問の地力がモノを言う一戦となりそうだ。

地力という面では前年の覇者ワーザー(香港)が頭ひとつ抜けた存在。レーティング124は今回の出走メンバーの中で次位のシークレットウェポン(香港)に5ポンド(約2.5kg)差をつけている。ハンデ戦なら57.5kgと55kgの力関係が同斤で戦うと考えれば有利なのは明白だ。距離を微妙に変えながら、同じようなメンバーが繰り返し対戦してシーズンを送る香港では、レーティングの信頼性もそれなりに高い。8頭立てなら紛れの心配は少なく、ワーザーが中心と見て間違いないだろう。

日本から単騎参戦のネオリアリズムはレーティング117で4位タイ。ワーザーと7ポンド(3kg強)は大きな差と認めざるを得ない。ただ、遠征馬の中では首位のうえ、117で並ぶ地元・香港のブレイジングスピードは2015年のQE2C優勝馬。例年なら勝ち負けの実力を備えているとも考えられる。何よりも、地元のトップジョッキーであるJ.モレイラ騎手を確保できたことは大きい。香港ヴァーズ(サトノクラウン)、ドバイターフ(ヴィブロス)で日本調教馬を勝利に導いた“優勝請負人”なら、何かを起こしてくれそうな期待が膨らむ。

ブレイジングスピードは2走前に今回と同舞台の香港ゴールドカップで、優勝したワーザーと短アタマ差の接戦。3/4馬身差の3着はシークレットウェポンだった。当時は7頭立て(競走中止1頭)と頭数が今回に近く、走破時計は良馬場で2分3秒78と遅かったが、従来のQE2Cで最少頭数(9頭)の2010年も、良馬場で2分4秒97とレース史上最も時計を要している。双方の比較から今年のQE2Cもスローペースが濃厚で、ゴールドCの上位3頭には引き続き要注意。ネオリアリズムは逃げも含めて先行力を武器にできる。

遠征馬で唯一の国際G1勝ちがある豪州のザユナイテッドステイツも不気味。昨年の豪G1ランヴェットステークス(芝2000m)では、上がり勝負の展開で最後方から内を突き、ハウラキやクライテリオンといったトップホースを撃破している。前走の豪G1クイーンエリザベスステークスでは2番手追走と自在性もあり、ネオリアリズムにとってうるさい存在となることも。フランスのディクトンは昨年の仏ダービーと仏2000ギニーでともに3着だが、クラシック後は3戦未勝利。ダービー2着のザラックはドバイターフでヴィブロスに完敗しており、G1レベルでは力不足か。

2014年の優勝馬デザインズオンロームはレーティング118で3位につけているものの、最近5戦とも6着以下と元気がない。これなら4歳馬パキスタンスターの鮮度に注目したい。QE2Cと同舞台の香港ダービーでは2着に惜敗したが、香港クラシックマイル、香港クラシックカップと合わせて4歳三冠を達成したラッパードラゴンは、すでに古馬のG1ホースに完勝して実力通用を証明している。出足がつかない一方で末脚の爆発力では随一だけに、「超」がつくほどのスローペースまであり得る少頭数は逆に好都合ではないか。