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【クイーンエリザベス2世C】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2018年04月25日 11:00

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 昨年2着のパキスタンスターが今年もエントリーしてきた。当レースの近年の成績を見ると、ヴィヴァパタカとミリタリーアタックが3回、カリフォルニアメモリーが2回連対している。過去に好走した馬の信頼性が高いレースなので侮れない。

 ドイツ生まれの香港調教馬で、父シャマーダルは仏ダービーなど7戦6勝の成績をあげた名馬。種牡馬になってからはダーレーのエース格といえる成功を収めている。日本で走った産駒の芝連対率は29%と、軽い芝に対する適性も上々だ。香港では他に2014/15年の年度代表馬に選ばれたエイブルフレンド(G1を4勝)を出している。

 前走のチェアマンズトロフィー(香G2・芝1600m)がそうだったように、マイル戦では道中置かれてしまうので、ゆったり流れる2000mぐらいのレースのほうがいい。昨年のこのレースを最後に4戦して馬券に絡んでいないが、長期休養明けで馬体重が19キロ増だった3走前の香港ゴールドカップ(香G1・芝2000m)は、スタートで出遅れて最後の直線で進路を立て直す不利がありながら小差4着。実力のあるところを見せた。2000mの今回は巻き返し可能だろう。

 タイムワープはイギリス生まれの香港調教馬。昨年夏から波に乗り、暮れの香港C(香G1・芝2000m)ではこの路線の王者ワーザーに2馬身1/4差をつけて逃げ切り勝ちを収めた。年が明けて1月のスチュワーズC(香G1・芝1600m)は出遅れて自分の競馬ができず10着と大敗を喫したものの、2月の香港ゴールドカップ(香G1・芝2000m)は持ち前のしぶとさを発揮して逃げ切った。勝ちタイム「1分59秒97」は香港競馬史上初めて芝2000mで2分の壁を破るものだった。4月のチェアマンズトロフィー(香G2・芝1600m)はオーバーペースで逃げバテて10着。前走の疲れもあったのかもしれない。近走は1600mで大敗して2000mではキッチリ勝つ、という成績なので、2000mの今回は前走の凡走を度外視したい。

 ピンハイスターはニュージーランド生まれの香港調教馬。前走の香港ダービー(芝2000m)を含めて年明けから4連勝と勢いがある。香港ダービーはグレード格付けこそないものの、香港における4歳最強馬決定戦で、2000年以降、ヴェンジェンスオブレイン(05年)、アンビシャスドラゴン(11年)、デザインズオンローム(14年)、ワーザー(16年)が香港ダービー→クイーンエリザベス2世カップの連勝を成し遂げている。昨年の香港ダービー2着馬パキスタンスターは当レース2着。同馬に先着して香港史上初の4歳三冠を達成したラッパードラゴンと比較しても、ピンハイスターの実力は劣らないと思えるだけに、ここでも通用するだろう。

 父ノムドゥジューはモンジュー産駒で、「サドラーズウェルズ系×ロベルト系×ヴェイグリーノーブル系」という重厚な血統構成。現役時代にオーストラリアンダービー(豪G1・芝2400m)を勝った。ピンハイスター自身はサドラーズウェルズ=フェアリーキング3×3・4という異様な全兄弟クロスを持っている。凱旋門賞馬エネイブル(サドラーズウェルズ3×2)に匹敵する濃度だ。

 特殊な配合の影響なのかケタ違いの末脚を武器としており、次代の香港競馬を担う大物ではないかとの予感を抱かせる。前走の香港ダービーは馬群の最後方で脚をため、直線で末脚を爆発させて差し切り勝ち。後ろから行く馬なので毎回のように馬群をさばくロスがある。それでもわずかな隙があればこじ開けて突き抜けてしまうのだから強い。今回は少頭数なので競馬はしやすいだろう。

【栗山求の最終見解】

 ダンジグは世界で最も父系シェアの高い血で、デインヒルやグリーンデザートを通じてサイアーラインを大きく発展させている。当レースにも実績があり、過去10年間の連対馬20頭中9頭が父または母の父にこの系統を持っている。また、15年の優勝馬ブレイジングスピード、16年の優勝馬ワーザーはサドラーズウェルズを持っている。ダンジグとサドラーズウェルズのどちらか、あるいは両方を持つことが最近のこのレース向きの血統といえる。

 日本は世界の趨勢とは関係なく、サンデーサイレンスやキングカメハメハを中心とした独自の血統世界を構築し、このレースでも過去10年間で連対馬を3頭出している。内訳は2勝(ルーラーシップ、ネオリアリズム)、2着1回(ステファノス)。したがって、このレースと相性のいいダンジグやサドラーズウェルズを持っていないことはマイナスにはならない。

 アルアインは昨年の皐月賞馬。父ディープインパクトは15年の2着馬ステファノスの父でもある。前走の大阪杯(G1)は強豪相手に3着と力のあるところを見せた。パワーがあるので洋芝もこなすタイプ。ベストの2000mなら大崩れすることはない。

 ダンビュライトはアメリカジョッキークラブカップ(G2)の勝ち馬。前走の大阪杯はうまく好位で立ち回ったもののラストの伸びを欠き6着。父ルーラーシップは12年にこのレースを勝っており、コース適性は高いと思われる。ただ、本当に強くなるのはもっと先ではないか。現段階では伏兵の1頭だろう。

 日本勢2頭はスピードの持続力を武器としており、切れ味勝負では分が悪い。そうした決着になりやすいレースだけに今年は香港勢を上に見たい。なかでもピンハイスターの瞬発力は魅力的だ。どんな競馬を見せてくれるのか興味は尽きず、期待に胸が躍る。

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