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【クイーンエリザベス2世C】土屋真光の見解

2018年04月27日 13:00

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 今年のクイーンエリザベス2世カップは昨年に続いて8頭の少頭数。これまで、ワーザーブレイジングスピードデザインズオンロームミリタリーアタックなど、リピーターの多いレースであったが、今年に関しては、昨年に引き続いて出走するのは1頭のみと、例年とはやや異なった様相となっている。

 木曜日に枠順が決定し、それが反映された国外ブックメーカーの人気は、香港ダービー馬ピンハイスターが1番人気で、差なく昨年の香港カップの勝ち馬タイムワープが続き、3番手に日本のアルアインと、昨年のこのレースの2着馬パキスタンスターが並ぶ。ダンビュライトはその次の評価だ。ピンハイスタータイムワープの差は、ピンハイスターが3番枠、タイムワープが7番枠という枠順が少なからず影響していると思われる。おそらく、香港での人気も、同じようになるのではないか。

 展開的にはタイムワープが逃げるのだろう。問題は誰がこの馬に鈴をつけにいくかだ。タイムワープは溜め逃げするタイプではなく、香港では珍しいスピードに乗って2000mを押し切るタイプの馬だ。戦績から考えればダンビュライト、アルアイン、ディノーゾが2番手集団に続きそうだが、敢えて日本の2頭が競り掛けに行くことは考えにくいし、ディノーゾタイムワープと馬主同士が親子であるため、それはもっと考えにくいところだ。

 では、タイムワープがそのまま押し切るのか。ここでは強気に「NO」と考える。

 実はタイムワープ自身が本調子にないのではないかという疑いの目を持って見ている。2走前の香港ゴールドカップで、香港競馬史上初めて2000mの2分切りを果たしたが、続く前走のマイルG2チェアマンズトロフィーでは、同じように気持ちよく先行しながら、直線ではパッタリ止まってしまった。これだけなら、距離不適と、単純に前走だけがレコードの反動のようにも思える。しかし、今回のレースに出走する香港調教馬6頭のうち、5頭出走した先週金曜日のバリアトライアル(実戦形式調教)に、タイムワープだけが出走しなかったのである。木曜日朝に行われた追い切りも、比較的びっしり仕上げるアンソニー・クルーズ厩舎にしてみれば、かなり軽かったような印象を受けた。本調子でないとしたら、平均ペースで逃げた場合、早めに日本の2頭につつかれるはず。アルアインはむしろ引っ張ってもらった方がいいタイプだけに、この流れに乗じることも可能だ。逆にスローに落とし込んでしまったならば、終いの切れ勝負では分が悪く、強力な追い込み馬の格好の的になる。どちらにしても今回は厳しいのではないかと見る。

 そこで、1番手にはピンハイスターを挙げる。香港ダービーで見せた上がり4ハロン44秒9は驚異的な末脚。560kgになろうかという大型馬で、それでいながら操作性は高く、どこからでも競馬ができる強みがある。また、管理するジョン・サイズ厩舎のパターンとして、レース1週前にバリアトライアルを行うのであるが、このレースに向けてはその前の週にも行っており、2週連続で実戦形式の調教を行ってきたということで、それだけ調子がいいのだと判断できる。

 2番手にはパキスタンスター。昨年のこのレースのあとに出走したプレミアプレートのレース中に、まさかの競走拒否を起こし、それが解消されたと思われた前走のチェアマンズTでも再度その悪癖を発露させてしまった。この情報だけなら単純に危険な人気馬と考えられるが、逆に日本ではこのために人気を落とすはず。実力は疑いようがなく、また、先週のバリアトライアルに出走した際は、なんと逃げの手に出たほど、実は前に行けるスピードも兼ね備えている。さらに、今回は1番枠。無理に後ろに控える必要もなく、また、馬群でレースを進められれば、問題となる向こう正面の残り1500mの地点も、きっちりと走り抜けられるだろうと考えた。

 3番手に日本のダンビュライト。ここで敢えてアルアインとしなかったのにも理由がある。木曜日に2頭ともに芝コースで追い切られる予定だったが、アルアインパキスタンスターよろしく調教拒否を起こしてしまったのだ。苦肉の策で、直線1000mの引込み線を活用し、芝コースをゴールから離れる向きに走ることで応急処置がなされたが、これが追い切りとして本当に意味があったのか疑問に感じられる。ダンビュライトも、騎乗予定のトミー・ベリー騎手が火曜日のバリアトライアルで騎乗馬が転倒、負傷してしまい、水曜日のハッピーバレー開催も騎乗を自重していた。ただ、仮に別の騎手に乗り変わることがあろうがなかろうが、テン乗りであることには変わりはない。アクシデントがあった馬の中ではもっとも軽微な馬だといえる。

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