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【世界の馬主紹介 Vol.5】ニアルコスファミリー

2018年08月22日 14:30

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ギリシャの船舶王スタヴロス・ニアルコス(1909~1996年)が作り上げた馬主・生産組織(現在の名義としてはニアルコスファミリー、フラックスマンステーブルズアイルランド、フラックスマンホールディングスなど)。現在は娘のマリア、孫のエレクトラがその中心となっており、フランスを中心にイギリス、アイルランドにも馬を置く。

スタヴロスは1970年代に本格的に競馬に参入。所有した最初の名馬は、アメリカのキーンランド7月セールで1歳馬としては当時史上2番目の高値となる130万ドル(当時約2億6000万円)で購買したヌレイエフ。3戦2勝で引退した同馬はデビュー戦でG3トーマスブライアン賞を制し、G1英2000ギニーでも1位で入線(進路妨害で失格)。種牡馬としてはさらに輝き、フランスで2度チャンピオンサイアーになった。

自家生産馬による最高傑作といえるのがそのヌレイエフの娘にあたるミエスク。G1英1000ギニー、G1仏1000ギニーを制したほか、G1ジャックルマロワ賞、G1ムーランドロンシャン賞、G1ブリーダーズカップマイルはそれぞれ連覇してG1を10勝。母としてもG1仏1000ギニーとG1仏オークスを制したイーストオブザムーン(自家生産馬)、G1仏2000ギニーやG1ムーランドロンシャン賞に勝ち、種牡馬としてエルコンドルパサーやキングカメハメハなどを送ったキングマンボ(自家生産馬)などを産んだ歴史的な名牝だ。

そのほか、G1凱旋門賞をバゴで制したほか、G1仏ダービーは4勝(エルナンド、ドリームウェル、スラマニ、スタディオブマン)、G1仏オークスは4勝(ノーザントリック、イーストオブザムーン、ディヴァインプロポーションズセンガ)。ほかにもG1モルニー賞やG1サラマンドル賞に勝った名種牡馬マキャベリアン、G1仏2000ギニー馬ヘクタープロテクター、G1BCマイルのスピニングワールドシックスパーフェクションズなど自家生産馬で数々のビッグレースを制覇している。

早くから日本に目を向け、日本産馬のシーヴァでは1999年にG1タタソールズゴールドカップを勝って、日本産馬として初の海外G1制覇を記録。2014年には同じく日本産馬のカラコンティでG1仏2000ギニーとG1BCマイルに優勝し、2018年にはディープインパクト産駒のスタディオブマンでG1仏ダービーを制している。フランスでの主戦騎手はS.パスキエ

近年のG1勝ち
2019年
ムーランドロンシャン賞(フランス):サーカスマキシマス
セントジェームズパレスS(イギリス):サーカスマキシマス

2018年
仏ダービー(フランス):スタディオブマン
愛1000ギニー(アイルランド):アルファケンタウリ

2017年
英インターナショナルS(イギリス):ユリシーズ
エクリプスS(イギリス):ユリシーズ
仏オークス(フランス):センガ

2016年
カナディアンインターナショナルS(カナダ):イラプト

文:秋山 響(TPC)