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【凱旋門賞】土屋真光の見解

2018年10月05日 16:00

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 今年の凱旋門賞をより難儀にしているのは、新装となったパリロンシャンのコースと、陣営も一喜一憂する天候および馬場状態である。

 まず、良馬場を希望しているのはシーオブクラスタリスマニックヌフボスク、逆に渋った馬場を歓迎したいのがデフォーウェイトゥパリスクリンチャーといったあたり。週末に向けて天気もどっちつかずのため、どちらとも絞りづらいのが現状だ。

 加えて、有力馬にそれぞれエクスキューズ(言い訳)がつくという点だ。例えばエネイブルは今年は膝の故障のため、わずかに1走のみ。その1走も1か月前のオールウェザーの4頭だてのレースだった。異なる2つの競馬場で凱旋門賞を勝てば、あとにも先にもない快挙となるが、順調でも難しいものを、順調さを欠いてとなるとどうだろうか。

 ここで、今年ここまでパリロンシャンで行われた2000m以上のG1を振り返ってみる。

 まず、こけら落としの芝2100mのガネー賞は父フランケルのクラックスマンが制した。2着のレンズデーは父がメダグリアドーロ。3歳牝馬限定芝2000mのサンタラリ賞はシユーニ産駒で母の父がケープクロスのローレンスが勝利。3歳牡牝で芝2400mのパリ大賞はガリレオ産駒のキューガーデンズが勝ち、2着はマスタークラフツマン産駒のヌフボスクが入った。同じ距離の3歳以上牝馬限定のヴェルメイユ賞はドバウィ産駒のカイトサーフが勝ち、2着がガリレオ産駒のマジックワンドだった。

 もちろん馬自身の力もあってこそだろうが、血統的にはガリレオの血を引く馬の好走が目に留まる。クラックスマンの父フランケルもガリレオ産駒で、G1ではないが、フォワ賞もガリレオ産駒のヴァルトガイストが勝利している。ガリレオ産駒といえば一昨年の凱旋門賞でも上位3頭独占したことも記憶に新しい。多少強引ながらも、今年も同じような傾向になるのではないかと読んでみる。

 そこで1番手は、馬場実績もあり、前走で英セントレジャーを勝った勢いも踏まえて、キューガーデンズとする。戦績を見れば2400よりも長い距離向きにも見えるが、これはおそらく母の父デザートキングのイメージによるレース選択の現われだろう。デザートキングは父としてマカイビーディーヴァやミスターディノスといった名ステイヤーを送り出している。改めて見ると、パリ大賞のレースぶりも秀逸で、むしろこの距離でこそ、という印象も受ける。あまり公にはされていないが、早くからライアン・ムーア騎手の騎乗が内定していたというのも心強い。

 2番手には同じくガリレオ産駒のヴァルトガイスト。目下芝2400mの重賞を4連勝中で、中でも連勝の口火となったエドゥヴィル賞、前走のフォワ賞はともにパリロンシャンが舞台だった。さらに管理するのは、凱旋門賞を7勝しているアンドレ・ファーブル調教師となれば、むしろ1番手にしてもいいぐらいだ。2番手としたのは、近年の傾向から4歳馬はやや不利に見えるため。評価としてはキューガーデンズと甲乙つけがたい。

 3番手にはエネイブル。普通に走ってしまえば連覇は濃厚。ただし、今回に関しては前述のように決してここまで順調ではなかったこと、また、今年は“ガリレオ向き”の馬場だとすれば、逆にこの馬にとっては逆風となると考えた。とはいえ、1番人気でも少しでも割れたオッズになるようであれば積極的にフォーカスに入れたい。

 穴馬として候補に挙げたいのがタリスマニックサルウィンだ。タリスマニックは昨年のブリーダーズCターフの勝ち馬で、続く香港ヴァーズでも2着になったように、整地された軽い馬場向きの馬ながら、前走のフォワ賞でもヴァルトガイストに最後まで食い下がった。春にはダートのドバイワールドCに出走したものの、これは適性が合わなかったと度外視したい。サルウィンは母の父がガリレオで、サンクルー大賞ではヴァルトガイストに僅差まで迫った。勝ち味に遅いが、逆に相手を選ばない安定感もある。鞍上は今年ロアリングライオンとのコンビなどで大活躍のオイシン・マーフィー騎手。勝つまでは難しくとも波乱の一翼を担いそうな雰囲気を感じる。

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