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【メルボルンC】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2018年11月02日 15:00

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 芝短距離王国オーストラリアは、中長距離の層が薄く、この路線の国際的なビッグレースは北半球馬の草刈り場となっている。芝3200mのメルボルンCはその傾向がより強く表れており、過去10年間の連対馬延べ20頭中、オーストラリア生産馬はわずか2頭しかいない。しかも、2009年の優勝馬ショッキングを最後に途絶えている。10年以降の連対馬の生産国別内訳は、イギリス4頭、アイルランド4頭、フランス3頭、ドイツ2頭、ニュージーランド2頭、アメリカ1頭。ヨーロッパ勢が圧倒的に強い。

 血統的には際立った傾向が見て取れる。2012年以降の6年間に、父または母の父にモンズーンを持つ馬が5回連対している。モンズーンはドイツ産馬で、同国で4回リーディングサイアーとなった名種牡馬。さらに、2016年の2着馬ハートブレークシティーもドイツ産のランドを父に持っている。つまり、ドイツ血統を持つ馬の信頼性が高い。

 サウンドチェックはランド産駒。前述のとおりランドは2016年の2着馬の父。1995年のジャパンC(G1)優勝馬でもある。2代母の父サガスはフランス産の凱旋門賞馬だが、ドイツの名門シュヴァルツゴルト牝系から誕生している。前走のコーフィールドC(豪G1・芝2400m)こそ12着と大敗したが、今季はオレアンダーレネン(独G2・芝3200m)を勝ち、前々走のベルリン大賞(G1・芝2400m)はベストソリューションのクビ差2着と健闘している。距離延長は吉。

 プリンスオブアランはまだ重賞を勝っていない格下馬。父シロッコはBCターフ(米G1・芝12ハロン)やコロネーションC(英G1・芝12ハロン)を勝ったドイツ産の名馬で、その父はモンズーン。昨年5月にサガロS(英G3・芝16ハロン)で2着、今年6月にベルモントゴールドC招待S(米G2・芝16ハロン)で3着と長距離に実績がある。ハンデと展開に恵まれれば食い込みも。

 ドイツ血統以外で実績のある血は、サドラーズウェルズ、その4分の3同血のヌレイエフ、そしてダンジグの3つ。欧州の主流血統がそのまま活躍している。ヌレイエフはパントレセレブル1頭に偏っており、今年の出走馬のなかにこの血を持つ馬はいない。昨年の1、2着馬はサドラーズウェルズ系で、一昨年の2着馬ハートブレークシティーは父、母の父以外の部分にサドラーズウェルズを持っていたので、ここ最近はサドラーズウェルズ系に勢いがある。

 昨年の2着馬ヨハネスフェルメールと同じくガリレオ(その父サドラーズウェルズ)を父に持つユカタンは、愛インターナショナルS(愛G3・芝10ハロン)の勝ち馬。前走のハーバートパワーS(豪G2・芝2400m)は着差こそわずか1馬身1/4だったが、最後の直線で手綱を抑えるまでは馬群から5~6馬身抜け出す独走状態だった。母シックスパーフェクションズはBCマイル(米G1・芝8ハロン)、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)などを勝った名マイラー。これにガリレオを付けて誕生したので、本質的には長距離タイプではない。3200mをこなせるかどうかは本馬の地力に期待といったところ。

 同じガリレオ産駒のザクリフスオブモハーは、前哨戦のコーフィールドC(豪G1・芝2400m)で3着。勝ったベストソリューションよりも1kg軽い斤量で2馬身ほど遅れをとったが、勝ち馬のうまいレース運びにやられた内容なので巻き返しは可能だろう。父は9年連続10回目の英・愛リーディングサイアーを確定的にしている大種牡馬。自身はサドラーズウェルズ2×4という、凱旋門賞を連覇したエネイブルを彷彿させる配合構成となっている。距離延長は問題ないタイプ。

 マジックサークルは父マクフィが中距離タイプだが、母が「サドラーズウェルズ×ダルシャーン×ローソサエティ」というコテコテのスタミナ血統。父のスタミナ不足を補っている。長距離戦ばかり走って下級条件から出世してきた馬で、前走、ヘンリー2世S(英G3・芝16ハロン)で初めて重賞に出走すると6馬身差で圧勝した。前々走のハンデ戦(芝18.5ハロン)も6馬身差で勝っており、ここに来て本格化の兆しがうかがえる。半年ぶりのレースなので過信はできないが、芝3200mという条件は合うので互角にやれるだろう。

 クロスカウンターは「テオフィロ×キングマンボ」という組み合わせ。父はガリレオの息子で、現役時代は5戦全勝でカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選出された。適正距離はガリレオよりも若干短めだが、カドラン賞(仏G1・芝4100m)を勝ったクエストフォーモアを出しているように、配合次第では長距離をこなす産駒を出せる。母の父がキングマンボなので2400m前後が合う馬だろう。前々走のゴードンS(英G3・芝12ハロン)で重賞初制覇を飾ると、前走のグレートヴォルティジュールS(英G2・芝12ハロン)はアタマ差2着。斤量差が2.5kgあったとはいえ英セントレジャー(英G1・芝14.5ハロン)を勝つキューガーデンズに先着を果たしている。3200mに距離が延びるのはプラスとはいえないが、伸び盛りの3歳馬で勢いは買える。

 前哨戦のコーフィールドCを勝ったベストソリューションは「コディアック×キングマンボ」という組み合わせ。7月のプリンセスオブウェールズS(英G2・芝12ハロン)以来4連勝、G1は3連勝となった。父コディアックはスピード型の名種牡馬インヴィンシブルスピリットの半弟で、産駒はスプリンターやマイラーがほとんど。しかし本馬は、母アルアンダリヤがワークフォース(本邦輸入種牡馬で凱旋門賞、英ダービーの勝ち馬)とほぼ4分の3同血というスタミナタイプで、その特長を濃厚に受け継いだのか距離が延びてから本領を発揮している。ただ、2400mはこなせても3200mはさすがにどうかという懸念は拭えず、連勝街道を走っているのでハンデとの戦いもある。

 日本勢のチェスナットコートとソールインパクトは前哨戦のコーフィールドCでそれぞれ13着、14着。今回は豪州2戦目で、長距離戦の実績もあるので巻き返しの余地はあるが、体調面が整っているのかは注視したい。

【栗山求の最終見解】

 このレースと相性のいいドイツ血統に注目すればサウンドチェックが浮上する。大敗を喫した前哨戦を度外視すれば戦績的にも狙える。長距離戦の実績も頼もしい。人気薄だが狙ってみたい。ザクリフスオブモハーは巻き返し可能。休養明けのマジックサークルはあくまでも体調次第だが、仕上がっていれば一発あっても不思議はない。

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