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【香港マイル】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2018年12月06日 15:00

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 4レース行われる香港国際競走のうち、距離の短い2レースは地元香港勢が強い。香港マイルは過去10年間の連対馬20頭中17頭が地元調教馬によって占められている。海外遠征馬が勝ったのは2015年のモーリスのみ。同馬は日本国内で3つのG1を制し、年度代表馬にも選ばれた名馬。このクラスでないと勝つのは難しい。セオリーどおり地元香港勢を上位に取りたい。

 人気の中心は昨年の覇者ビューティージェネレーション。ニュージーランドで生まれ、同国でローズヒルギニー(G1・芝2000m)2着などの成績を残したあと香港へ渡り、昨年秋からトップクラスに定着した。昨年のこのレースを逃げ切って優勝し、今年に入ってから7戦5勝と好成績。現在、チャンピオンズマイル(G1・芝1600m)を含めて重賞4連勝と手が付けられない。前走、香港マイルの前哨戦であるジョッキークラブマイル(G2・芝1600m)は、序盤こそ中団に控えたものの、残り1000mから馬群の外をスパートして2番手まで上昇し、直線入り口で先頭に立つと後続に3馬身差をつけて楽々と押し切った。勝ちタイム1分32秒64はコースレコード。2~4着馬より2.5キロ重い斤量を背負っていたので価値が高い。

 父ロードトゥロックはエンコスタデラゴ(豪リーディングサイアー2回)の息子。繋養しているニュージーランドでは種牡馬ランキング20位以内に入ったことすらなく、香港へ渡った本馬が突出した活躍馬となっている。昨年の香港マイルはエンコスタデラゴの孫である本馬が1着、子のウエスタンエクスプレスが2着と、同系がワンツーフィニッシュを決めており、レース適性は高い。母の父ベルエスプリは25戦全勝の女傑ブラックキャビアの父として知られている。

 香港勢のなかでは頭2つぐらい抜けた存在で、先に行って直線でもしっかりとした脚を使うため、ペースが落ち着いてしまうと負かすのは容易ではない。馬群に沈むシーンは想像しづらい。

 16年の覇者ビューティーオンリーは、17、18年に計19戦して1回しか勝っていない。その1回が今年4月のチェアマンズトロフィー(G2・芝1600m)で、人気薄ながら後方から鮮やかに差し切って優勝した。差し馬向きの流れだったので3番手追走のビューティージェネレーションは5着に敗れている。デインヒル系のホーリーローマンエンペラー産駒。同産駒は香港競馬と相性が良く、本馬の他にデザインズオンロームがG1を制覇している。前走のジョッキークラブマイルは3着。勝ち切れないもののこの路線のトップクラスの1頭であるのは間違いなく、展開が向けばおもしろい存在だ。

 ヨーロッパからはワンマスター、インズオブコート、ビートザバンクなどが参戦する。ヨーロッパ勢の連対は過去10年間で2頭と少ないが、今年はビューティージェネレーション以外、地元にこれといった強豪がいないので上位入線を果たす可能性はある。

 ワンマスターはイギリス生まれのイギリス調教馬。父ファストネットロックは日本でもメラグラーナ(オーシャンS)やブラヴィッシモ(阪急杯3着)など活躍馬を出している。母の父ピヴォタルはヨーロッパでも日本でもブルードメアサイアーとして大成功している。イギリス馬ながら時計の速い決着に対応できそうなタイプだ。

 前走のBCマイル(米G1・芝8ハロン)は5着。雨の影響が残り、時計が掛かる馬場だったので度外視していいだろう。前々走のフォレ賞(仏G1・芝1400m)は後方から鋭く脚を伸ばして1分20秒2で優勝している。パリロンシャン競馬場の芝1400mは、距離が1400mに足りていないのではないか、との疑念の声が以前からあり、この時計も例年の勝ち時計と比べてとくに速いわけではない。ただ、時計の出る軽い馬場に適性があるタイプではあるだろう。

 インズオブコートはアイルランド生まれのフランス調教馬。ワンマスターが勝ったフォレ賞では、中団につけて先に抜け出したものの、ゴール直前でワンマスターに差され短頭差2着に敗れた。「インヴィンシブルスピリット×シーキングザゴールド」という組み合わせで、母はミスタープロスペクター2×4というスピード型のインブリードを持っている。この馬も軽い馬場に対応可能な配合だ。前走のセーヌエオワーズ賞(仏G3・芝1200m)は道悪、3走前のパン賞(仏G3・芝1400m)は60キロの斤量が堪えた。3歳時の昨年はジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)で2着という実績がある。今回、フランス以外での初めての競馬となるので、長距離輸送や慣れないコンディションに適応できるかどうかがカギ。

 ビートザバンクはイギリス生まれのイギリス調教馬。G1では荷が重いものの、夏以降、イギリスでマイルのG2を2勝している。本国では堅い馬場をこなしているが、「パコボーイ×ディクタット」という組み合わせは1分32~33秒台の高速決着に対応できるイメージが湧かない。

 日本勢はペルシアンナイト、モズアスコット、ヴィブロスが挑戦する。ペルシアンナイトは昨年のマイルチャンピオンシップ(G1)優勝馬で、今年も2着となっている。母方にサンデーサイレンスとヌレイエフを併せ持つハービンジャー産駒なので、ディアドラ(秋華賞)、ブラストワンピース(新潟記念、毎日杯)、ハービンマオ(関東オークス)、プロフェット(京成杯)、サーブルオール(七夕賞4着)といった活躍馬と配合構成が似ている。ハービンジャー産駒は香港の洋芝にフィットしそうだ。

 モズアスコットは「フランケル×ヘネシー」という組み合わせ。父フランケルは日本でソウルスターリング(オークス、阪神ジュベナイルフィリーズ)やミスエルテ(ファンタジーS)を出しており、堅い馬場に適性がある。香港の馬場も合うだろう。前走のマイルチャンピオンシップは4コーナーで挟まれて下がる不利があった。相手なりに走るタイプなので、今回の強いメンバーに入ってもそれなりにやれるだろう。

 ヴィブロスは「ディープインパクト×マキャベリアン」という組み合わせで、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル2回)の全妹。また、シュヴァルグラン(ジャパンC)の4分の3妹にあたる超良血。昨年のドバイターフ(G1・芝1800m)を勝ち、今年も2着と健闘した。むしろ海外遠征のほうが走るタイプだ。ただ、今回のマイル戦は距離が短いので、展開が向くことが条件だ。

【栗山求の最終見解】

 アクシデントがないかぎりビューティージェネレーションの優位は揺るがない。昨年はスローペースに落としてうまく逃げ切った感があったが、あれから1年が経ち、さらに大きく成長したので凡走するイメージが湧かない。2着候補は日本のペルシアンナイトとモズアスコット、ヨーロッパ勢のワンマスターやインズオブコートあたり。

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