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【香港カップ】木村拓人の見解

2018年12月07日 17:00

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 香港カップは今年の香港国際競走で最も日本馬にチャンスがあるレースだと考えている。昨年の覇者タイムワープは成績が安定しておらず、宝塚記念で2着となったワーザーは出走回避。ならば日本馬が上位を独占する可能性も低くないのではないか。

 特にディアドラは充実ぶりが著しい。牝馬限定重賞を2連勝中だが、その内容が圧倒的。クイーンSでは小回りの札幌で一頭だけ次元の違う末脚、最後は3馬身差をつける圧勝。前走の府中牝馬Sではスタートしてからの二の脚は決して速くなく後方から。直線に入るとルメールは促しながらリスグラシューの後ろを追走。残り200mで進路を外に出すとエンジン全開、ゴール前できっちり捕らえた。

 リスグラシューより2キロ重い斤量を背負っていたことを加味すると、一枚も二枚も役者が違ったと考えていい。3着だったドバイターフ当時よりも力を付けているのは間違いなく、ここは大きなチャンスとなるだろう。

 あまりテンは速くないため、超スローペースになった時だけ少しの不安はあるが、今回はタイムワープグロリアスフォーエバーの兄弟がいる。ともに行ってこそ持ち味が生きる点が似ており、馬主、厩舎が違うため、前走も先行争いをして共倒れしている。今回も極端なスローペースにはならないのではないか。札幌や中山でも結果を出しているように器用に立ち回れる点も心強く、それを生かせる2番枠を引き当てた。

 サングレーザーも中距離にシフトしてから1、2着。ともに鋭い末脚できっちり上位に顔を出しているようにディープインパクト産駒らしい切れ味が最大の武器。短距離でも結果を出していた馬だけに、前走のようなワンターンの条件よりもコーナーを4つ回る形態の方が、折り合いの心配が少なくなり、より末脚の切れ味が増すはずだ。

 天皇賞・秋ではレイデオロに及ばなかったものの、ジャパンCでスーパーレコードを演出することになるキセキをきっちり差し切っている点は大きく評価できるし、香港を主戦としているモレイラが引き続き乗ってくれることも大きなプラス要因。こちらもよほどペースに嫌われなければ上位に顔を出しているだろう。

 地元勢ではワーザーが有力だと思っていたのだが、週中に出走回避となった。このまま引退となる可能性が高く、非常に残念。だがこれにより日本馬が好走する可能性も非常に高くなったと言えるだろう。上記2頭の走りは特に楽しみにしたい。

 地元の期待を背負うことになった昨年の覇者タイムワープは成績が安定せず、ムラな面が残る印象。どうしても同型との兼ね合いに結果が左右されてしまうため、全弟の同型グロリアスフォーエバーの出方に大きく影響される可能性が高い。

 ただ、昨年パドックで見た時は「負けない」と思えるほどインパクトの強い状態だったし、同じような雰囲気で出走してくれば当然勝ち負けまで狙える存在。近走は他馬より重い斤量で走っている点も加味すれば展開次第で浮上の余地は十分にある。決してノーマークにはできないし、不当に人気が落ちるようであれば妙味も十分にあると考える。

 ステファノスは4年連続の香港カップ参戦で香港遠征は5度目。香港カップでは10着、3着、4着とここ2年は好走しているが、勝ち馬には少し差をつけられている印象だ。今年のパフォーマンスを見ていても、さすがに全盛期と比べると物足りない感じを受けるし、前走も内枠から絶好の形で運びながら9着という結果では強気になれない。

 もちろん、本来の姿で出走してくれば上位に顔を出すだけの底力を秘めているのは間違いないが、今年は充実度で他の日本馬2頭に見劣るか。

 欧州から唯一参戦するのはイギリスのストーミーアンタークティック。昨年のチャンピオンズマイルに参戦(5着)しており、今回が二度目の香港遠征となる。4走前の独G1ダルマイヤー大賞(芝2000m)ではドバイターフ勝ち馬ベンバトルの2着。前走の英G1クイーンエリザベス2世S(芝1600m)は欧州1600~2000m路線では最強クラスの一頭ロアリングライオンと1馬身半差の4着ならばある程度の評価は必要。

 直線では勝ち馬の後を追うように伸びて、レコレトス(今年日本でも馬券発売をしたジャックルマロワ賞で2着、ムーランドロンシャン賞勝ち馬)には先着しており、力量的には足りていても不思議はない。2000mの経験は4走前の一度のみでも未知の魅力は隠されている。

 派手さはないが自分の競馬をきっちりする今年のクイーンエリザベス2世Cの2着馬、香港のゴールドマウントが穴。自分から勝ちに行けるタイプではないが、展開やコース取りがかみ合えば上位に顔を出す力を秘めている。頭まではどうかと思うが、混戦になった時のヒモ候補としては注意しておきたい。

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