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【世界の調教師紹介 Vol.16】ダーモット・ウェルド

2019年02月27日 15:15

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ダーモット・ウェルド調教師は1948年7月20日、アイルランド生まれ。父チャーリーも調教師で、ダーモットの拠点であるローズウェルハウス(カラ競馬場至近)は父から譲り受けたもの。

獣医師資格を持っておりアメリカのベルモントパーク競馬場で獣医師として働いた経験を持つ。一方でアマチュア騎手としても活躍し、アイルランドのナショナルハント(障害)のアマチュア首位に3度輝いた(1969年、71年、72年)。

オーストラリアの伯楽T.スミス調教師や父に師事した後、1972年1月1日に自身の厩舎を開業するとその日にいきなり1日2勝(2勝目は自身が騎乗)。1974年9月にはホットスパークでG1フライングチルダーズステークスを制してG1初制覇。その1か月後にはスティールハートでG1ミドルパークステークスにも勝った(ともに本邦輸入種牡馬)。

以降、大レースを勝ちまくり、アイルランドのクラシック5レースは1981年にブルーウインドでG1愛オークスを制したのを皮切りに計19勝で完全制覇。G1愛ダービーはザグレブ(1996年)、グレイスワロー(2004年)、ハーザンド(2016年)の3勝。イギリスのクラシックもG1英ダービーをハーザンド(2016年)、G1英オークスをブルーウインド(1981年)、G1英2000ギニーをリフューズトゥベンド(2003年)で勝って計3勝を挙げている。

海外遠征のパイオニアとしても知られ、1990年にはゴーアンドゴーでアメリカのG1ベルモントステークスを史上初めて(そして現在のところ史上唯一)欧州の調教師として優勝。1993年にはオーストラリアのG1メルボルンカップをヴィンテージクロップで勝って、同じく史上初めて欧州の調教師として栄冠を手にした(メルボルンCはその後2002年にもメディアパズルで優勝)。1991年にはG1香港マイルの前身である第1回香港招待ボウルをアディショナルリスクで優勝したほか、2020年にはタルナワでアメリカのG1ブリーダーズカップターフを制して、ついにブリーダーズカップのタイトルまでも掴んだ。

2016年6月には通算4000勝に到達(アイルランドの調教師としてのそれまでの最多勝記録である2577勝を塗り替えたのは2000年8月のこと)。アイルランドをベースにする調教師としての史上最多勝記録を日々塗り替えている。アイルランドチャンピオントレーナー8回(1983、85、89、90、93、94、96、98年。ホースレーシングアイルランドの統計による)。2013年9月からはアガ・カーン殿下の所有馬も預かっている(タルナワは殿下の生産所有馬)。

近年のG1勝ち
2020年:
BCターフ(アメリカ):タルナワ
オペラ賞(フランス):タルナワ
愛セントレジャー(アイルランド):サーチフォーアソング
ヴェルメイユ賞(フランス):タルナワ

2019年:
愛セントレジャー(アイルランド):サーチフォーアソング

2017年:
マンノウォーS(アメリカ):ジューコワ

2016年:
愛ダービー(アイルランド):ハーザンド
英ダービー(イギリス):ハーザンド
タタソールズゴールドC(アイルランド):ファッシネイティングロック

文:秋山 響(TPC)