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【ドバイシーマクラシック】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2019年03月27日 15:00

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 日本調教馬は過去3勝、2着3回。このほか南アフリカのフジキセキ産駒サンクラシークが優勝(2008年)している。芝中距離は日本調教馬が最も得意とする条件だ。

 ただ、堅実に上位争いをする一方で、過去10年間の日本調教馬に限ると1勝、2着3回と勝ちを逃すケースが目に付く。勝ったのはジェンティルドンナ(14年)のみ。ブエナビスタ(10年)、ジェンティルドンナ(13年)、ドゥラメンテ(16年)が2着。ここ2年間は馬券圏内に入っていない。芝2410mという距離はジャパンCとほぼ同じだが、日本よりも若干力を必要とする洋芝で、パワー型のヨーロッパ勢も能力を発揮できる。なおかつこの路線のヨーロッパ勢は層が厚い。したがって日本のトップクラスが挑んでもそう簡単には勝てない。


 過去10年間の連対馬の血統を見ると、サドラーズウェルズ系が安定して強い。また、直近ではミスタープロスペクター系の台頭が目立つ。といってもスピード型ではなく、キングマンボやドバウィを経由したスタミナ型だ。日本馬が健闘しているのでサンデーサイレンス系もちょくちょく絡んでいる。

 昨年の勝ち馬ホークビルと同じく、ゴドルフィン&アップルビー調教師のチームが送り出すオールドペルシアン(牡4歳)は、「ドバウィ×シングスピール」という組み合わせ。父母、祖父母を合わせた計6頭はすべてモハメド殿下(ゴドルフィン、ダーレー名義を含む)の所有馬だ。殿下の愛着はひとしおだろう。父ドバウィは16年の優勝馬ポストポンドの父、母の父シングスピールは09年の優勝馬イースタンアンセム、10年の優勝馬ダーレミの父で、いずれもこのレースに実績がある。

 「ドバウィ×シングスピール」はニックスで、これまでにレフトハンド(仏G1・ヴェルメイユ賞)、ウハイダ(米G1・ブリーダーズカップフィリー&メアターフ、仏G1・マルセルブーサック賞)、トゥーダーンホット(英G1・デューハーストステークス)をはじめ多くの重賞勝ち馬が出ている。オールドペルシアンの3代母マッサラートは1980年代世界最強マイラーのミエスクを全姉に持ち、2代母ウッドバインは名種牡馬キングマンボとほぼ4分の3同血という良血。まだG1勝ちこそないものの、前走のドバイシティーオブゴールド(首G2・芝2410m)を含めてドバイとイギリスで3つのG2を勝っている。前述のとおり血統的な資質はG1馬と遜色ない。

 前走はレーシングヒストリーがスローの逃げを打ったため最後の直線は猛烈な上がり勝負。中団につけたオールドペルシアンは馬群が壁になって追い出しを待たされたにもかかわらず、進路が開くと鋭く伸び、ゴール直前で逃げ馬をとらえた。この決め手は日本馬にとって脅威だ。


 クールモアが所有するマジックワンド(牝4歳)は「ガリレオ×ダンシリ」という組み合わせで、愛オークス(G1・芝12ハロン)を勝ったチキータ(父モンジュー)の4分の3妹にあたる。父ガリレオは2年前の2着馬セブンスヘヴンの父で、このレースと相性のいいサドラーズウェルズ系。母の父ダンシリはハービンジャーの父で、ヨーロッパ血統にしては堅い芝を得意とするタイプなのでドバイの芝にもフィットするだろう。

 3歳6月にリブルスデールステークス(英G2・芝2400m)を勝ち、その後はG1ばかり6戦して2着3回。前走は雨のなか行われたアメリカのペガサスワールドCターフ(米G1・芝1900m)に出走して2馬身半差の2着に敗れた。ガリレオ産駒なので道悪はこなすものの、「ダンシリ×ザフォニック」という母の血統は堅い芝への適性を感じさせるので、良馬場なら違った結果になっていたかもしれない。ただ、戦績どおり勝ち切れない馬なので単勝は買いづらい。

 レーシングヒストリー(牡7歳)は「ピヴォタル×ランド」という組み合わせで、母ゴンバルダは生粋のドイツ血統。決め手に欠けるので2、3着が多く、G1のここでは荷が重い。

 日本から遠征するのはレイデオロ(牡5歳)、スワーヴリチャード(牡5歳)、シュヴァルグラン(牡7歳)の3頭。レイデオロは昨年の当レースで4着と敗れた。当時よりも成長しているので勝ち負けに持ち込むことは可能だろう。ただ、ジャパンカップ(G1)をスキップして万全の状態で臨んだ有馬記念(G1)を取りこぼしたように、盤石の信頼を置けるほどのエース感はない。「キングカメハメハ×シンボリクリスエス」という組み合わせで、父の産駒ドゥラメンテは16年に2着となっている。

 スワーヴリチャードは壮行レースの中山記念(G2)で4着と敗れたが、小回り&右回りの芝1800m戦はこの馬にとって合う条件ではなかった。昨年秋のジャパンCでは万全の状態とはいえなかったにもかかわらず3着と健闘し、東京芝2400mへの適性の高さを印象づけた。メイダンの芝2410mは東京と同じ左回りコースなのでおもしろい。あとは体調面。

 シュヴァルグランは「ハーツクライ×マキャベリアン」という組み合わせで、半妹ヴィブロス(父ディープインパクト)は2年前のドバイターフ(首G1・芝1800m)を勝ち、昨年も2着と健闘した。父ハーツクライは06年の当レースの勝ち馬。ドバイ適性は極めて高いと思われる。7歳という年齢がネックとならなければ期待できる。

【栗山求の最終見解】

 外国勢は昨年ほどのレベルにはなく、今年は日本勢にも十分チャンスはある。ただ、レイデオロはダービー馬とはいえ2400mよりは2000mのほうが良さそうに思えるタイプ。スワーヴリチャードは絶好調時のコンディションに戻っていれば十分太刀打ちできるが、初の海外遠征でもあり手探りの部分が大きい。シュヴァルグランは血統的な適性は素晴らしいものの、すでに7歳で、昨年秋のパフォーマンスは全盛期に比べるとやや落ちているように見えた。日本勢にもそれぞれ死角はある。ゴドルフィンのエース格であるオールドペルシアンはまだG1を勝っていないものの、配合的な完成度やレース適性の高さには一目置かざるを得ない。決め手の面でも日本馬に負けていない。心情的には日本馬を応援しつつも馬券はここから入りたい。

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