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【ケンタッキーダービー】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2019年05月01日 15:00

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オマハビーチは、5月2日(木)出走取消

 アメリカ競馬は、ヨーロッパ、オセアニア、日本などと異なりダート戦が主流。なおかつ、下級条件を含めるとレースの大半がマイル以下で行われる。ダート10ハロンのケンタッキーダービーは、アメリカの競走体系のなかでは長距離のカテゴリーといっていい。6ハロンの通過タイムは例年1分10~11秒台と、ペースがゆるむことなくハイペースで展開するので、距離のごまかしがきかない。タフな流れの10ハロン戦に耐えうるだけのスタミナが必要だ。スピード血統で固められたような馬は途中で息切れしてしまう。

 オマハビーチは「ウォーフロント×シーキングザゴールド」という組み合わせ。母チャーミングは米3戦1勝だが、その兄弟にテイクチャージインディ(フロリダダービー)とウィルテイクチャージ(トラヴァーズステークス、クラークハンデキャップ/米3歳牡馬チャンピオン)がいるほか、2代母テイクチャージレディは米G1を3勝している。活力あふれる名牝系の出身だ。

 父ウォーフロントはダンジグ系の名種牡馬で、アメリカとヨーロッパの双方で成功を収めている。2019年の種付け料は全米ナンバーワンの25万ドル。本馬は、母にそれなりのスタミナがあるので、父がスピード型でも9ハロンまでは踏ん張りが利いている。前走のアーカンソーダービー(米G1・ダート9ハロン)ではインプロバブルとの一騎打ちを制してG1初勝利を挙げた。ただ、米最優秀スプリンターだったルビアノを3×4で持つなど、やはり血統的に距離が延びていいタイプとは思えない。10ハロンはギリギリで、能力でどこまでこなせるかだろう。ケンタッキーダービーは現在1番人気が6連勝中だが、今年は実力拮抗で混戦ムード。そう簡単なレースにはなりそうもない。

 ゲームウィナーは「キャンディライド×エーピーインディ」という組み合わせ。父キャンディライドは亜米で6戦全勝の名馬。アルゼンチン時代は2つのG1を含めて3戦全勝。アメリカ移籍後はパシフィッククラシック(米G1・ダート10ハロン)とアメリカンハンデキャップ(米G2・ダート9ハロン)でトラックレコードを叩き出すなど3戦全勝、負け知らずで引退した。種牡馬としてもシェアドビリーフやガンランナーを出して成功しており、毎年リーディングサイアーを争っている。

 母インディアンギヴィングは不出走だが、2代母フリートインディアンはパーソナルエンスンステークス(米G1・ダート10ハロン)を勝つなどして米最優秀古牝馬に選ばれた名牝。その2代父インエクセスはアイルランド産馬でスタミナや大柄な馬格を伝え、16年の優勝馬ナイキスト、17年の優勝馬オールウェイズドリーミングにも含まれている。ケンタッキーダービー向きの血だ。前走のサンタアニタダービー(米G1・ダート9ハロン)は2着と敗れたが、大外枠から出て終始外を回らされる展開だったことが響いた。2走前のレベルステークス(米G2・ダート8.5ハロン)[Div.2]はオマハビーチとマッチレースの末にハナ差2着。世代トップクラスの実力馬であるのは間違いない。

 ロードスターは「クオリティロード×シルヴァーゴースト」という組み合わせ。父は現役時代に3回トラックレコードを樹立したスピード馬で、種牡馬としても大成功。エイベルタズマン、シティオブライトを出すなど活躍ぶりが目覚ましい。今年の米サイアーランキングでは首位を走っている。本馬の半兄アセンド(父キャンディライド)はマンハッタンステークス(米G1・芝10ハロン)を勝った芝馬だ。

 本馬は前走サンタアニタダービーでは後方のインに控え、直線で外に持ち出すとゲームウィナーをゴール直前で差し切った。さすが芝G1馬を半兄に持つだけのことはある、と思わせる決め手だった。ただ、前述のとおりゲームウィナーが終始外を回ったのに対し、本馬は距離ロスなくレースを進められたので、内容的に勝っているとは言い切れない。一方で、過去10年間にサンタアニタダービーの優勝馬が3頭戴冠している事実は心強い。ちなみにロードスターとゲームウィナーは同じB.バファート厩舎所属。

 インプロバブルは「シティジップ×エーピーインディ」という組み合わせ。シティジップは米年度代表馬ゴーストザッパーの半兄で、2歳G1を1勝という競走成績は弟と比べものにならないが、種牡馬としては互角かそれ以上の成功を収めた。母レアイヴェントは芝とダートの双方で走り、芝2200mのステークスにも出走経験があるようにスタミナがあった。

 本馬は2歳の暮れにキャッシュコールフューチュリティ(米G1・ダート8.5ハロン)を5馬身差で勝った実績があり、前走のアーカンソーダービーはオマハビーチに1馬身差と食い下がる2着。ペースが落ちた前半にオマハビーチのM.スミス騎手が中団から位置取りを上げ、一気に先頭に立つ好騎乗が勝利の決め手で、それに1馬身差2着なので悪くない内容だった。乗り方ひとつで逆転もある。この馬もバファート厩舎所属。

 マキシマムセキュリティは「ニューイヤーズデイ×アナシード」という組み合わせ。過去10年のケンタッキーダービー優勝馬のうち、フロリダダービーとサンタアニタダービーの優勝馬がいずれも3勝を挙げている。本馬はフロリダダービー(米G1・ダート9ハロン)を含めて4戦全勝とまだ負けていない。今年のレースレベルは平年並みといったところで決してハイレベルではなかったが、無敗で来ており底を見せていない点は魅力的だ。

 父ニューイヤーズデイはブリーダーズカップジュベナイル(米G1・ダート8.5ハロン)の勝ち馬で、本馬は2世代目の産駒。G1勝ち馬はマキシマムセキュリティが初めてとなる。配合的に距離延長は問題ない。

 ヴェコマは「キャンディライド×スパイツタウン」という組み合わせ。父キャンディライドはゲームウィナーの父でもある。母の父スパイツタウンはスピードタイプだが、2代母にリボー系のリンケージが入り、本馬はリボー系のホイストザフラッグ5×4という重厚なクロスを持つ。母モナデモマはヒューマナディスタフステークス(米G1・ダート7ハロン)の勝ち馬。血統的には筋が通っており、前走のブルーグラスステークス(米G1・ダート9ハロン)を含めて4戦3勝と戦績もいい。ブルーグラスSのレースレベルはお世辞にも高いとはいえず、前々走のファウンテンオブユースステークス(米G2・ダート8.5ハロン)は3着と敗れているが、このレースは1、2着馬よりも約2.7キロ重い斤量を背負っていたので実力負けとはいえない。前肢を振り回す独特のフットワークは気品に欠けるものの馬は強い。

 ブルーグラスSで2着だったウィンウィンウィンは「ハットトリック×スマーティジョーンズ」という組み合わせ。父ハットトリックは日本生まれでマイルチャンピオンシップ(G1・芝1600m)、香港マイル(G1・芝1600m)を勝った。引退後、アメリカで種牡馬入り。産駒のダビルシムは仏年度代表馬となり、海外で父系を伸ばしている。2代父サンデーサイレンスは89年のこのレースの勝ち馬。母の父スマーティジョーンズ、2代母の父アンブライドルドを含め、3代以内に3頭のケンタッキーダービー馬がいる血統なので、格下馬ではあるが一発に期待したい。

 日本から遠征するマスターフェンサーは「ジャスタウェイ×デピュティミニスター」という組み合わせ。トップディーヴォ(名古屋グランプリ2着、佐賀記念2着)、エポック(オープンクラス在籍のダートホース)の半弟と、ジャスタウェイ産駒ながらパワーを感じさせる配合。アメリカのダートは日本と違って時計が速く、日本から遠征するならば純然たるダート馬よりもスピード勝負に対応できそうな馬のほうがいい。ジャスタウェイを父に持つ本馬は悪くない。とはいえ、初物づくしで相手も強く、馬券圏内に入るのは容易ではない。

【栗山求の最終見解】

 今年は抜けた馬がいない混戦模様。戦績、血統からゲームウィナーを中心視したい。父キャンディライドはアルゼンチン産馬で、シェアドビリーフやガンランナーの父であるように大物を出せる種牡馬。2代母フリートインディアンはダート10ハロンのG1ウィナーで距離延長も心配ない。血統に含まれるインエクセスは16年の優勝馬ナイキスト、17年の優勝馬オールウェイズドリーミングにも含まれており心強い。勝ち負けに持ち込めるだろう。穴は同じキャンディライド産駒ヴェコマ。リボー系のホイストザフラッグ5×4という重厚なクロスは魅力的。展開が向けば大駆けが期待できる。

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