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【世界の騎手紹介 Vol.28】シルベストル・デソウサ

2019年06月12日 13:00

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香港で活躍するJ.モレイラ騎手と同じ、ブラジル出身の名騎手。現在はイギリスを拠点にして活躍し、同国のチャンピオンジョッキーには2015、2017、2018年と3度輝いている。

シルベストル・デソウサ騎手は1980年12月31日生まれで、10人きょうだいのひとり。競馬にはあまり興味がなく、サンパウロの家具工場で働いていた。しかしある時、友人に連れられて競馬場に行くと、そこで騎手になるように勧められ、競馬の道に進むことを決意。やがて1999年に18歳で初勝利を挙げると、すぐに頭角を現し、サンパウロの見習い騎手チャンピオンにも輝いた。

しかしその後、これからという時期に腕を骨折。半年ほどして復帰したものの、乗鞍が激減したことで、ブラジルを離れることを決断。最初に渡ったアイルランドでは2年ほど過ごして芽が出なかったものの、その後イギリスのD.ニコルズ調教師に出会ってイギリスに移ったことで状況が好転。北部を中心に勝ち星を積み重ねて注目の存在になると、2011年にはM.ジョンストン調教師を初めとするトップトレーナーからのバックアップを受けたこともあり、リーディングの対象期間中に161勝を挙げてリーディング3位にまで躍進した。

すると2012年にはドバイのモハメド殿下が率いるゴドルフィンの主戦騎手に抜擢され、同年11月にハンターズライトでイタリアのローマ賞を制してG1初制覇。2014年11月にゴドルフィンとの契約は解除されたが、契約期間中の2013年にはファーでG1英チャンピオンステークスやG1ロッキンジステークス、サッジャーでG1ドバイデューティフリー、2014年にはアフリカンストーリーでG1ドバイワールドカップを制すなど大一番でも結果を残した。

フリーの立場で迎えた2015年には単勝51倍のアラビアンクイーンとのコンビで英ダービー馬ゴールデンホーンを下したG1英インターナショナルステークスを含む132勝を挙げて英チャンピオンタイトルを獲得。2016年はJ.クローリー騎手にトップを譲ったが、2017年はそのクローリー騎手に44勝もの差をつける155勝で再び首位の座を奪還。2018年も148勝でリーディング連覇を果たした。

ゴドルフィンを離れた後は、そもそも有力馬にあまり騎乗していないこともあって2016年、2017年と2年続けてG1勝ちを収めていなかったが、2018年には香港のG1香港カップをグロリアスフォーエバーで制し、フランスではG1モルニー賞をプリティポリーアンナで優勝。ここ数年は香港での評価を確固たるものとしており、2018/2019年シーズンは11月から3月までの騎乗で上記G1香港カップを含む42勝をマークしたほか、12月のインターナショナルジョッキーズチャンピオンシップにも優勝。勝率約15%は、Z.パートン騎手、モレイラ騎手に次ぐ高さだった。

2019年のシーズンからはキングパワーレーシング(2018年10月にヘリコプターの墜落で亡くなった英サッカーのプレミアリーグ・レスターの元会長ウィチャイ・スリヴァッダナプラ氏が設立した馬主組織)と主戦契約を結んでおり、これがリーディング争いにどう影響を与えるかにも注目したい。

近年のG1勝ち
2018年
香港カップ(香港):グロリアスフォーエバー
モルニー賞(フランス):プリティポリーアンナ

文:秋山 響(TPC)