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【キングジョージ】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2019年07月25日 18:30

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 リボー、ニジンスキー、ミルリーフ、ブリガディアジェラード、ダリア、グランディ、シャーガー、ダンシングブレーヴ、ラムタラ、ガリレオなど、多くの歴史的名馬が勝ち馬に名を連ねるキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス。古馬と3歳馬が出走可能なイギリスの12ハロン戦では最も格式が高いレースだ。

 アスコット競馬場の芝12ハロンのレコードタイムは、2013年に当レースでノヴェリストが記録した2分24秒60。これは極度に乾いた馬場で行われたもので例外的に速い。高低差が約22mもあるタフなコースだけに良馬場なら2分30秒を切るぐらいが標準で、雨が降れば2分35秒程度の遅い決着になることもある。

 過去5年間の連対馬の血統を調べると、このレースに向いた血が浮かび上がる。具体的にはシャーリーハイツとアーバンシーだ。前者は英ダービーと愛ダービーの勝ち馬で、ダルシャーンの父でもある。後者は牝馬ながら凱旋門賞を勝ち、ガリレオとシーザスターズという2頭の名種牡馬を産んだ。

 過去5年間10頭の連対馬のなかで、シャーリーハイツを持つ馬は9頭、アーバンシーを持つ馬は6頭を数える。両者を併せ持つ馬は5頭と、連対馬10頭の半数に達する。アスコットの芝12ハロン戦を攻略するのに最も有効な血といえるだろう。シャーリーハイツとアーバンシーをいずれも持たない馬は1頭も連対していない。

 今年の有力馬のなかで、シャーリーハイツとアーバンシーを併せ持つ馬はエネイブル、クリスタルオーシャン、ヴァルトガイストの3頭。血統面からはこれらが最有力だ。エネイブルは一昨年の優勝馬で、クリスタルオーシャンは昨年の2着馬と、すでに当レースで実績を残している。

 エネイブルは「ナサニエル×サドラーズウェルズ」という組み合わせ。父ナサニエルは2011年、2代父ガリレオは2001年に当レースを勝っており、自身も2017年の覇者なので、3代連続で勝ち馬に名を連ねている。

 サドラーズウェルズ3×2という強度のインブリードの持ち主で、サドラーズウェルズは英愛リーディングサイアー14回という大種牡馬。スピードの持続力とスタミナを要求されるタフなイギリス競馬に歴史上もっともフィットした血であり、それを配合的に強化している。300余年の歴史を誇るアスコットの芝12ハロン戦に高い適性を見せているのもうなずける。

 一昨年の春から2年以上負けたことがなく、その間にG1を8勝している。すでに冒頭に挙げた歴史的名馬の域に達しており、晴雨兼用、調子落ちもなく、ここで負ける可能性はきわめて低いのではないか。

 クリスタルオーシャンは「シーザスターズ×マークオブエスティーム」という組み合わせ。母クリスタルスターはフレッドダーリンステークス(英G3・芝7ハロン)で2着の成績がある。父シーザスターズは大種牡馬ガリレオの半弟で、すでに2014年の勝ち馬タグルーダを出している。そのほか、英・愛ダービーを連勝したハーザンド、愛オークス馬スターキャッチャー、独ダービー馬シーザムーン、愛オークスを勝ち凱旋門賞で2着となったシーオブクラスなど多くのG1ホースを出している。芝12ハロン戦における強さは素晴らしい。

 2着となった昨年と同じく重賞3連勝で臨むが、今年は前走のプリンスオブウェールズステークス(英G1・芝10ハロン)でG1を制覇していることが違う。同レース2着マジカルは次走のエクリプスステークス(英G1・芝10ハロン)でエネイブルの2着だった。G1を含めて重賞3連勝中の勢いに加え、デビュー以来3着以内を外していない安定感も目を惹く。ただ、歴史的名馬を負かせるかというと容易ではない。

 ヴァルトガイストは「ガリレオ×モンズーン」という組み合わせ。マルレ賞(仏G2・芝2400m)を勝ったヴァルトリートの4分の3兄で、母ヴァルトレルヒェはペネロープ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬。父ガリレオは英愛リーディングサイアー10回という大記録を継続中で、当レースではナサニエルとハイランドリールが勝ち、2着も3回記録している。レース適性は高い。

 2~4歳時はサンクルー大賞(仏G1・芝2400m)、クリテリウムドサンクルー(仏G1・芝2000m)を含めて5つの重賞を制し、凱旋門賞(仏G1・芝2400m)4着という成績がある。今シーズンはガネー賞(仏G1・芝2100m)を勝ち、前走のプリンスオブウェールズSは前出のクリスタルオーシャンの3着だった。過去に挙げた7勝はすべて地元フランスでのもの。国外ではまだ勝ち星を挙げていない。イギリスでは前走を含めて【0.1.1.0】と勝ち切れていないが、争覇圏の1頭であるのは間違いない。

【栗山求の最終見解】

 今季のエネイブルの目標は凱旋門賞3連覇。トレヴでさえ達成できなかった史上初の快挙へ向けていまのところ懸念材料は見当たらない。ここは通過点だろう。レースの焦点は2着探しだ。解説で触れたようにクリスタルオーシャン、ヴァルトガイストはおもしろい。

 日本から挑戦するシュヴァルグランはすでに7歳だが、前走のドバイシーマクラシック(首G1・芝2410m)は2着と健闘した。4分の3妹ヴィブロスはドバイターフ(首G1・芝1800m)を勝ち、4度の海外遠征で【1.3.0.0】という成績を残している。洋芝適性が高く、遠征競馬に強い一族だ。父ハーツクライは13年前のこのレースでハリケーンランの3着。勝ち馬からわずか1馬身差の大健闘だった。産駒のジャスタウェイ、アドマイヤラクティ、ヨシダは海外でG1を勝っており洋芝適性が高い。距離の心配もなく、血統的には対応できそうだ。エネイブルを負かすのは難しそうだが馬券圏内の一角に食い込む可能性はある。

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