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【世界の調教師紹介 Vol.25】ジョン・ムーア

2019年11月13日 15:00

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定年となった2019/20年シーズンを最後に香港から離れて、母国であるオーストラリアに戻るまで、30年以上にわたって香港で活躍したトップトレーナー。香港のチャンピオントレーナーの座には1985/86年、90/91年、91/92年、 92/93年、 94/95年、2010/11年、14/15年と計7度も就いている。

ジョン・ムーア調教師はオーストラリア出身(1950年3月17日生まれ)。父ジョージはオーストラリア・ニューサウスウェールズ州メトロポリタンのチャンピオンジョッキーに10度も輝き、欧州でもセントクレスピンで凱旋門賞、ロイヤルパレスで英ダービーを制したオーストラリア殿堂入り騎手。さらに、騎手引退後には香港で開業して11度もチャンピオントレーナーに輝いた伝説的な人物だ。ちなみに弟のゲイリーも香港チャンピオンジョッキー7回で、ゴールドリヴァーでG1凱旋門賞も制している。

香港のマイル王ビューティージェネレーションもムーア師の管理馬。(Photo by Getty Images)

本人は、オーストラリアや香港でアマチュアとして騎乗した後、香港の競馬がアマチュア制からプロ制へと変更された1971年に厩舎を開業した父のアシスタントに転身。その後、アイルランドのケヴィン・プレンダーガスト調教師、アメリカのチャーリー・ウィッティンガム調教師、オーストラリアのコリン・ヘイズ調教師といった伯楽の下でも研鑽をつみ、85年には父を引き継ぐ形で自らの厩舎を開き、いきなりチャンピオンに君臨した。

大レースに滅法強く、香港国際競走はG1香港カップを1993年モティベーション(当時G3)、2014年デザインズオンローム、G1香港マイルを2011年エイブルワン、2014年エイブルフレンド、2017、2018年ビューティージェネレーション、G1香港スプリントを2008年インスピレーション、G1香港ヴァーズを2013年ドミナントで勝ち全制覇。

そのほかG1クイーンエリザベス2世カップも2007、2010年ヴィヴァパタカ、2013年ミリタリーアタック、2014年デザインズオンローム、2016年ワーザーで計5勝、香港ダービーも1995年マカープラスター、2006年ヴィヴァパタカ、2009年コレクション、2014年デザインズオンローム、2016年ワーザー、2017年ラッパードラゴンで計6勝。シンガポールでもG1シンガポール航空国際カップを2013年ミリタリーアタック、2014、2015年ダンエクセルで3勝、ドバイのG1ドバイゴールデンシャヒーンも2014年にスターリングシティで制している。香港通算勝利(1735勝)、香港通算収得賞金(20億香港ドル以上)はともに歴代ナンバーワン。

近年のG1勝ち
2020年
クイーンズシルバージュビリーC(香港):ビューティージェネレーション

2019年
香港チャンピオンズマイル(香港):ビューティージェネレーション
クイーンズシルバージュビリーC(香港):ビューティージェネレーション
香港スチュワーズC(香港):ビューティージェネレーション

2018年
香港マイル(香港):ビューティージェネレーション
香港チャンピオンズマイル(香港):ビューティージェネレーション
クイーンズシルバージュビリーC(香港):ビューティージェネレーション

2017年
香港マイル(香港):ビューティージェネレーション
チャンピオンズ&チャターC(香港):ワーザー
香港ゴールドC(香港):ワーザー
クイーンズシルバージュビリーC(香港):ヘレンパラゴン
香港スチュワーズC(香港):ヘレンパラゴン

2016年
クイーンエリザベス2世C(香港):ワーザー
香港ゴールドC(香港):デザインズオンローム

文:秋山 響(TPC)