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【凱旋門賞】栗山求の見解

2021年10月01日 15:05

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 タルナワはアガ・カーン四世のオーナーブリーディングホース。彼の一族は、ナスルーラ、マームード、ロイヤルチャージャーといった20世紀の最重要血脈を生み出した祖父アガ・カーン三世の代から競馬に関わり、ドイツ式系統繁殖を頑なに守りつつ、数々の名馬を生み出してきた。

 凱旋門賞はアキーダ(1982年)、シンダー(2000年)、ダラカニ(2003年)、ザルカヴァ(2008年)と4勝。彼はマルセル・ブーサック、フランソワ・デュプレ、ジャン=リュック・ラガルデールといったフランスを代表する名生産者の牧場を買収してきたが、タルナワはデュプレが生産した1950年代を代表する快速牝馬テキサナ(アベイドロンシャン賞など15戦12勝)の直牝系から誕生した。ただし、牝系としてはさほど繁栄しているわけではない。

 このファミリーを見捨てることなく、およそ半世紀にわたって粘り強く飼養してきたのは、牝系をベースとしたドイツ式系統繁殖の信奉者であることが理由だろう。その努力と忍耐は、タルナワという一頭の女傑を生み出した。長年の改良により、快速牝馬のファミリーは晩成型のスタミナタイプに変質してしまったが、むしろそうでなければ凱旋門賞は狙えない。

 重厚な牝系に、父シャマーダルのスピードを掛け合わせた配合構成は、2008年の覇者ザルカヴァを彷彿させる。セントマークスバシリカに敗れた前走のアイリッシュチャンピオンSは、直線で勝ち馬に押圧される不利があった。内容的には高く評価できる。晴雨兼用、臨戦過程も理想的であり、死角は小さい。

 アダイヤー、スノーフォールが相手で、日本から遠征したディープボンド、クロノジェネシスも争覇圏内。

栗山求

1968年生まれ。血統評論家。月刊誌『優駿』の「サイヤーズインサイド」など連載多数。グリーンチャンネル『KEIBAコンシェルジュ』に出演中。著書に『血統史たらればなし』『パーフェクト種牡馬辞典』など。

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