香港ヴァーズ

Hong Kong Vase

2017/12/10(日)15時00分発走 ※発走日時は日本時間

シャティン競馬場

  

【香港ヴァーズ】直前情報とまとめ

2017年12月10日 11:00

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 香港ヴァーズは昨年サトノクラウンハイランドリールを破る大金星をあげ、一流馬への礎を築いた舞台。今年はキセキトーセンバジルが「日本馬による連覇」という夢を背負って走ることになる。

 解説の3氏から高評価を得ているのがキセキだ。

「父が香港でG1を制したルーラーシップなので馬場が向く可能性が高い」と栗山氏が言えば、土屋氏も「父の血がそのまま適性となって現れれば十分勝負になる」と血統面から対抗格に推奨。市丸氏も「夏を超えて一気に強くなってきた現3歳世代」のエース格として期待を寄せる。

 現地香港に飛んだ土屋氏によれば「皮膚病を発症したものの、獣医からOKが出て問題なく出走へ。調教じたいは順調すぎるほど」とのことだから、状態面でも不安はなさそう。菊花賞1着の実績は昨年時点のサトノクラウンを上回っており、並み居る海外勢を蹴散らしたとしても、なんら不思議ではないはずだ。

 ただし、冷静に力関係を考えると「欧州勢がとにかく強い」(土屋氏)というのも事実。過去の傾向からもフランスやイギリス調教馬が成績的に一歩リードしているのが実情だ。

 前哨戦との関連を見てもブリーダーズCターフ組の好走が目立つほか、前走が2400mか2000m戦であることが上位争いのための条件。この点で菊花賞から直行のキセキには不安がある。また栗山氏の血統分析からは、父か母の父がダンジグ系種牡馬なら大きな強調材料となり、サドラーズウェルズ系も侮れない、ということになるが、これらもキセキは満たしていないのだ。

 キセキを破る外国馬がいるとすれば、という点でも3氏の見解は一致する。

 まずは昨年2着の雪辱に燃えるハイランドリール。実績ではナンバー1であり「連戦の疲れと馬場の悪化がなければ今回も勝ち負け」(栗山氏)、「どんなレースでも自分の力は出してくる。この馬を差せるかどうかがポイント」(市丸氏)、「圧倒的な力量上位。1番手で間違いない」(土屋氏)という強豪だ。また土屋氏からの現地情報によると「ファーブル調教師が土曜の調教に現れて最終チェック。状態には満足そう」とのことで、今年も上位争いは必至だろう。

 次いでブリーダーズCターフ勝ち馬のタリスマニック。「血統的に堅い馬場が合っている」(栗山氏)、「再びハイランドリールに先着する可能性もあるのではないか」(市丸氏)、「前走がフロックでなければ好走しないはずはない」(土屋氏)という存在である。

 現地および大手ブックメーカーの人気も、ハイランドリールが一番手、キセキとタリスマニックが続き、香港のゴールドマウントが割って入れるかどうか、といった並び。

 もし“3強対決”をキセキが制することができれば、後に続く日本勢にも勇気を与えることになるはずだ。