香港カップ

Hong Kong Cup

2018/12/9(日) 17:35発走

シャティン競馬場

  

【香港カップ】栗山求氏による血統傾向と有力馬分析!

2018年12月06日 15:00

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 フジヤマケンザン(1995年)、ミッドナイトベット(1998年)、アグネスデジタル(2001年)、エイシンヒカリ(2015年)、モーリス(2016年)と、日本馬は過去5回優勝している。4レース組まれた香港国際競走のなかで最も分のいいレースだ。芝2000~2400mは国際的に日本馬の実力が高く、なおかつ2000m路線はジャパンCとさほど競合しないため、国内の強豪がエントリーしやすいという背景がある。昨年は連対できなかったものの出走3頭が3、4、5着だった。

 サングレーザーは「ディープインパクト×デピュティミニスター」という組み合わせ。母マンティスハントは現役時未勝利に終わったものの、メーデイア(JBCレディスクラシックなど重賞6勝)やロフティーエイム(福島記念)を妹に持つ良血。若駒時代のサングレーザーは道中行きたがる悪癖によって出世が遅れたが、距離を短縮し、速い流れのなかで折り合いをつけることを覚えてから出世の階段を上り始めた。2000mの札幌記念(G2)と天皇賞・秋(G1)で1、2着と崩れなかったのは馬の精神的成長によるところが大きい。当馬はエイシンヒカリと同じディープインパクト産駒だが、サンデーサイレンス系は過去10年間で3頭連対しているし、コーナー4つの右回り洋芝2000mは、前々走の札幌記念と同じで適性面に問題はない。スムーズな競馬ができれば勝ち負けになる。

 ディアドラは「ハービンジャー×スペシャルウィーク」という組み合わせ。昨年秋の秋華賞(G1)を勝ったあと、エリザベス女王杯(G1)は出負けして後方からの競馬となり12着。年明け緒戦の京都記念(G2)は道悪の影響で6着。2連敗にはそれぞれ敗因があった。ドバイターフ(G1・芝1800m)3着同着はこの馬の高い能力の証明で、秋の重賞連勝は牝馬限定戦では力が違うことを示している。とくに前走の府中牝馬S(G2)は、エリザベス女王杯(G1)を勝つことになるリスグラシューを破ったもので価値が高い。父ハービンジャーはダンジグ系で、同系は過去10年間に6頭連対している。また、母方にサンデーサイレンスとヌレイエフを併せ持つハービンジャー産駒からは、ペルシアンナイト(マイルCS)、ブラストワンピース(新潟記念、毎日杯)、ハービンマオ(関東オークス)、プロフェット(京成杯)、サーブルオール(七夕賞4着)などコンスタントに活躍馬が出ている。ハービンジャー産駒としては稀な決め手の持ち主で、札幌やドバイで好走しているように洋芝への適性も高い。勝機十分。

 ステファノスは通算5回目の香港遠征。当レースは4回目の挑戦で、過去3回は10、3、4着。年が明ければ8歳で、もう1年以上連対から遠ざかっているが、前々走の毎日王冠(G2)4着はまずまずの内容だったので、展開が向けば上位入線の可能性はある。

 昨年の香港C優勝馬タイムワープはイギリス生まれの香港調教馬。勝つか大敗か、という逃げ馬で、今年に入ってから7戦し、2月の香港ゴールドカップ(G1・芝2000m)と11月の香港ササレディースパース(G3・芝1800m)を勝った。それ以外の5レースはすべて8着以下に敗れている。父アーキペンコはキングマンボを通じてミスタープロスペクターにさかのぼる父系に属し、ヌレイエフ≒バウンド3×1という強度の4分の3同血クロスを持つ。母方にはそのクロスに絡む血が3つあり、計画に基づいて作られたとしか思えない配合だ。昨年のこのレースは1000m通過が63秒台半ばという超スローペース。勝負どころからペースを上げてまんまと逃げ切った。同じような競馬ができれば勝ち、できなければ馬群に沈む、というわかりやすい結果となりそうだ。今回は同型のグロリアスフォーエバーをどうさばくかがカギとなる。

 グロリアスフォーエバーは地元期待の4歳馬。タイムワープと同じくイギリス生まれのアーキペンコ産駒で、イギリスでデビューしたあと今年4月から香港で走るようになった。6月から3連勝と波に乗り、重賞初挑戦となった前々走の香港ササレディースパースは、勝ったタイムワープよりも約8キロ軽い斤量だったとはいえ、逃げる同馬の2番手につけてクビ差2着と好走した。前走の香港ジョッキークラブカップ(G2・芝2000m)は、逃げるタイムワープにケンカを売って2頭が競り合う形となり6着と敗れた。先行勢が総崩れとなったことを考えれば悲観するような内容ではなく、むしろ巻き返しが期待できる。無理のないペースで走ることができれば馬券圏内に食い込んでもおかしくない。

【栗山求の最終見解】

 昨年は超スローペースとなったが、今年は先に行く馬が複数いるのでペースは遅くなりそうもない。日本のサングレーザーとディアドラはしっかりと能力を出し切れそうだ。海外遠征経験がある後者も捨てがたいが、やはり天皇賞・秋2着のサングレーザーの地力が上回る。モレイラ騎乗も大きな強調材料で、適切な位置取りから切れる脚を繰り出すので勝ち負けに加わる可能性は高い。