引退の花道を連覇で飾ることができるか──昨年の香港カップではライバルたちに息つく暇を与えぬ絶妙のラップで飛ばし、レースレコードを叩き出して逃げ切り勝ち。けれん味のない堂々たる勝ちっぷりは地元ファンの心を捕らえ、2015/2016シーズンの「Most Admired Overseas Horse」に選出された。天皇賞・秋9着からの参戦もあって、9番人気とノーマークに近い立場だったことが幸いした面もあったが、レコード樹立は歴代のどの馬よりも速く走った証。それも自力でペースを作った上での記録だけに正真正銘の価値があり、今回も再現できれば勝機を得て当然だ。

問題は同じようにスイスイと飛ばしていけるか。今年も同じローテーションで臨むが、天皇賞・秋では気まぐれな性格が悪い方に出てしまい、自己ワーストの12着に終わった。日本ではパドック周回の時間が長いため、レースまで集中力を維持できない面があるようで、5月のイスパーン賞でも圧勝したように、馬場入りの早い海外では敗れたプリンスオブウェールズSも含めて、この馬らしい先行力を披露している。今年はモーリスの参戦が決まり、相手は昨年以上に強力な印象も、そのおかげでマークの集中は避けられそう。天皇賞大敗からの香港入りも昨年同様で、最後に一変の爆走を披露しても不思議はない。