日本馬の歴史
待ち焦がれた1勝、ロードカナロアが超えた壁
香港国際競走の4レースのうち、カップ、マイル、ヴァーズの3レースに関しては、いずれもG1昇格後2年以内に勝利をあげた日本調教馬だが、香港スプリントだけはまったく太刀打ちできない状態が続く。2002年のG1昇格後に挑戦した延べ10頭のうち6頭は2桁着順に沈み、最高でも7着と壁に当たっていた。
しかし、打開策も見出せない苦境に陥っていた2011年、破竹の5連勝でスプリンターズSを制したカレンチャンが、短距離路線の勢力図を塗り替えた勢いで香港に乗り込み、過去最高の5着と奮闘する。しかも、直線入り口で不利を受けなければ、さらに上の順位も狙えたかという収穫十分の内容。日本のスプリント界に、一筋の光を迎え入れることになった。
そしてついに、その時が訪れる。カレンチャンの後輩僚馬ロードカナロアも2012年のスプリンターズSで優勝。最強のバトンを受け継ぎ、カレンチャンとともに香港入りする。前年のカレンチャンが不本意な形での5着だけに、両馬とも初制覇の期待をかけられていたが、それに応えたのはロードカナロアだった。抜群の手応えで3番手を追走すると、直線の残り100mで先頭に立ち、そのまま2馬身半抜け出して完勝。勝利を願った日本のファンでさえ息を呑む横綱相撲で歴史的快挙を成し遂げた。
ロードカナロアは翌年も香港遠征を敢行し、前年の3番人気から単勝1.8倍の圧倒的支持を受ける。レースは先団を見る6番手から進め、直線入り口で逃げ馬の1馬身圏内に上昇。1年前はここから力一杯に追い出されたが、岩田康誠騎手にゴーサインを受けただけで早くも先頭に立ち、残り300mから先は独壇場と化す。ゴールを駆け抜けた時にはレース史上最大の5馬身差を築いて圧巻の連覇を果たした。
2014年はストレイトガールが3着に善戦して流れをつないだが、そのストレイトガールも2015年には9着に終わるなど、遠征した3頭がそろって完敗。日本調教馬は正念場を迎えようとしている。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|
2001 | ダイタクヤマト | 牡7 | 12 | 江田照男 | 石坂正 |
メジロダーリング | 牝5 | 13 | 吉田豊 | 大久保洋吉 | |
2002 | ショウナンカンプ | 牡4 | 10 | 藤田伸二 | 大久保洋吉 |
ビリーヴ | 牝4 | 12 | 武豊 | 松元省一 | |
2004 | サニングデール | 牡5 | 7 | 福永祐一 | 瀬戸口勉 |
カルストンライトオ | 牡6 | 14 | 大西直宏 | 大根田裕之 | |
2005 | アドマイヤマックス | 牡6 | 11 | 上村洋行 | 橋田満 |
2006 | シーイズトウショウ | 牝6 | 10 | 池添謙一 | 鶴留明雄 |
メイショウボーラー | 牡5 | 中止 | 福永祐一 | 白井寿昭 | |
2008 | ローレルゲレイロ | 牡4 | 8 | 四位洋文 | 昆貢 |
トウショウカレッジ | 牡6 | 9 | 池添謙一 | 池添兼雄 | |
2009 | ローレルゲレイロ | 牡5 | 13 | 藤田伸二 | 昆貢 |
2011 | カレンチャン | 牝4 | 5 | 池添謙一 | 安田隆行 |
パドトロワ | 牡4 | 14 | 安藤勝己 | 鮫島一歩 | |
2012 | ロードカナロア | 牡4 | 1 | 岩田康誠 | 安田隆行 |
カレンチャン | 牝5 | 7 | 池添謙一 | 安田隆行 | |
2013 | ロードカナロア | 牡5 | 1 | 岩田康誠 | 安田隆行 |
2014 | ストレイトガール | 牝5 | 3 | 岩田康誠 | 藤原英昭 |
スノードラゴン | 牡6 | 8 | 大野拓弥 | 高木登 | |
リトルゲルダ | 牝5 | 14 | M.デムーロ | 鮫島一歩 | |
2015 | ミッキーアイル | 牡4 | 7 | 浜中俊 | 音無秀孝 |
ストレイトガール | 牝6 | 9 | 戸崎圭太 | 藤原英昭 | |
サクラゴスペル | 牡7 | 12 | Z.パートン | 尾関知人 |