【海外競馬 ニュースまとめ】2018年3月

2018年04月13日 13:00

●ウィンクスが世界新記録達成
オーストラリアの名牝『ウィンクス』(牝6歳、父ストリートクライ、クリス・ウォーラー厩舎)が3月24日に豪ニューサウスウェールズ州のローズヒルガーデンズ競馬場で行われたG1ジョージライダーS(芝1500m)を単勝1.16倍の圧倒的な支持に応えて優勝。G1・17勝目を挙げて、アメリカのジョンヘンリー(1975年生まれ)が持っていた平地G1の世界最多勝記録を更新した。

 ウィンクスはこれで2015年5月のG3サンシャインコーストギニーから全て重賞を走って負けなしの24連勝。オーストラリアに留まっているため、相手に恵まれているという声もあるようだが、7つもの競馬場で走り、左回りと右回り、良馬場(Good3)から不良馬場(Heavy10)、そして1300mから2200mまで使われて、負けないといういのはやはり素晴らしい。

 世界新記録を塗り替えたG1ジョージライダーSについては着差こそ0.8馬身と目立つものではなかったが、最初の700mを45秒68というペースは馬場(Soft7=重馬場)を考慮してもかなりのスローで、上位3頭の上がり600mは全て33秒台といういわゆる上がりの競馬。しかも2着のハッピークラッパーも、3着のケメンタリも前走でG1に勝って勢いに乗る実力馬であり、さらにウィンクスが後方待機から外を回ったことを考えれば、着差以上に強い内容だったことは明らかだろう。200mごとのラップタイムで10秒台(残り400m~200mを10秒91)を刻んだのはウィンクスただ1頭だけだったことも特記しておきたい。

●ドバイワールドカップデーが開催

3月31日にドバイのメイダン競馬場で「ドバイワールドカップデー」が開催された。今年は日本から史上最多となる14頭が参戦したが、残念ながら未勝利。日本馬にかわって主役の座に躍り出たのは地元ドバイのゴドルフィン勢。メインレースのG1ドバイワールドカップをサンダースノーで制したほか、G1ドバイシーマクラシックをホークビル、G1ドバイターフをベンバトル、G1アルクオーツスプリントをジャングルキャットで優勝。1日で4つのG1を手にした。

 各レースの詳しい結果は本サイトの特集をご覧いただきたいが、今年の「ドバイワールドカップデー」で特に印象に残ったのはダートにおける逃げ有利というバイアスの強さだ。

 元々メイダン競馬場のダートは、スピードが問われる馬場で、なおかつキックバック(ダートの跳ね返り)も多いため、逃げ有利の傾向が強いのだが、前哨戦がまとめて行われた3月10日の「スーパーサタデー」と3月31日の「ドバイワールドカップデー」は高速化が進んだこともあってか、特にその傾向が顕著だった。

 この2日間ではサラブレッドのダート重賞及び準重賞が全部で8レース行われたが、その内6レースは逃げ切りで、1レースは道中逃げ争いをして、直線を僅差の2番手で向いた馬が勝った。唯一、例外といえる勝ち方だったのは、G1ドバイゴールデンシャヒーンで最後方からの追い込みを決めたマインドユアビスケッツだが、これはさすがにペースが速すぎた印象。逃げたジョーダンスポートは前走のG3マハブアルシマールでも逃げてコースレコードをマークしていたのだが、今回はアメリカの快足馬エックスワイジェットにプレッシャーをかけられたこともあってか前半600m通過が前回よりも0秒81も速かったのだ。これではさすがに粘り切れない。

 一方、逃げると思われた馬(ノースアメリカ)が出遅れたことでバイアスを生かすことができたのが、G1ドバイワールドカップを勝ったサンダースノー。同型が不在となったことで、ノースアメリカが逃げ切った前哨戦のアルマクトゥームチャレンジラウンド3よりも前半1000m通過が1秒81も遅い1分2秒23という落ち着いた流れに持ち込むことができた。出遅れまで予想することは難しいが、「メイダン競馬場のダートは逃げ有利」というバイアスは来年まで覚えておきたい。

文:秋山 響(TPC)