【香港国際競走現地レポート】地元香港馬の様子をチェック、日本の陣営にも直撃
2023年12月07日 17:35
12月7日(木)の朝は、ジョッキークラブ手配の始発バスにプレスが満載。地元の大物がコースに出るということでその様子を見るのが目的だ。
ラッキースワイネスはAWに登場して馬なりキャンター。小気味よいダクからキャンターに下ろしたときはスプリンターらしいピッチ走法だったが、その後僚馬の後ろにつけて折り合い重視の内容。力まずリラックスした走りで良く見せた。調教後の記者会見に登場したザカリー・パートン騎手も今回の騎乗馬の中ではこの馬に自信を持っているようで、今シーズン2回の敗戦にはそれぞれ明確な理由がある一方、前走ジョッキークラブスプリントで斤量差を克服した点を高く評価していた。
ゴールデンシックスティは芝コースに入った。4月以来の競馬で余裕残しと聞いていたが、確かに少し余裕はある感じだし、毛ヅヤもピーク時ほどではないように映る。能力が抜けているのでそれでも勝ち負けになる可能性はあるが、まずは馬体重発表を待ちたい。また、枠順抽選の結果がまさかの大外14番枠。2000mなどに比べたらまだマイルは外枠でもなんとかなる部分があるが、実力の一方で不安材料も出てきたという印象だ。
コックスプレート帰りのロマンチックウォリアーは3コーナー側のシュートからスタートして芝コースで僚馬の後につけるキャンター。豪州でメイチ勝負をしたあとで走っている姿はやや細身に見えたが、そのあと引き上げてくるところを見た範囲ではひどく細いということはないように見えた。
日本馬で談話を聞けたところでは、まず香港ヴァーズに出走するゼッフィーロの池江泰寿厩舎・天本悠太郎助手。「枠順にこだわりはなくどこでもよいと思っていましたが、内め(2番枠)を取れてよかったです。こちらに来てからも順調で、普段通りの調整を続け最終追い切りまでくることができました。明日(金曜)はゲート練習をする予定です」とのこと。ペースについては「あまりスローになりすぎるのは嫌ですが、ゼッフィーロの競馬ができれば」とのコメントだった。香港ヴァーズはスローになりやすいレースだが、上がり最速を6戦続けている馬だけに、位置取り次第ではスローでも克服できそうだ。
ジェラルディーナの団野勝助手は「香港についてからも落ち着いていて、気負いがなくいい感じです。昨日(水曜)の追い切りも追い切りも15から入って直線さっと伸ばし、いい動きでした。香港は2回目なので、そのぶん環境の変化にも対応できています。ペースは流れてくれたほうがよいですが、難しいですよね。まずは出遅れずスタートを決めてほしいです。明日(金曜)はAWに入る予定です」とのことだった。
香港スプリント出走予定馬では、ジャスパークローネの森秀行調教師がHKJCの会見に登場したのでそこで談話を聞くことができた。「本馬では逃げ、それも速い逃げを打つことになると思います。それがこの馬のスタイルなので。アメリカ遠征はトリッキーなコースで、コーナリングに苦戦してしまいました。香港は距離も近いので、状態も当時より良い形を維持できています」とのことだった。
香港マイル出走馬でまずお話を伺ったのが、ダノンザキッドの安田隆行厩舎・安田景一朗助手。「香港は3回目なので馬も日本にいるのと同じような感じですし、カイバもしっかり食べています。間隔が詰まっているので負荷をかけすぎず、リズム重視で調教してきました。11~12月の成績が良い馬ですし、香港の環境の馬場も合っています」とのこと。マイルを選択した理由としては、「2000mでも好走できているのですが、コーナリングが上手い馬ではないので、ワンターンのほうがよいかなと考えました」とのことだった。
ディヴィーナの友道康夫厩舎・松館昇平助手は、「無事輸送をクリアし、こちらでもリラックスしています。あとは本番でハジけるだけ、というところまでもってくることができました。7番枠という枠は、極端な枠でないという点でよかったと思います」との談話。「自分のリズムで競馬ができれば、と思います。状態は良く、勝つチャンスはあると思っています」とのことで、レースの流れと馬のリズムが合えば一発もありそうだ。
香港カップではローシャムパークの田中博康厩舎・大口晋平助手にお話を伺った。「日本を出る前の追い切りもよかったですし、プラン通りに調教することができました」とのこと。11番枠を引いてしまったが、それについては「いちばん避けたかったのはスローでインに包まれたまま、という形だったので、外枠で包まる可能性がなくなったのはよいと思います」と話していた。沙田の芝は外枠不利の傾向だが、レース運びという点ではマイナスばかりではないと考えているようだ。
(取材、文:須田鷹雄)