【ジョッキークラブGC回顧】「全然足りない」フォーエバーヤング、BCクラシック連覇へ更なる上昇誓う
2026年09月19日 16:00
G1ジョッキークラブゴールドカップが現地時間9月18日(金)、アメリカのベルモントパーク競馬場2000mダートで行われ、日本から参戦したフォーエバーヤング(牡5=栗東・矢作芳人厩舎)が優勝。2着馬に3馬身1/4差をつける快勝で、最大目標である10月31日のG1ブリーダーズカップ(BC)クラシック連覇へ最高のスタートを切った。
当初、昨年のG1ケンタッキーダービー馬にして米国年度代表馬でもあるソヴリンティが出走を予定しており、日・米年度代表馬2頭による夢の初対決が期待されていた。ところが、ソヴリンティが脚元の不安により出走を回避。注目の対戦がお預けになっただけでなく、これに続くように他の出走予定馬も続々と回避することになり、結局4頭立てのレースという寂しい顔ぶれになってしまった。
その中でフォーエバーヤングは、JRA発売分で単勝1.1倍の断然人気に応えるパフォーマンスを披露。BCの主役は今年もこの馬だと、世界中にアピールした。
レースは大外4番枠発走のフォーエバーヤングが発馬で左にモタれてしまいヒヤッとさせたが、鞍上の坂井瑠星騎手がすぐに立て直して2番手を確保。条件戦、G2サバーバンステークスと連勝中の3番人気フィリアスフォッグが先手を取り、3番手に4番人気のスターズアンドストライプス、やや離れた最後方に昨年のG1ペンシルベニアダービー勝ち馬でケンタッキーダービー3着のバエザという並びで道中は流れた。
淡々としたペースの中、真っ先に動いたのはフォーエバーヤング。3コーナー過ぎから徐々にペースアップしていくと、直線入り口を前にフィリアスフォッグを楽々とパスして早くも先頭。最後の直線半ばで1発、2発と気合付けの右ステッキを入れられたのみで、後続を全く寄せ付けずにゴール板を駆け抜けた。
「頭数的にも、メンバー的にも、なんとなく負けられない雰囲気でしたのでまずは無事に勝つことができてほっとしています。久々に緊張しました」と坂井騎手。レースプランとしては「ペースが遅く感じたので、ブリーダーズカップに向けて、前にプレッシャーをかけられるようにあのような形で動きました」と、本番を見据えての動きだったという。
一方、「直線で抜く際は良い反応を見せてくれました」と振り返ったものの、「正直最後の直線の動きに関してはまだ物足りないです」と、全体的なパフォーマンスには満足していない。
「半年ぶりなので、こんなものかなという感じですが、このままではまだブリーダーズカップでは全然足りないので、そこを上げていけばと思います」
矢作芳人調教師も「今日のパフォーマンスではブリーダーズカップは勝てないので、ここからいかに上げていくかを今から考えています。一度少しゆっくりさせて、6週間あるのでもっと中身を伴わせたいなと思っています。なんとか状態を上げて連覇できるように最大限の努力をします」と、BCクラシック連覇に向けて気を引き締めるコメントを残した。
今後、フォーエバーヤングはこのままベルモントパークで調整を続け、BCクラシックの10日ほど前に決戦の地であるキーンランド競馬場に移動する予定だという。
フォーエバーヤングは今回の勝利で日本調教馬では最多となる海外G1レース4勝目。また、4頭立ての断然1強状態だったためになおさらBCクラシックの前哨戦という側面が強調されてしまったが、ジョッキークラブゴールドカップは創設100年を超える歴史あるレースであり、歴代の勝ち馬には伝説的な名馬マンノウォー、三冠馬アファームド、G1レース11勝のシガーなど、米国競馬史を代表する馬たちが名を連ねている。
さらに、この日は3年に及ぶ改修を経てベルモントパーク競馬場がリニューアルオープンされた。その記念すべき日に行われた伝統の一戦の歴史に、日本馬のフォーエバーヤングが勝ち馬としてその名を刻んだ意義は大きい。
「もうアメリカではアウェー感がなく、ゴールして引き上げてくるときにはフォーエバーヤングの歌が流れていて、ケンタッキーダービーや最初のブリーダーズカップの時のことを考えると、本当に立場が変わったというか、みんなの馬になったなと感じます」
フォーエバーヤングを取り巻く状況、雰囲気の変化をそう語ったのは坂井騎手。日本と同じくらい、もしかするとそれ以上に米国ではフォーエバーヤングはヒーローとして称えられているのかもしれない。10月31日の大一番では米国の競馬ファンをさらに熱狂させる走りを期待したいものだ。
なお、2着はスターズアンドストライプス、3着はバエザ、4着はフィリアスフォッグだった。
文:森永淳洋