“ラストチャンス”の香港ヴァーズに燃えるパイルドライヴァーのドワイヤー騎手

2021年12月08日 10:51

 パイルドライヴァーの主戦として香港ヴァーズ(12日、シャティン競馬場)に臨むM.ドワイヤー騎手は、2004年12月にフェニックスリーチで香港ヴァーズを制した時のことを鮮明に覚えている。そして、騎手生活の晩年に再現するべく17年の空白に橋を架けようとしている。

「世界的ステージで壁を突き破るのは、どんなジョッキーにとっても大きな意味を持つ瞬間さ」と17年前を振り返るドワイヤー騎手。「私は拍手喝采を浴びた訳ではないけど、ゴールポストを駆け抜けた後にムチを打ち振ったんだ。フランキー(デットーリ騎手)が祝福に来てくれたんだ。道中の全てを幻かのように記憶しているよ」と、今でも信じられないほどの体験だったと語る。

 今やパイルドライヴァーはドワイヤー騎手だけでなく、W.ミューア&C.グラシック厩舎スタッフ全員の目に入れても痛くない存在だ。「彼が特別だと初めて解ったのは、昨年の夏にロイヤルアスコットのキングエドワード7世ステークスで凄く手応えのある加速を見せた時なんだ」「ゴチャついた英ダービー(11着)は無かったことにしているけど、グレートヴォルティジュールステークスでは斤量を負担してライバルを蹴散らし、今年はコロネーションカップと先月のチャーチルステークスで根性を見せてカムバックした」「もちろん、夏場に筋肉を痛めて休んだのはショックだったけど、時に避けられないことでもあるし、おそらく彼のベストはこれからやってくるさ」と期待を寄せるドワイヤー騎手。

 やんちゃ坊主のような気性もパイルドライヴァーらしさと手の内に入れているドワイヤー騎手は「今回は私が香港国際競走で騎乗する最後の機会になるだろう。そうならないことを望んではいるけど、だからこのチャンスを両手でつかまなければならないのさ」と燃えている。