【仏オークス】深夜に熱狂!大野拓弥騎手&清水裕夫厩舎のフォールインラブ5着「作戦でした」

2022年06月20日 15:20

<仏オークス(ディアヌ賞)>◇19日=シャンティイ(フランス)◇G1◇芝2100メートル◇3歳牝◇出走17頭

 日曜深夜に日本の競馬ファンが熱狂した-。フランス遠征中の大野拓弥騎手(35)がフランス競馬を代表するG1、ディアヌ賞(仏オークス)に騎乗。コンビを組んだフォールインラブ(清水裕夫、父シーザスターズ)は17頭立て15番人気の伏兵だったが、直線は内から馬群をさばき、堂々と5着でゴールを駆け抜けた。

 これまで3戦1勝。未勝利戦を勝っただけで、前走は条件戦で4着に敗れていたフォールインラブは今回が重賞初挑戦。「いい馬だが、G1を走るレベルではない」と酷評する欧州メディアもあった。ただ、管理する清水裕夫調教師はレース前から手応えを感じていた。「追い切りの動きは満足のいくものでした。馬は順調だし、大野騎手も勝利を挙げて乗っている。策はありますよ。イチかバチかです」。ひそかに一発を狙って臨んだ一戦だった。

 上空からのレース映像を見ると、はっきりわかるが、15番枠からゲートが開くと、大野騎手が他馬をいかせ、迷わず内ラチ沿いへ誘導している。単に経済コースを走るだけではない。シャンティイ競馬場のポイントの1つは、3コーナーから急角度に曲がっていることと、このコーナーが下り坂で必要以上にスピードが出てしまうこと。勝負どころで外へ振られていく馬たちを尻目に、インから徐々にスピードを出していく形でポジションを上げていく冷静な手綱さばきが光った。

 迎えた最後の直線、前が一瞬壁になったものの、しっかりと外に進路を確保。最後は狭いところを抜けながら懸命に追って、掲示板(5着以内)に載った。「スタートで意図的に後手に回って、内ラチ沿いを取る作戦でした。より内枠で、かつ最後に前が詰まらなければもっと上位があったかもしれませんが、これもレースのあやでしかたないです」(清水師)。勝てなかった悔しさをにじませつつも、清水師にとっても納得の走りだったようだ。

 清水裕夫厩舎にとって、今回は20年の仏1000ギニー(ヨモギ10着)以来となる2度目の仏クラシック挑戦だった。フォールインラブの次戦は8月のドーヴィル競馬場、G1ジャックルマロワ賞当日に行われるミネルヴァ賞(G3、芝2500メートル、14日)が候補に挙がっている。

 大野騎手はちょうど1週間前の12日にフランス初騎乗初勝利を達成。仏オークスが今回の遠征でまだ2度目の実戦だった。フランス競馬の大舞台で、日本のトップジョッキーの1人として、その腕をしっかりとアピールした。

出典:日刊スポーツ