【サウジC】レモンポップの田中博師「今が充実期。過程が昨年のドバイとはまったく違います」

2024年02月20日 17:30

 レモンポップ(牡6、田中博)は昨年のJRA賞最優秀ダートホースとして、サウジCに挑む。出国1週前追い切りには主戦の坂井騎手が栗東から駆けつけ、感触を確かめた。

 田中博師は「長めから行ってますし、全体的にはいい時計だと思います(ウッドで6ハロン83秒5)。今回は入厩した段階でこれまでと比べても仕上がりも歩様も良くて、すごく動ける状態でした。気持ちも張っていないですし、これまでの経験を生かしながらキリキリしないイメージで調整しています。ジョッキーが乗った感触も過去に乗った過程と比べて、いい感触を得てくれていると思います」と手応えを口にした。

 昨年は根岸Sで重賞初制覇、フェブラリーSでG1初制覇を達成。海外初挑戦となったドバイゴールデンシャヒーンは10着に沈んだが、帰国後は南部杯を大差勝ちし、チャンピオンズCも大外枠から力強く逃げ切った。田中博師は昨年を振り返り、馬の成長を実感している。「(サウジCは)すごいG1だと思いますし、なかなかお目にかかれないメンバーで、比較もできません。(レモンポップ自身は)デルマソトガケもウシュバテソーロも一緒に走ったことはないですから。レモンポップにとって、100%の適性がある条件とは思っていませんが、それは相手も同じだと思います。レモンポップ自身については前走が(競走生活の)ピークかと思ったのですけど、馬体の感じはもうひと成長あって、もう一段階パフォーマンスを上げてくるかもしれません。今が充実期であるのは間違いないと思います。デビュー当初はあまりにも未熟だったのですが、すごい変わったのが昨年の夏ですね。明け6歳ですけど、5歳のような感覚はあります。心身ともにすり減らしてはいないので。フォルム(体形)は立ち写真を見ると、どんどん変わってきているのがわかります。以前は走りというか、歩きのバランスに怖いところがあった、実際につまずくこともあったのですが、ようやく最近になって、見ていて安心できるバランスになってきました。これまでは能力でカバーしていたのが、調教が実になってきている感じです。その点、昨年の春にドバイを経験したのが大きいのかなと思います」。

 気になるのは、初海外だった昨年3月、ドバイゴールデンシャヒーンで大敗していること。2度目の海外遠征で結果を出せるのか。その点について、トレーナーはレースへの過程の違いを説明する。「昨年のドバイについては根岸Sを使って、フェブラリーSを使って、微調整、微調整という調整過程で、ドバイも維持できているとは思ったのですが、ああいう結果になって申し訳ないことをしてしまった。今回は昨年にチャンピオンズCを勝って、すぐにここを目標にしてきたので、いい過程で行ける。そこに関しては昨年のドバイとはまったく違います。違うオーナーですが、去年は厩舎から3頭(他にローシャムパーク、レーベンスティール)、海外へ行かせてもらって、どれも人気を裏切る形になってしまったのは重く受け止めています。海外遠征のセオリーを自分で作っていたものがありすぎたと反省してるし、形にはめすぎないように、と思っています。厩舎全員でそれは受け止めています。(例えば)現地の調教を見て、馬場の違いについて、先入観を持ちすぎないように、ということですね」。

 田中博師はレモンポップを「いつもこちらの想像を超えてくれる馬」と評してきた。日本を代表するダートホースとして、世界最高賞金額、サウジCへの参戦。それでも挑戦者の気持ちに変わりはない。「サウジCは昨年のドバイとは過程が全然違いますが、中京の1800メートルよりは向くとは思いますけど、根本は距離的には適距離ではないというのがあります。(レモンポップの)ベストは1400メートルと思っていて、それを伸ばしてきていますので、安易には考えていません。そこは壁、チャレンジですね。この馬はこれまでチャレンジを続けてきた馬ですから。距離がもっているのは、戸崎さんが丁寧に乗ってきてくれたことも大きいと思っています。同じ目線で乗ってきてくれました。(中間に元騎手の福永師が乗ったのは)引き出しが多くて、どういう印象を得るのか、こちらも生かせるアドバイスがあるのかなと思って、乗っていただきました。(初対戦のウシュバテソーロは)素晴らしい馬だと思っています。向こうはコーナー4つで結果を出してきているので、どういう競馬をするのかな、と。昨年はドバイへ行く前に一緒に国内最終追い切りで併せていたので、こういう形で一緒に走るのは感慨深いですね」。

出典:日刊スポーツ