【香港国際競走回顧】ダノンスマッシュ親子制覇の快挙、ノームコア海外G1初勝利! 2年連続で日本馬躍動!

2020年12月15日 15:00

 世界中の競馬が今年は新型コロナウィルスに翻弄された。そんな中、現地時間13日、香港・シャティン競馬場の良馬場で香港国際競走が無事に開催。3つのレースに6頭の日本馬が参戦した。

 日本馬の出走がなかった香港ヴァーズはアイルランドのモーグルが優勝し、今年の国際レースが幕を開けた。続いて行われたのが香港スプリント(G1、芝1200m)。14頭の出走馬のうち日本からはダノンスマッシュ(牡5歳、栗東・安田隆行厩舎)とタワーオブロンドン(牡5歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が参戦。それぞれ3、5番人気(以降含め全てJRAでの人気)に推された。

 レースは2番人気のクラシックレジェンド(せん5歳、香・C.ファウンズ厩舎)が出遅れる展開。1番人気のホットキングプローン(せん6歳、香・J.サイズ厩舎)が5番手、ダノンスマッシュはその少し後ろの中団。更に後ろにタワーオブロンドンが続いた。

 先行勢はマクリ合うような形でどの馬も早目に仕掛けたため、結果的に総崩れ。中団にいたダノンスマッシュがR.ムーア騎手を背に1分08秒45の時計で突き抜け父ロードカナロアとの親子制覇を果たした。また、更に後方にいたジョリーバナー、ラタン、ウィッシュフルシンカーら地元の人気薄勢が追い上げて上位で入線。タワーオブロンドンは13着に沈んだ。

 香港マイル(G1、芝1600m)は昨年の覇者アドマイヤマーズ(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)が連覇を狙って参戦。本来騎乗予定だったC.スミヨン騎手が新型コロナウィルスの再検査を要請されたためR.ムーア騎手に乗り替わりとなった。

 10頭立てのレースは予想通りカーインスター(せん5歳、香・A.クルーズ厩舎)が逃げたが、アドマイヤマーズが掛かり気味に並びに行く。これでラップが速くなり先行勢が苦しくなった。最後は後方に控えていた10連勝中のゴールデンシックスティ(せん5歳、香・K.ルイ厩舎)が末脚を炸裂。一気に突き抜けた。勝ち時計は1分33秒45。

 先行勢では唯一踏ん張っていたアドマイヤマーズだが最後の最後でサザンレジェンド(せん8歳、香・C.ファウンズ厩舎)の差しに屈して3着となった。

ノームコア(右)が香港Cで海外G1初制覇を果たした。(Photo by The Hong Kong Jockey Club)

 メインとして行われた香港カップ(G1、芝2000m)は8頭立て。そのうち3頭が日本馬だった。同距離の天皇賞(秋)で昨年2着、今年は4着のダノンプレミアム(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)が2番人気、ディフェンディングチャンピオンであり昨年のQE2Cの勝ち馬でもあるウインブライト(牡6歳、美浦・畠山吉弘厩舎)が4番人気、前々走の札幌記念を圧勝していたノームコア(牝5歳、美浦・萩原清厩舎)が5番人気。1番人気には今年だけでG1を3勝しているマジカル(牝5歳、愛・A.オブライエン厩舎)が推された。

 逃げたのは大方の予想通りタイムワープ。少し離れた2番手にダノンプレミアムがいて3番手がフローレ(せん6歳、香・A.クルーズ厩舎)。その後ろにウインブライト、更に後ろにマジカルとノームコアが続いた。序盤はゆったりした流れで1200mの通過ラップは1分14秒31。上がり勝負の様相となった。

 3~4コーナー、外から動いて行ったのがダノンプレミアム。これを追走するようにウインブライトも進出。その後ろの内からマジカル、外からノームコアも差を詰めて直線に向いた。直線半ばで一旦抜け出したのがダノンプレミアム。ラスト150mで馬場の真ん中からウインブライト、大外からノームコアが追い上げて一瞬、日本勢の上位独占かと思えた。そんな中、最も良い脚を使ったのがノームコア。最後は1馬身抜け出し2分00秒50の時計でゴールした。2着争いは一杯になったダノンプレミアムをウインブライトとマジカルがかわして決着。日本勢は1、2、4着と活躍した。

 ノームコアはヴィクトリアマイル以来のG1制覇。騎乗したのはこれもスミヨン騎手からの乗り替わりとなったZ.パートン騎手だった。

取材・文:平松さとし