【ドバイワールドカップデー回顧】ドバイWCを人馬ともに日本勢が制す快挙達成!

2023年03月27日 13:25

 現地時間3月25日、ドバイ・メイダン競馬場でドバイワールドカップデーが開催された。ドバイターフ(G1)に出走を予定していたドウデュース(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)が出走取り消しとなったのは残念だったが、それでも26頭もの日本調教馬が中東入り。6つのレースに出走した。

 連覇を狙ったバスラットレオン(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)等3頭の日本馬が出走したゴドルフィンマイル(G2、ダート1600メートル)こそ、同馬の4着が最高に終わったが、UAEダービー(G2、ダート1900メートル)ではデルマソトガケ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)が優勝。C.ルメール騎手に導かれて見事に逃げ切り勝利を演じ、アメリカ、ケンタッキーダービー(G1)への出走権を掌中に収めた。

デルマソトガケが逃げ切って米ケンタッキーダービーへの出走権を獲得した。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 「最後まで全く脚色が衰える感じはなく、考えていた以上に強い勝ちっぷりでした」

 騎乗したルメール騎手は満面の笑みでそう語った。

 ゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200メートル)にはフェブラリーS(G1)の覇者レモンポップ(牡5歳、美浦・田中博康厩舎)等4頭が出走したが、同馬は10着。日本馬ではリメイク(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)の5着が最高だった。

 続いて行われたドバイターフ(G1、芝1800メートル)は先述した通り横綱格と思えたドウデュースが取り消していたこともあり、3連覇を果たした(昨年はパンサラッサと1着同着)ロードノースの前に3頭の日本馬が後塵を拝む結果。それでもダノンベルーガ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)は2着に健闘し、このカテゴリーでの日本馬のレベルの高さは示してみせた。

 今年のドバイのメインイベントは残された2つの競走に待っていた。

 まずはドバイシーマクラシック(G1、芝2410メートル)。ドバイターフを取り消したドウデュースと東西の横綱を分け合う存在と思えたのが、ここに駒を進めて来たイクイノックス(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。

ドバイシーマCはイクイノックスがノーステッキで圧勝した。(Photo by Getty Images)

 昨年のJRA賞年度代表馬にも選定された同馬はJRAプールの馬券で圧倒的な1番人気に支持されると、それに恥じぬ競馬ぶりを披露してみせた。主戦のルメール騎手を背に、スタートからハナを奪った同馬は、最後の直線で持ったまま後続との差を広げる。結果、ゴールを前にして鞍上が鞍下のタテガミを撫でる余裕の勝利。最後は流しながらも2着のウエストオーバー(アイルランドダービー・G1をぶっち切って優勝)に3馬身半の差をつける圧巻の走りぶりを披露。勝ち時計の2分25秒65はレコードタイムのおまけ付きとなった。

 「直線に向いて足音が聞こえなくなったので、後ろを振り返ったらアッと言う間に差が開いていました」

 だから早々に勝利を確信したというルメール騎手。イクイノックスは昨年の天皇賞(秋)、有馬記念に続きG1を3連勝。連覇を目指したシャフリヤール(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)は5着、昨年暮れの香港ヴァーズに続く海外G1連勝を狙ったウインマリリン(牝6歳、美浦・手塚貴久厩舎)は6着に敗れた。

 メインレースのドバイワールドカップ(G1、ダート2000メートル)は15頭立て。史上初めて過半数となる8頭もの日本馬が出走した。

 中でも注目を浴びたのがパンサラッサ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)。昨年のドバイターフの勝ち馬は、直前の2月に世界最高賞金額のレースであるサウジC(G1)を逃げ切り勝ち。ここも得意の逃げる形に持ち込めれば、中東のダートG1を連勝するシーンもあるかと思われた。

 しかし、レースは厳しいモノとなった。出走15頭中の大外15番枠からスタートしたパンサラッサだが、前走のサウジCほどのスタートを決められない。すんなりと行かせてもらえないまま、コーナーに差し掛かる。外枠という事もあり、序盤から厳しい競馬を強いられた。

 パンサラッサがようやくハナに立てたのは向こう正面に入ってから。それも単騎というわけではなく、横にも直後にも他馬がいる形。とくに有力馬の1頭であるアルジールスに後方につかれる形では息が入らなかった。

 日本勢はテーオーケインズ(牡6歳、栗東・高柳大輔厩舎)とジオグリフ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)が昨年の覇者カントリーグラマーらと共に中団、その後ろの内にヴェラアズール(牡6歳、栗東・渡辺薫彦厩舎)、外にカフェファラオ(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)が追走。ジュンライトボルト(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)、クラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)は後方。更に後ろ、最後方からウシュバテソーロ(牡6歳、美浦・高木登厩舎)が続いた。

 4コーナーをカーブし、直線に入る時には残念ながらパンサラッサが馬群に呑み込まれた。対照的に絶好の手応えだったのがアルジールス。2番手の外で直線に向くと、ラスト300メートルでは堂々と先頭に躍り出る。2つの前哨戦をそれぞれ6馬身半、6馬身差で勝って来ただけに、ここも後続を突き放しにかかるかと思われたが、外から1頭だけ、この馬に迫って来る馬がいた。

大外一気で勝負を決めたウシュバテソーロ。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 ウシュバテソーロだ。

 日本のリーディングジョッキー・川田将雅騎手にいざなわれ序盤は最後方を進んだ同馬だが、徐々に進出すると、直線では大外から一気。アルジールスを捉えると、最後は2.75馬身突き抜けてゴール。2011年にヴィクトワールピサがドバイワールドカップを制しているが、当時はオールウェザーの馬場だった。ウシュバテソーロはダートのこのレースを制した初の日本馬となった。

 「スタートをスムーズに出たので、馬のリズムを崩さないように乗りました」

 こちらも日本人騎手として史上初めてドバイワールドカップを制した川田騎手は嬉しそうな表情でそう語った。

史上初めて日本人騎手としてドバイWCを制した川田将雅騎手。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 また、管理する高木調教師は「秋には凱旋門賞(仏、G1)も視野に入れたい」。世界のダートで頂点を極めたオルフェーヴル産駒の、秋の動向が一気に注目される事となり、2023年のドバイワールドカップデーは幕を閉じた。

取材・文:平松さとし