須田鷹雄の香港国際競走2025注目馬~香港ヴァーズ編

2025年12月12日 10:20

 今回の国際競走4競走で、予想がいちばん面白いのが香港ヴァーズ。地元馬が強くないレースなので欧州の遠征馬が多く、本来このレースに強いはずの日本馬が1頭しかいないことで混沌とした状況になっている。

◎日本馬のチャンスは?

 アーバンシックは能力的にはこのレースで勝ち負けできるだけのものがある。問題は位置取りと展開。香港ヴァーズは例年前半が流れず、どんどん加速するラップ構造になりがち。今年は先行タイプが多いが、それでも前半の流れは遅くなるだろう。かなりのキレ味が要求されるし、いわゆるグリーンベルトができている開催なので、「後ろから外」だと相当に力がないと勝ち負けに持ち込めない。日本プールでは人気になるだろうし、買う場合は敢えて3連単の3着、2着を意識した買い方にしてみたい。

◎注目外国馬1 ソジー

枠順抽選でソジーは8番枠に決まった。(Photo by Kazuhiro Kuramoto

 このレースではクールモア勢とならんで常連的存在のアンドレ・ファーブル厩舎。一昨年優勝のジュンコ、2022年4番人気2着のボタニックなど結果も出ている。フランス調教馬はもともとボルジア、ダリヤカナなど牝馬が香港ヴァーズに強いと言われていたのだが、最近は牡馬やセン馬も普通に走っている。

 本馬は前付けも可能である一方自在性もあるという脚質が魅力。どちらかというと好位抜け出しのイメージだったが、今年の凱旋門賞では道中10番手から差して3着と新しい面を見せた。直線なんらかの形で伸びてくる馬で、いわゆる「タレた」という競馬は逃げる形になったエクリプスSくらい。今回は枠順が中途半端な点が気になるが、ラチ沿いか内から2列目、前から3~4番手あたりを取れれば馬券圏内の争いに持ち込めると見る。

◎注目外国馬2 ジアヴェロット

道悪の凱旋門賞で好走したジアヴェロット。(Photo by Kazuhiro Kuramoto

 リピーター予想のような注目馬で申し訳ないが、やはり昨年の覇者を挙げておきたい。昨年のレースも後半は2ハロンごとで24秒32→23秒87→23秒26と加速する形だったのだが、そこを4角11番手から差し切った。正直当時は全く想定外の好走だったのだが、よほど沙田が合う可能性がある。

 問題があるとしたら状態面。先に挙げたソジーもだが、道悪の凱旋門賞で好走した疲れ等が残っていないかどうかは気になる。ただ11月に入ってメルボルンCを使っているアルリファーや、BCターフで大敗した直後のゴリアットに比べると、凱旋門賞組はレース間隔という点で買いやすい。

(取材、文:須田鷹雄)