【キングジョージ回顧】「アスコットは大変」ルメール騎手が語った敗因、マスカレードボール伸びず7着

2026年07月27日 15:00

 欧州2400m戦線における夏の最強馬決定戦、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスが現地時間7月25日(土)、英国アスコット競馬場2390m芝で行われ、日本から参戦したマスカレードボール(牡4=美浦・手塚貴久厩舎)は9頭立てで7着、ヴェルテンベルク(牡6=栗東・宮本博厩舎)は9着に敗れた。

 連覇を狙うカランダガン(セン5=仏・F.グラファール厩舎)、ライアン・ムーア騎手騎乗の今年の愛ダービー馬ベンヴェヌートチェッリーニ(牡3=愛・A.オブライエン厩舎)など出走9頭中、7頭がGI馬という豪華メンバーの中、昨年の秋の天皇賞馬マスカレードボールはJRA発売オッズでは単勝2番人気。それほどまでに日本の競馬ファンの期待を背負っていたが、欧州最高峰の壁は分厚かった。

「スタートがあまり上手ではない馬ですので、後ろの方になってしまいましたが、悪いポジションではなかったです」と、手綱をとったクリストフ・ルメール騎手。ゲートは少し飛び上がるように出て、道中はカランダガンと並んで最後方のインを追走。日本でも末脚を生かす競馬をしており、このポジション自体はジョッキーも振り返った通りに大きな不利になるようなものではなかっただろう。ただ、ペースが想定以上にスローとなったのが痛かったようだ。

「前半のペースはそれほど早くはなかったので、馬は落ち着いていなかったです」

 レースを見守った手塚調教師も「思いのほかこちらが想像した以上にスローだったということをルメール騎手と話しました。少し下りで力んでしまったのがもったいなかったです」と話しており、リズム、折り合いともにスムーズとは行かなかったことが最後の上がり勝負で後れを取る原因となってしまったか。

 最終コーナーで最大のライバルであるカランダガンが外から勢いよく上がっていったのに対して、マスカレードボールはついて行けず置かれる形に。最後の直線では何とか盛り返そうとしていたが、上位争いに加わることはできなかった。

「坂まで一生懸命走ってくれて、最後の直線でも頑張ってくれましたが、ギアをアップすることが残念ながらできなかったです。アスコット競馬場は大変なコースですね」(ルメール騎手)

 伝統の“キングジョージ”で日本調教馬初の快挙はならなかった。昨年のジャパンカップでカランダガンと互角の走りを展開したマスカレードボールならば……という期待は高かったものの、ルメール騎手が語ったようにタフなアスコット競馬場を日本馬が攻略するのはやはり並大抵のことではないということだろう。しかしながら、手塚調教師は「まだまだこれからなので、今日の敗戦を糧にしたいです」と前を向くコメント。今回の経験をもとにさらにパワーアップしたマスカレードボールを、来たる秋に見たいものだ。

 一方、ヴェルテンベルクはちょうど中団から運んだものの、最終コーナーを待たずしてズルズルと後退してしまい最下位の9着に終わった。「スタートは良く、最初の2から3ハロンは気持ち良く走っていました。ポジション的には後方から控えて、あと1ハロンくらいから手応えが良くなく、その段階から仕掛けたのですが反応しませんでした」と騎乗したオイシン・マーフィー騎手。大差遅れてのゴールだっただけに馬の状態も心配されたが、宮本調教師によればマーフィー騎手が無理をさせなかった結果だという。ヴェルテンベルクも今回の悔しさをバネに、クロワデュノールを追い詰めた天皇賞(春)を再現するような活躍を秋に期待したい。

 日本馬の苦戦とは対照的な走りで、夏の欧州最強馬に輝いたのはJRA発売オッズ4番人気だった牝馬のカルパナ(牝5=英・A.ボールディング厩舎)。ただ1頭の出走となった地元英国馬の意地を見せた格好だ。道中は中団4番手の位置取りから、最後の直線は鋭い伸び脚を披露。外から迫るベンヴェヌートチェッリーニ、さらに大外から強襲してきたカランダガンの人気牡馬2頭を振り切り、1馬身半差をつけての完勝だった。

連覇逃したカランダガンは2年連続ジャパンC参戦も視野に入れる。(Photo by Getty Images)

 カルパナは2024、25年と連覇した英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークスに続くGIレース3勝目。昨年のキングジョージ2着馬でもあり、今年はカランダガンに雪辱を果たす会心の競馬だった。父は仏ダービー馬のスタディオブマン、さらにその父がディープインパクトという日本にもゆかりのある血統。秋の凱旋門賞に向けて“ディープの孫娘”でもあるカルパナは日本の競馬ファンからの注目もさらに高まっていきそうだ。

 なお、JRA発売オッズで単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されていたカランダガンは2着に敗れ、史上4頭目のキングジョージ連覇はならず。今後の展望に関してグラファール調教師は「また日本へ行けたら夢のようですね」と現地メディアのレーシングポストに対して答えており、JC連覇を狙って再び日本に上陸する可能性もありそう。もし実現となれば、今年の秋の府中も大きな盛り上がりとなりそうだ。

文:森永淳洋