A.オブライエン師が世界を制す5つの理由

2017年10月29日 06:30

A.オブライエン調教師は如何にして記録破りのシーズンを生み出してきたのか、プレスアソシエーションスポーツが5つの理由について考察する。

「高い基準」

オブライエン師の信じがたい成功については当然と見る向きもあるだろう。いかにも、彼は最高の種牡馬所有組織と関係し、ガリレオ産駒を意のままに扱うことができる。多くの調教師が同じようにできればと思うことだろう。しかしながら、彼の膨大な手駒に“寡黙な”魔法がかかる回数など片手で数えられる程度でしかなく、年間を通じてサラブレッドをピークに保つことがどれほど大変か過小評価すべきではない。

「層の厚さ」

オブライエン師はG1勝ちを幾重にも重ねてきただけでなく、いくつかのレースで2着、時には3着まで馬を送り込んだ。単勝41倍のウイングスオブイーグルスが上位人気のクリフスオブモハーを破った今年の英ダービー以上の実証はない。彼は英1000ギニーでワンツー、愛1000ギニーでも3着まで独占してみせた。

「細部に及ぶ関心」

オブライエン師は大レースを勝つたびに関係者や厩舎スタッフの名を調べ上げ、格式あるレースを勝つやいなや数百人のスタッフの中から名前を思い出すことができる。そうした姿勢が、彼の人間性を物語っている。各G1レースの前、どんなに多くの馬を出走させようとも、オブライエン師は自分自身で鞍をつけ、運任せにすることなく全ての責任を負う。

「ライアンの力」

世界最高の調教師には世界最高の騎手が必要だ。オブライエン師が次の段階に進むのと時を全く同じくして、ライアン・ムーアが大黒柱となったことは必然とも言えよう。ムーアの世界的手腕はオブライエン師にとって財産であり、もしムーアという騎手がチームの一員でなかったなら、燃料満タンのマシーンであってもこれほどまでにスピードを出すことができたか、ほぼ想像不可能だ。

「家族を大事にする人物」

オブライエン師は折に触れて自身を歯車の一つに過ぎないと評する。バリードイル厩舎の大きな車輪にあって不可欠なそれではあるが、妻アナマリーや子供たちが、彼の成功に果たした役割を過小評価してはいけない。かつて調教師だったアナマリーは幾年にもわたって夫に付き添ってきた。長男のジョセフは調教師に転身する前、2012年のキャメロットや2014年のオーストラリアでの英ダービーをはじめ数々の大レースを制した。ジョセフの兄弟のサラやアナ、ドナカも皆、才能ある騎手だ。それは競馬場でも、何より調教においても変わらない。