【とっておきメモ】BC2勝の矢作師、世界中で流した悔し涙が結実

2021年11月08日 13:20

 米国競馬の祭典ブリーダーズCで、JRA矢作芳人調教師(60)が1日2勝の快挙を達成した。BCフィリー&メアターフ(G1、芝2200メートル)をラヴズオンリーユー(牝5)で制し、日本調教馬としてBC初勝利。その3レース後のBCディスタフ(G1、ダート1800メートル)をオルフェーヴル産駒マルシュロレーヌ(牝5)で制し今度は日本馬初の米ダートG1制覇を果たした。
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 世界中で悔し涙を流してきた。そして今がある。矢作厩舎の海外出走は今回で延べ28頭目。開業4年目の08年から挑み続けてきた。

僕が忘れられないのが、まだ海外G1未勝利だった14年の香港だ。クイーンエリザベス2世Cに出走したアンコイルドが最下位10着に大敗した。下馬評は低く、現地でも単勝75倍の低評価。誰も責める者などいない。そんな中でレース後の検量室前には、声を詰まらせて悔し泣きする矢作師の姿があった。

 「いつまでも結果を出せず申し訳ない。馬は一生懸命に走ってくれた」

 そんな姿を意外に思ってしまった自分を反省した。どんなに見くびられていても、常に勝つ気で挑んできた。今回のマルシュロレーヌは現地で単勝50・9倍と「ばかにされた」(矢作師)が、日本馬による米国ダートG1初制覇を達成。本気の挑戦の積み重ねが、執念の鼻差につながったようにも思えた。【中央競馬担当=太田尚樹】

出典:日刊スポーツ