【BCディスタフ】「なんて日だ!」矢作師BC1日2勝の快挙 全米が驚いた

2021年11月08日 17:50

<BCディスタフ>◇6日(日本時間7日)=米デルマー◇G1◇ダート1800メートル◇出走11頭

 なんて日だ! 矢作芳人調教師(60)が1日BC2勝の快挙を達成した。BCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーで制したのに続き、オルフェーヴル産駒マルシュロレーヌ(牝5)が日本馬初の米ダートG1制覇を果たした。オイシン・マーフィー騎手(26=アイルランド)を背に、9番人気で単勝49・9倍の低評価を覆し、後方から大外をまくって押し切った。日本で馬券が発売されたBC3競走の売り上げは13億円を超えた。
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 全米が驚いた。「Who!?」(誰だ)。どよめきが起きたのは4コーナーだ。太平洋からの浜風を浴びながら、日の丸カラーのメンコが後方から大外をまくって先頭に立つ。単勝49・9倍の9番人気マルシュロレーヌだ。ケンタッキーオークス馬2頭を含む米国最強牝馬たちを従えて直線へ。人馬とも歯を食いしばり、内のダンバーロードの猛追を鼻差で退けた。日本人初Vを含むBC1日2勝を挙げた矢作師は、チームで抱き合って歓喜を叫んだ。

 矢作師 もう死んでもいい。なんて日だ! 何で(低評価で)ばかにされてるのか不思議だった。ダートで勝てたのがうれしい。(ゴールの)スロー映像を見ると際どかったけど、勝ててよかった。

 また1つ、重い扉をこじ開けた。本場米国でのダートG1制覇は日本調教馬初。しかも最高峰のBCだけに価値は絶大だ。「米国のダートは日本とは全く異質で、芝もこなせる馬が適応すると思ってきた。芝でも勝っている馬(3勝)だし、挑戦に値すると思う」と適性を見込み、G1未勝利馬をあえて挑戦させた。

 3年連続英国リーディングの名手にとってもBC初制覇となった。マーフィー騎手は右手を突き上げ「世界最大のステージで夢がかなった」。日本に魅了されるきっかけとなったオルフェーヴルの産駒を大胆な騎乗でエスコートした。「全力を尽くして勝利に導いてあげたいと思った。展開に恵まれた部分もあるがすばらしい走りをしてくれた」。日本人のような謙虚さで好騎乗を振り返った。

 古来の血統が米国で開花した。祖母はキョウエイマーチ。1930年代に輸入された9代母シユリリーから日本に息づいてきた牝系だ。帰国後は未定だが、所有するキャロットクラブの規定により来春には繁殖入りする見通し。大偉業に続いては、その血をつなぐ使命が待っている。

出典:日刊スポーツ