【ケンタッキーダービー】現地ジャーナリストが書いたクラウンプライドの血統「面白い事実」とは

2022年05月01日 18:35

 ケンタッキーダービー(G1、ダート2000メートル、5月7日=チャーチルダウンズ)の公式ホームページには、日本から挑むUAEダービー馬クラウンプライド(牡3、新谷)について、現地米国のジャーナリスト(ケリー・ライリー氏)が書いた同馬の血統に関する記事が掲載されている。「彼の血統の面白い事実」として挙げられたのは10項目。これを読むと、クラウンプライドの血統とケンタッキーダービーとの深すぎる? つながりが見えてくる。必読です。

「1、リーチザクラウンと米3冠競走の関係性」

 リーチザクラウンの父の父が89年にケンタッキーダービーとプリークネスSを制した伝説の2冠馬サンデーサイレンスであること。リーチザクラウンの母の父が77年の米3冠馬シアトルスルーであること。リーチザクラウンの3代母シックスクラウンズが73年の米3冠馬セクレタリアトと名牝クリスエバート(74年にニューヨーク牝馬3冠を制覇)の娘であること。リーチザクラウンの祖母クラシッククラウンの半兄チーフズクラウンが84年のBCジュベナイル覇者で、85年の米3冠競走ではケンタッキーダービー3着、プリークネスS2着、ベルモントS3着の成績を残したこと。リーチザクラウンの牝系には88年のケンタッキーダービーを制した牝馬ウイニングカラーズがいること、が書かれている。

「2、リーチザクラウンは09年の日本ダービー2着馬」

 リーチザクラウンが09年に日本の3冠競走(皐月賞、ダービー、菊花賞)を完走したこと。日本の3冠は米3冠(ダート)と異なり、芝で行われ、春から秋にかけて長い期間で行われ、最後の菊花賞が3000メートルの距離で行われること。リーチザクラウンの競走成績が紹介されている。

「3、クラウンプライドの祖父(父の父)と母の父はともに日本ダービー馬」

 スペシャルウィークが皐月賞、ダービー、菊花賞のすべてで1番人気だったこと、99年に天皇賞春秋連覇を果たしたこと。キングカメハメハが04年のダービーを当時のレコード2分23秒3で制し、NHKマイルCも1分32秒5の好時計で制したこと。2頭の戦績が紹介されている。

「4、スペシャルウィークの代表産駒は牝馬」

 10年の年度代表馬ブエナビスタが4年連続でG1制覇を果たし、ジャパンCや天皇賞・秋で牡馬を破っていること。また、05年のオークス馬シーザリオが太平洋を横断し、ハリウッドパーク競馬場でアメリカンオークスを制したこと、同馬が14年のジャパンC覇者エピファネイアやリオンディーズ、サートゥルナーリアなどのG1馬を生んでいることを紹介している。

「5、キングカメハメハは芝とダートでレガシーを残した」

 キングカメハメハがサンデーサイレンスとは異なる系統の偉大な種牡馬であること。芝では年度代表馬ロードカナロア(アーモンドアイの父)、日本の3冠牝馬アパパネ、15年のダービー馬ドゥラメンテ、17年のダービー馬レイデオロを出したこと。ダートでは2年連続でドバイワールドカップ入着のチュウワウィザードを出したこと。母の父として、白毛のG1馬ソダシ、3冠牝馬デアリングタクト、ドバイゴールドカップを制したステイフーリッシュを出していることが書かれている。

「6、キングカメハメハの半兄はサンタアニタダービー馬」

 キングカメハメハの半兄ザデピュティが00年のG2サンフェリペSでフサイチペガサスの2着に入り、G2サンタカタリナS(現ロバート・B・ルイスS)とG1サンタアニタダービーを勝っていること。ケンタッキーダービーで14着だったこと。キングカメハメハの母マンファスの父がBCマイル覇者ラストタイクーンであること。キングカメハメハの父キングマンボは複数回G1を勝っており、その父がミスタープロスペクター、母がマイル女王のミエスクであること。クラウンプライドの血統では母の父キングカメハメハも、父リーチザクラウンもミスタープロスペクターの血を持っていることが紹介されている。

「7、クラウンプライドの祖母は無敗のサンデーサイレンス産駒から生まれた」

 クラウンプライドの祖母エミーズスマイルはサンデーサイレンスの後継種牡馬アグネスタキオンの産駒であること。クラウンプライドはサンデーサイレンスの3×4のインブリード(近親交配)であること。アグネスタキオンは4戦無敗で01年の皐月賞を制しており、アグネスタキオンの母アグネスフローラもまた90年の桜花賞を制したクラシックホースであることを紹介している。

「8、クラウンプライドの3代母はダンシングブレーヴの優良後継種牡馬の産駒」

 3代母エミスフェールは欧州の史上最強馬ダンシングブレーヴの後継種牡馬ホワイトマズルの産駒であること。ホワイトマズルが93年のG1(当時)イタリアダービーを5馬身差で制し、同年の凱旋門賞、93、94年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで2着になっていること。ホワイトマズルを93年の凱旋門賞で首差で破った馬がアーバンシーであり、同馬がガリレオとシーザスターズを生んでいることが紹介されている。

「9、クラウンプライドの4代母の父は凱旋門賞馬トニービン」

 4代母グレイエミネンスは88年の凱旋門賞馬トニービンの産駒であること。トニービンが日本でリーディングサイアーになり、年度代表馬のジャングルポケットとエアグルーヴを出したこと。トニービンが母の父として、ハーツクライやカレンチャン、トランセンド、アドマイヤグルーヴ(エアグルーヴの娘)を出したことを紹介している。

「10、アメリカの牝系をたどっていけば女王キルまでさかのぼる」

 クラウンプライドの5代母はケンタッキー産馬で、日本へ輸出されたグレイキルであること。グレイキルの牝系をさかのぼると、1958年の2歳女王キル(※クラウンプライドの8代母)がいること。キルは3歳時の59年にエイコーンS、マザーグースS、60年にデラウェアHを制していること。キルは父がプリンスキロ、母の父が1943年の米3冠馬カウントフリートという血統であり、後世に大きな影響を与えた繁殖牝馬であったこと。キルが生んだ馬にはカナダのG1馬ワンフォーオール、アイルランドと米国でG1を勝ったコーカサスがいて、孫にはランザガントレット、日本のマルゼンスキーがいて、マルゼンスキーはスペシャルウィークの母の父であること。キルの祖母には1939年のピムリコオークスを勝ったアルムスがいて、アルムスの半兄トゥエンティグランドは1931年にケンタッキーダービーとベルモントSを制し、同年の米年度代表馬に輝いていること。母系をさらにたどると、04年エルウッド、06年サーフオンという2頭のケンタッキーダービー馬が出ていることが紹介されている。

◆馬券発売 JRAは5月7日に米ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーダービーの馬券発売を行う。発走は日本時間5月8日午前7時57分。同レースの馬券発売はマスターフェンサー(6着)が出走した19年以来3年ぶり。

出典:日刊スポーツ