G1英チャンピオンS、デットーリ騎乗のキングオブスティールが劇的勝利

2023年10月22日 13:48

 G1英チャンピオンステークス(3歳以上、芝10ハロン)が現地21日にアスコット競馬場で行われ、L.デットーリ騎乗の1番人気キングオブスティールが最後方の8番手で直線に入ると、7番手から先に抜け出した4番人気ヴィアシスティーナをゴール前で差し切った(3/4馬身差)。

 最内枠のキングオブスティールはゲートを出るとデットーリ騎手がすぐに手綱を引き、ヴィアシスティーナと並ぶように向正面のスウィンリーボトムに向かう。そのまま内ラチ沿いでロスを防ぐと、外から先に動くヴィアシスティーナの後ろに回り込み、最後尾で直線に入った。

 直線入口では道中6番手の3番人気オリゾンドレとヴィアシスティーナの反応が良く、やや置かれる格好になったキングオブスティールだが、オリゾンドレとの叩き合いからヴィアシスティーナが残り1ハロンで抜け出すと、合わせるようにギアをもう一段上げ、最後の数完歩で勝利をさらった。

 ヴィアシスティーナから2馬身差の3着にオリゾンドレが粘り込み、連覇を狙った2番人気のベイブリッジは最下位の8着に敗れた。なお、モスターダフは馬場の悪化を受けて当日に出走を取り消した。

 R.ヴェリアン調教師が管理するウートンバセット産駒のキングオブスティールは、英ダービーでディープインパクト産駒オーギュストロダンの2着。次戦のG2キングエドワード7世ステークスでは後の英セントレジャー馬でハーツクライ産駒のコンティニュアスを下して重賞初制覇を飾り、それ以来の白星で初のG1タイトルを手にした。

 英競馬メディア『attheraces.com』などによると、デットーリ騎手は「いきなり厄介なことになったんだ。彼が躓いたりして流れに乗せられず、ミカエル(バルザローナ騎手=オリゾンドレ)の後ろにつけることにした。負かすべき相手と思っていたからね。そうしたら、オイシン(マーフィー騎手=ヴィアシスティーナ)が良さそうだった」「彼(キングオブスティール)はもうひと伸びして踏ん張り、歓声が後押ししてくれた。最後の100ヤードで行けると思った。それまでは思えなかった」とレースを振り返っている。

 また、引退宣言を撤回し、来年からアメリカに拠点を移して現役続行を決めたデットーリ騎手は「おとぎ話のようなエンディングだね。アスコットは私のホームさ。正直、感極まっているけど幸せな涙だよ」と劇的な勝利の余韻に浸っていた。