【凱旋門賞】今年こそ日本競馬の悲願成就へ“三本の矢”で夢のタイトル射止めろ
2025年10月05日 14:45
【パリ(フランス)4日=藤本真育】“三本の矢”で今年こそ悲願成就-。競馬の世界最高峰、凱旋門賞(G1、芝2400メートル)は、きょう5日夜11時5分(日本時間)にパリロンシャン競馬場で発走する。日本勢は今年のダービー馬クロワデュノール(牡3、斉藤崇)、ビザンチンドリーム(牡4、坂口)、アロヒアリイ(牡3、田中博)が参戦。3頭とも順調に調整をこなし態勢を整えた。力のいる馬場を克服し、世界の強豪を打ち破って、夢のタイトルを射止める。馬券は5日朝7時からインターネットなどで発売される。
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今年こそ-。日本馬の凱旋門賞初挑戦となった69年スピードシンボリ以来、昨年までのべ35頭が挑戦して、2着4回。勝利はまだない。ダービー馬クロワデュノールを送り出す斉藤崇師は、世界最高峰への思いを口にする。
斉藤崇師 世界中の大きなレースのひとつが凱旋門賞。そこにチャレンジしてみたい馬はなかなかいない。もちろん勝ちたいです。
同じパリロンシャンでの前走プランスドランジュ賞時は、師も、北村友騎手も「本来の動きではありませんでした」と振り返る。それでも、勝った。現地で実戦をこなしたことで、状態はグンと良化。動きに切れが出て、日を追うごとに闘志を出し、気合が乗っている。「格段に良くなっています」と鞍上も太鼓判を押すほど。日本勢の“総大将”として、万全の態勢で挑める。
ビザンチンドリームも絶好調だ。今春、サウジアラビアのレッドシーターフHを勝った後、早くから視野に入れていた晴れ舞台。この中間は落ち着き十分で、どっしりと構えている。たたき良化型らしく、快勝した前走フォワ賞から上積みがある。坂口師は「前走を使って、もう1段階、2段階上がっています」と手応えをつかんでいる。世界で活躍する名手マーフィー騎手が継続して手綱を取るのも頼もしい材料だ。
アロヒアリイも前走から、大幅に上昇している。現地の競走馬と行動をともにし、環境にもなじみ、馬体も迫力が出てきた。母の父は、凱旋門賞で2度2着に泣いたオルフェーヴル。祖父の無念を晴らすため、枠順も絶好の4番ゲートに入った。田中博師は「状態は前走よりいいです。枠もいいです」とうなずく。フランス出身のルメール騎手も「チャンスはありますよ」と腕をぶす。
現地での前哨戦をそろって制した3頭の陣営には、それぞれに熱い思いがある。日本競馬界の大きな夢と期待を背負い、今こそ壁を打ち破る時だ。
◆凱旋門賞 フランスで1920年に創設。芝2400メートル路線の世界最高峰レース。調教国別では地元フランスが69勝、英国17勝、アイルランドが8勝で続く。日本は69年スピードシンボリからのべ35頭が参戦し未勝利。99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタ、12、13年オルフェーヴルの2着が最高。