伏兵の激走が目立つ凱旋門賞の狙いどころは?

2017年09月28日 11:30

昨年に続き、今年もシャンティイ競馬場で行われる凱旋門賞。昨年はA.オブライエン厩舎の3頭が上位を独占し、波乱の決着となった。2007年以降の過去10年のデータからレース傾向を探っていく。

 まず表1は性齢別成績。勝ち星は3歳馬・4歳馬に集中しており、なかでも牝馬は過半数の6勝と勝ち切る傾向が強い。3歳牝馬は08年ザルカヴァ、11年デインドリーム、13年トレヴの3勝。出走数10頭以上では連対率・複勝率ともにトップだ。斤量が54.5キロと恵まれている点が大きいのだろう。また、4歳牝馬は12年ソレミア、14年トレヴ、昨年のファウンドと近5年で3勝をあげており、勝率トップで注目だ。

 出走数が多い牡馬勢では、3歳牡馬が一昨年のゴールデンホーンら3勝。ただし、連対率は5.4%と低い。4歳牡馬は07年ディラントーマスの1勝のみ。斤量59.5キロを背負わされる4~6歳牡馬は2着がのべ9回と勝ち切れないケースが目立っている

 続いて表2は人気別成績。1番人気馬は08年ザルカヴァ、09年シーザスターズと2勝も、近7年では勝ち星がない。近2年は3着以内に入っておらず、連対率・複勝率ともに高くない。以下、優勝馬は下位人気まで幅広く分布している

 10番人気以下の勝利は、11年デインドリーム(11番人気)と12年ソレミア(12番人気)。特にデインドリームが勝利した11年は2着に15番人気馬、3着に8番人気馬が激走する大波乱となった。

 昨年はJRA発売の単勝オッズで3番人気だったファウンドが勝利。2着に9番人気ハイランドリール、3着に8番人気オーダーオブセントジョージが入り、3連単38万円を超える波乱となった。昨年のように、2・3着に6番人気以下の伏兵が激走するケースが非常に多い

 表3は前走レース別成績。アイルランドのチャンピオンS組と地元のヴェルメイユ賞組が4勝ずつと勝ち切る傾向が強い。

 チャンピオンS組は一昨年のゴールデンホーン、昨年のファウンドと近2年連続で勝ち馬が出ている。これら勝ち馬4頭はいずれも前走で連対を果たしていた。

 牝馬限定戦のヴェルメイユ賞組も13年・14年連覇のトレヴら4勝。6勝をあげている牝馬でこの組が4勝とチェックしておきたいローテーションだ。

 他ではバーデン大賞組(11年デインドリーム)、キングジョージ組(10年ワークフォース)が1勝ずつ。バーデン大賞組の3着以内馬4頭はいずれも7番人気以下の伏兵だった。この組の激走には注意が必要だ。

 なお、前哨戦ともいえるフォワ賞組、ニエル賞組は勝ち星なし。日本馬で2着に入った10年ナカヤマフェスタ、12年・13年オルフェーヴルはいずれも前走でフォワ賞を使われていた。フォワ賞組は2着、ニエル賞組は3着が多い結果となっている。

 表4は前走着順別成績。前走1着馬が一昨年のゴールデンホーンら過半数の6勝をあげており、勝ち切る傾向が強い。3着以内数でも13回と最も多く、前走1着馬は要チェックだ。

 前走2着・3着だった馬はそれぞれ1勝ずつも、凱旋門賞でも2・3着のケースが目立っている。勝ち馬10頭はすべて前走で5着以内に入っていた。

 なお、前走6着以下から巻き返したのは、昨年2着のハイランドリール(前走愛チャンピオンS7着)のみと苦戦傾向にある。

 表5は調教国別成績。出走数の約半数を占めるフランス調教馬が13年・14年連覇のトレヴら4勝をあげている。シャンティイ開催だった昨年以外は毎年3着以内に入っており、今年は巻き返しなるか注目だ。

 アイルランド調教馬は昨年A.オブライエン厩舎が上位3着までを独占し、躍進が目立った。今年も出走馬を多く揃えており、快進撃が続く場面も十分ありそうだ。

 イギリス調教馬は一昨年のゴールデンホーンら2勝で、複勝率トップ。ゴールデンホーンのJ.ゴスデン厩舎&L.デットーリ騎手が、今回1番人気が予想されるエネイブルで再びタッグを組む。また、少数ながらドイツ調教馬は11年デインドリームが勝利している。

 なお、日本調教馬は勝ち星がないものの、2着3回で連対率ではトップ。凱旋門賞の過去をさかのぼってもヨーロッパ調教馬以外での優勝馬は出ておらず、今回はサトノダイヤモンドが初の快挙に挑む。

 最後に好走馬の特徴として、リピーターが多いことを挙げておきたい。連覇したトレヴだけでなく、07~09年において3年連続2着のユームザイン、12年・13年2着のオルフェーヴル、14年・15年2着のフリントシャーが続けて好走している。