【海外競馬 ニュースまとめ】2018年8月

2018年09月03日 18:00

アルファセントーリがG1レース4連勝

 8月12日に仏ドーヴィル競馬場で行われたG1ジャックルマロワ賞(芝、直線1600m)は単勝1.7倍(JRAでのオッズ。フランスのPMUでは2.2倍)の1番人気に推されたアルファセントーリ(牝3、父マスタークラフツマン)が優勝。これで5月のG1愛1000ギニー(芝8ハロン)、6月の英G1コロネーションS(芝7ハロン213ヤード)、7月の英G1ファルマスS(芝8ハロン)に続いてのG1レース4連勝となった。

 ひと言で言えば、力が違った。レース前には、初めてとなる牡馬相手のレースで、しかもレース4日前の午前中にまとまった雨が降ったこともあって得意とする良馬場が望めないことが不安材料として指摘されていたが、終わってみれば全くの杞憂。スタンド側馬群の2番手追走からあっさりと抜け出すと、仏G1イスパーン賞の勝ち馬レコレトスを全く寄せ付けずに2馬身半差の完勝。力の違いをまざまざと見せつけた。

 何より驚いたのは、その末脚の鋭さだ。フランスギャロの時計計測は何らかの理由で残り600mからのラップタイムが測れていないのだが、フランスの有名な競馬日刊紙『Jour de Galop(ジュールドギャロ)』のデータによると、最後の600mは32秒75で、200mごとでは10秒55→10秒60→11秒60(ただしジュールドギャロは、勝ちタイムはフランスギャロの1分34秒27ではなく、1分34秒60が正しいとしている)。この流れの中での2馬身半差は非常に大きな価値がある。

 なお、ジャックルマロワ賞が今回と同じBON SOUPLEという馬場(10段階中、上から5番目)で行われた直近の例は2011年。当時の勝ちタイムは1分38秒30。今年のレースとの比較では前半1000mが0秒05遅かったが、前が崩れて最後方待機のイモータルヴァースが勝利を手にしていた。

ウィンクスがオセアニア新記録を樹立

 オーストラリアのクリス・ウォーラー厩舎に所属するウィンクス(牝7、父ストリートクライ)が8月18日に豪ニューサウスウェールズ州のランドウィック競馬場で行われたG1ウォリックS(3歳上、芝1400m)に優勝。2015年5月のG3サンシャインコーストギニーから続く連勝を26(全て重賞)まで伸ばして、ブラックキャビア(2006年生まれ)が持っていたオセアニアの連勝記録を更新した。

 4月14日の豪G1クイーンエリザベスS(芝2000m)以来の休み明けであること、距離が守備範囲内ではあるがベストとは言えない1400mであること、そして7歳を迎えたことがウィンクスの懸念材料として挙げられていたが、今回も圧倒的な強さを見せてくれた。

 ウィンクスの最大の武器はその強烈な末脚だが、今回も最終コーナーで大外を回りながら、その上がり600mは出走メンバー中最速の32秒33。特に直線を向いてからの瞬発力は凄まじく、残り400mから200mは10秒48、残り200mからゴールまでは10秒79(最後の50mは流していた)をマーク。ほぼ並んで直線を向いたG1ランドウィックギニーの勝ち馬ケメンタリ(4着)をぐんぐん引き離した走りはさすが。鞍上のH.ボウマン騎手は少し勝てるかどうか心配になった場面があったそうだが、見ている方としては、大きく出遅れて、ゴール前で交わした昨年のこのレースよりははるかに安心して見ることができた。

【オセアニアの連勝記録(サラブレッド、平地)】
26連勝:ウィンクス
25連勝:ブラックキャビア
22連勝:ミスペティ
21連勝:ピクニックインザパーク
19連勝:グローミング、デザートゴールド
18連勝:エイジャックス
17連勝:メインブレース
15連勝:バーンバラ、カーバイン
14連勝:ファーラップ

文:秋山 響(TPC)