ヴァデニが激闘を制す、英G1エクリプスSの栄冠は62年ぶりにフランスへ

2022年07月03日 09:51

 英G1エクリプスステークス(3歳以上、芝10ハロン)が現地2日にサンダウン競馬場で6頭により争われ、2番人気の仏ダービー馬ヴァデニが最後方追走から満を持しての仕掛けで抜け出し、4番人気ミシュリフの追撃を抑え込んだ(クビ差)。

 5番人気のアレンカーが先導したレースは、6頭が3頭ずつの二列隊形で離れず進み、直線の残り3ハロン標識を合図にペースアップ。ヴァデニのC.スミヨン騎手は最後方でじっくりとタイミングを計り、2ハロン標識で大外から一気にスパートしてゴール前の混戦を断った。

 ミシュリフはヴァデニの内で前がふさがり、残り1ハロンから外へ切り替えて急追するも及ばず。さらにアタマ差の3着に4番手から伸びた3番人気ネイティヴトレイルが続き、1番人気のベイブリッジは2番手追走も勝ち馬から約4馬身差の5着に完敗した。

 ヴァデニは前走の仏ダービーを含む重賞3連勝で2度目のG1制覇。フランス調教馬によるエクリプスS勝ちは1960年のジャブロー以来、62年ぶりの快挙で、アガ・カーン殿下の所有馬は2016年のハーザンド(英ダービー)以来となる英国でのG1制覇となった。

 ヴァデニを勝利に導いたスミヨン騎手は「残り2ハロンの小さな上り坂で彼がハミを取って手前を替えたんだ。もう少し待つつもりでいた場所だけど、内のミシュリフが完全に詰まっているのが見えたから『もう待たないぞ』とね」「先頭に立つのに50ヤードか100ヤードか早くなりすぎたけど上手く行ったよ。ゴール前の80ヤードか100ヤードで彼が躓づき数完歩バランスを崩したんだ。ウィリアム(ビュイック騎手=ネイティヴトレイル)のクビひとつ前にいて、外側からも馬が来ているのを感じたから『頼む、あきらめるな、走り続けろ』という感じだったかな」と激闘を振り返っている。

 なお、スミヨン騎手は私見としてヴァデニを10ハロン専門と評価し、次戦はアイリッシュチャンピオンステークスとの見方を示した。