「今年は日本馬が凱旋門賞を制し亡霊が消え去る」「種牡馬オルフェーヴルは価値ある存在」英紙
2025年09月10日 12:46
レーシングポスト電子版は9日、「日本が長年待ち望んでいた凱旋門賞勝ち馬が誕生するかもしれない」という記事を掲載した。血統、生産の視点によるコラム記事で、マーティン・スティーブンス記者(ブラッドストック・ジャーナリスト)は記事の冒頭、「今年は間違いなく、日本馬が凱旋門賞を制し、エルコンドルパサーがモンジューにゴール前で捕まったこと、ディープインパクトがレイルリンクの後ろで力尽きたこと、オルフェーヴルが二度の2着に甘んじたこと、これらの亡霊が消え去るだろう」と書いている。
スティーブンス記者は凱旋門賞へ向け、「欧州の中距離路線は今年、特に牡馬に関しては残念ながらスーパースターがいない」「一方、日本は凱旋門賞に向け、ここ数年で最強のチームがそろっている」と現状を分析し、ビザンチンドリーム、アロヒアリイ、クロワデュノール、シンエンペラーを紹介。そのなかで、「ビザンチンドリームとアロヒアリイの血統を見てみましょう。じつはこの2頭は、純血に近い(長年日本で育んだ血統の)日本産馬です」と2頭の血統を深掘りしている。
ビザンチンドリームについては種牡馬エピファネイアとその産駒の活躍を紹介。母ジャポニカーラがジャングルポケット産駒で、その父がトニービンであること、90年代半ばに日本へ輸入されたラスティックベルから育まれてきた牝系の出身であることを伝えている。アロヒアリイについては父ドゥラメンテがダイナカール、エアグルーヴ、アドマイヤグルーヴという3頭の名牝の血を継いでいること、母の父がオルフェーヴルであること、日本に輸入されたバレークイーンが名牝サンプリンセスの娘であることなどを紹介している。
スティーブンス記者はアロヒアリイの母の父である“種牡馬オルフェーヴル”については、持論を展開。「ドバイワールドカップの英雄ウシュバテソーロ、BCディスタフ覇者マルシュロレーヌ、活躍馬ラッキーライラックなど優れた馬を輩出してきました。しかし、今年は350万円の種付け料で、わずか57頭の牝馬としか交配していません。日本に牝馬を送り出す冒険心のある海外の生産者(ブリーダー)にとって、種牡馬オルフェーヴルは価値ある存在かもしれません」と推している。
また、アロヒアリイを生んだ後、アロヒアリイの母エスポワールが3年連続でコントレイルと交配している点に着目し、コントレイルは良血のディープインパクト産駒であり、「来年以降、凱旋門賞に挑戦するコントレイル産駒が出てくるかもしれない」と予想している。
記事の最後は、英国やアイルランドは2400メートルの距離において優位だったが、「日本競馬はその距離をしっかりと鍛え上げている」という内容で締めくくられている。