【香港スプリント】有力騎手・調教師
2017年12月06日 12:00
ミスタースタニング、ザウィザードオブオズ、アメージングキッズ、ディービーピンと4頭出しの布陣で挑むジョン・サイズ調教師は、オーストラリアのブックメーカーでアナリストとして活動もしていたという異色の経歴。シドニーなどで調教師として実績を積んだ後、01/02シーズンより香港に拠点を移すと、初年度からリーディングを獲得。以来、昨シーズンも含めて合計9度の調教師リーディングの座に立ったほか、昨シーズンは香港での通算1000勝も達成した。03/04シーズンにリバーダンサーがクイーンエリザベス2世カップを勝利して香港での国際G1初勝利。マイル戦での実績が豊富で、エレクトロニックユニコーン、アルマダ、サイトウィナー、グロリアスデイズなどを過去に管理しており、13年の香港マイルもグロリアスデイズで勝利している。
ミスタースタニングに騎乗するのは74年生まれのオーストラリア人ジョッキーのナッシュ・ローウィラー騎手。父キースが障害の騎手、兄弟もみな騎手か調教師という競馬一家で、本人も騎手として89年にヴィクトリア州でデビュー。最初の成功は04年にコンビを組んだエルヴストロームでコーフィールドC、そして翌年のドバイデューティーフリー。07年に拠点をシドニーに移すと、数多くの大レースを制するなどして、以降3度のニューサウスウェールズ州のリーディング騎手となった。14年にはハナズゴールに騎乗してオールエイジドSでの歴史的な勝利に導いた。
ザウィザードオブオズとのコンビで挑むのは、“マジックマン”ことジョアン・モレイラ騎手。ブラジル南部クリチバの産まれで、サンパウロのリーディング騎手となると、シンガポールに転戦し、ここでも数々の新記録を打ち立てながらあっという間にトップに上り詰める。その後、12年の香港インターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ優勝をきっかけに香港へと移籍すると、2シーズン目から毎年最多勝記録を更新しながら3シーズン連続で騎手リーディングを獲得。14年には初騎乗となったドバイワールドカップデーで2勝を挙げて、世界にその名を知らしめた。モーリス、サトノクラウン、ネオリアリズム、ヴィブロスなど日本馬に騎乗して海外の大レースも多く制している。香港スプリントは15年にペニアフォビアで勝利。
ラッキーバブルスを管理するフランシス・ロイ調教師は、香港出身で、香港の騎手アカデミー卒業後、75年から8シーズン騎手として香港で活躍。引退後はトニー・チャン厩舎のアシスタントを経て、1996/97シーズンからライセンスを取得して開業した。2001年にG3シャティントロフィーをシャンクシフォーチュンで勝ち重賞初勝利。また、2005/06シーズンの香港ダービートライアルをハロープリティーで勝利している。今年5月のチェアマンズスプリントプライズをラッキーバブルスが勝利し、待望のG1初制覇を達成。15年12月に開業通算500勝を達成する中堅調教師だ。
ラッキーバブルスに騎乗するのは、つい先日、シュヴァルグランでジャパンカップを勝利したばかりのヒュー・ボウマン騎手。80年、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で生まれ、幼少時代はラグビーに打ち込んでいたが、ティーンエイジャーとなってから騎手の道を目指した。97年に見習い騎手としてデビュー、04年にはデフィアーに騎乗しドゥームベンCを勝ってG1初制覇。ここから快進撃が始まり、4回のシドニー地区リーディング、オーストラリアでの数々の大レース、07年にはシャーガーCで総合優勝など国内外を問わない活躍を続けている。中でもウインクスとのコンビは目下オーストラリアのスポーツ界を代表するものとなっており、さらに、今年は香港でG1を3勝、前出のジャパンCの勝利などもあって、ロンジンワールドベストジョッキーにも選出された。
一昨年の勝ち馬ペニアフォビアを管理するアンソニー・クルーズ調教師は、72年に香港ジョッキークラブの騎手アカデミー第1期生としてデビュー後、96年に騎手を引退するまで6回のリーディングジョッキーのほか、ホワイト騎手に破られるまでの香港における最多勝利数の記録も打ち立てた。引退後は調教師に転身。サイレントウイットネスやブリッシュラックといった国外でも活躍する馬を手がけた。調教師としても2度、リーディング首位となっており、通算勝利数も1100を超えている。香港スプリントは過去に一昨年のほか、サイレントウィットネスでの2回を含めて3度勝利している。
ペニアフォビアに騎乗するマシュー・チャドウィック騎手。90年生まれの生粋の香港人だが、生まれて間もなく孤児となり、引き取られたイギリス系香港人の姓となった。幼少期から乗馬と接し、後に香港ジョッキークラブの騎手アカデミーに入所。オーストラリア・ゴールドコーストでの修行期間を経て、08/09シーズンより香港で騎乗を開始。香港デビュー当日に勝利を挙げると、シーズン途中からの参戦ながら、見習い騎手のシーズン最多勝記録を更新する活躍で、総合リーディングでも4位と華々しいスタートを切った。10年にはカリフォルニアメモリーとのコンビで香港ゴールドカップを勝ち、G1初制覇。さらに翌年、翌々年と同馬とのコンビで香港カップを連覇している。