コラム

Column

【ドバイWCデー:回顧】地元ゴドルフィン勢が圧巻のレース!日本馬はヴィブロスの2着が最高

2018年04月02日 11:45

  • 友だち追加数

 現地3月31日にUAE(アラブ首長国連邦)のメイダン競馬場で、今シーズンのUAE競馬のフィナーレを飾るドバイワールドカップデーが開催された。

 1日に8つのサラブレッドのレース(そのうち5つがG1、残る3つがG2)と1つのピュアアラブのレースが組まれるドバイワールドカップデーは、賞金総額の合計が3000万米ドル(約32億円)で、1日の賞金総額では世界最高を誇るビッグイベント。

 今年はサラブレッドの8競走のうち、6つに日本調教馬が出走。その頭数は過去最高になる14頭を数えたが、今年の主役はUAEの副大統領と首相を兼務するモハメド殿下の競馬組織で、ロイヤルブルーの勝負服をトレードマークとするゴドルフィンだった。

 メインレースにあたるG1ドバイワールドカップ(ダート2000m)は、ゴドルフィンのサンダースノーが2:01:38のコースレコードで優勝。1コーナー手前で先頭に立ち、そのまま逃げ切りに成功した。最後は北米古馬の現役ナンバーワンといわれるウエストコーストに完勝して、昨年7月の仏G1ジャンプラ賞(芝1600m)以来となる3度目のG1制覇を果たした。今年のメイダン競馬場のダートコースは、前哨戦が行われた3月10日にもタイムが速く、逃げた馬に有利な馬場傾向を示しており、この日もその流れが続いていた。サンダースノーの鞍上C.スミヨン騎手は大外10番ゲートの発走もあって、最初は逃げるつもりはなかったようだが、何も積極的にいかないと見て先手を取った判断。勝利を呼び寄せる結果になった。

 日本からは昨年のこのレースで5着に入ったアウォーディーが出走し、2年連続の参戦で前進が期待されたが、6着に終わった。レース後に武豊騎手は、「1番ゲートだったので先行できれば良い形かなと思っていましたけど、なかなか外が速くていけませんでした。そのあとにリカバリーできましたし、去年より状態も良さそうでした。ただ、さすがにドバイワールドカップですから。そう簡単には勝てないですね」とコメント。スタートしてから1コーナーまでに前目のいいポジションを取れず、中団からの追走する苦しい状況で、3コーナー過ぎには先行勢に離されてこのまま後退してもおかしくないところから、直線でも盛り返す意地の走りを見せた。

 日本からサトノクラウン、モズカッチャン、レイデオロの3頭が出走したG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)は出走10頭がすべてゲート内に収まったところで、ホークビルが立ち上がるアクシデントが発生。その影響を受けた隣の枠のサトノクラウンが、ホークビルとともに一旦ゲートの後方に出され、再び2頭が収まってからスタートが切られた。

 レースはスタート仕切り直しの原因を作ったホークビルが先頭に立ち、坦々としたマイペースの逃げに持ち込むと、最後の直線でも余力十分とばかりに後続を突き放して優勝。2016年7月のG1英エクリプスステークス(芝2000m)以来となる2つ目のG1タイトルで、ここもゴドルフィンの所属馬が勝利を手にした。ホークビルは3月10日の前哨戦G2ドバイシティーオブゴールドで、同距離のコースレコード(2:26:85)を樹立しており、これで重賞2連勝。今後は昨年の凱旋門賞馬エネイブル、昨年の欧州最優秀3歳牡馬クラックスマン、折り合いを欠いてこのレースで3着に敗れた同じゴドルフィンのクロスオブスターズなどを相手に欧州のこの路線でどこまで戦えるか、真価を問われることになるだろう。

 日本の3頭は折り合いに専念して馬群の後方で機をうかがったが、前が止まらない展開に泣いて、レイデオロが4着、モズカッチャンが6着、サトノクラウンは7着に敗れた。

 レース後にレイデオロのC.ルメール騎手は「ペースが遅かったので、少し引っかかってしまいました。反応してくれましたが、前が止まらなかったです」とし、モズカッチャンのC.デムーロ騎手も「この馬には距離が少し長いのかなと思いました。道中もスローペースでなかなか動けませんでしたし、厳しい競馬でした」と、両者ともにスローペースを敗因の一つに挙げた。サトノクラウンのJ.モレイラ騎手は「ゲートで隣の馬が立ち上がって、クラウンの方に乗っかろうとしたり、道中も他馬にぶつけられたりして、まったく彼のレースができませんでした」とコメント。こちらはスタート前から半ばレースを壊されることになってしまった。

 G1ドバイターフ(芝1800m)には2016年の覇者リアルスティール、昨年からの連覇を目指すヴィブロス、さらにクロコスミア、ディアドラ、ネオリアリズムの大挙5頭が出走して、日本調教馬による3年連続優勝が期待されたが、勝利したのは、2番手から抜け出したゴドルフィンのベンバトルだった。

 それでも、日本馬も闘志を見せてヴィブロスが馬群の後方から大外を伸びて2着。リアルスティールとディアドラの2頭が同着3着と健闘した。

 ヴィブロスのC.デムーロ騎手は「ここ最近のヴィブロスは日本で力を発揮できていなかったと聞いていましたが、十分にリラックスできていました。前半は抑えて後ろからという調教師の指示でした。馬は頑張りましたが、勝ち馬が強かったです」と勝ったベンバトルを称え、リアルスティールのM.バルザローナ騎手は「いいレースをしましたが、少し力が及びませんでした。まだまだ走れる馬だと思うので、次は頑張って欲しいです」とコメント。ディアドラのC.ルメール騎手は「直線を向いた時は本当に勝てると思いましたし、このコースも合うんでしょうね。でも勝った馬は強かったです」と語った。

 クロコスミア(7着)とネオリアリズム(8着)は上位争いに加わることができず、レース後に、クロコスミアの岩田康誠騎手は「自分のペースでいきましたし、折り合いも付いたと思います。最後もバタっとはきていないです」と話し、ネオリアリズムのJ.モレイラ騎手は「集中しきれていなかったので、良いスタートが切れませんでした。道中も少しかかっていたので、最後も伸びませんでした。テンションが上がっていて、ベストなパフォーマンスを出せなくて残念です」と悔しさをにじませた。

 優勝したベンバトルの優勝タイム1:46:02は2014年にジャスタウェイが優勝した時のレコードタイム1:45:52に次ぐレース史上2番目に速いタイム。G1は初勝利になるが、1月と2月に重賞を連勝し、3月10日のG1ジェベルハッタは出遅れと道中で外を回らされる不利がありながら2着に入った勢いが本物であったことを証明した。今後は6月の英G1プリンスオブウェールズステークス(芝2000m)を目指すことになりそうだ。

 ゴドルフィンは、G1ドバイターフ、G1ドバイシーマクラシック、G1ドバイワールドカップに加えて、芝1200mのG1アルクオーツスプリントをジャングルキャットで優勝。この日に行われたG1競走5つのうち4つを制する大成功となった。

 マテラスカイが挑戦したG1ドバイゴールデンシャヒーン(ダート1200m)は、昨年の覇者でもある米国のマインドユアビスケッツが、今年も後方から切れ味鋭い末脚を繰り出して優勝。このレースの連覇は2001、02年に達成した米国のコーラーワン(2001年はG3)以来2頭目の快挙となった。優勝タイム1:10:12は前哨戦のG3マハブアルシマールでジョーダンスポートがつくった1:10:18を塗り替えるコースレコードだった。前哨戦同様に今回もジョーダンスポート(6着)が逃げて、800m通過のタイムは45.51秒。レコードだった前走の通過タイムをさらに1.12秒上回るもので、最後はこれを追いかけた組には最後厳しくなり、最後方から飛んできたマインドユアビスケッツに展開が味方した。

 マテラスカイは速いペースを3番手で追いかけて5着に健闘。レース後に武豊騎手は「これだけのメンバーでもスピード負けはしませんでした。道中の感じも悪くなかったですし、先手が取れなくても馬は戸惑っていなかったので、悪くない流れだと思っていました。ラストも伸びてくれればと思いましたが、さすがに豪華メンバーが強かったです。それでも、今後が楽しみになる一戦だったと思います」と語った。

 G1以外のレースに出走した日本調教馬では、G2ゴドルフィンマイル(ダート1600m)でアディラートが3着、アキトクレッセントが14着。アディラートは昨年のG2UAEダービーに続く2年連続での遠征で好走を見せた。

 G2UAEダービー(ダート1900m)に挑戦したタイキフェルヴールとルッジェーロはそれぞれ6着と8着。このレースを18馬身1/2差で圧勝した愛国のメンデルスゾーンは、5月5日に米国で行われるG1ケンタッキーダービーに出走予定。同日には英国のG1英2000ギニーにここまで3戦無敗のディープインパクト産駒サクソンウォリアーも出走を予定しており、R.ムーア騎手がどちらを選択するかにも注目したい。

(サラブレッドインフォメーションシステム 伊藤 雅)

ページトップへ