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【香港国際競走現地レポート】香港国際競走、4レースの勢力図と注目馬

2022年12月10日 19:08

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 現地土曜日は日本調教馬14頭のうち12頭が馬場入り。オールウェザートラックで軽めの調整を行った。

 その様子も踏まえたうえで、ここではそれぞれのレースについて、筆者の展望をお届けする。予想ではなく勢力図を整理する感じだが、それが読者の予想に役立てば幸いだ。

□香港ヴァーズ

 日本馬はともに十分なチャンスがあるが、グローリーヴェイズは年齢、ウインマリリンは初海外という課題もある。

 地元勢が強くないうえに強く逃げる馬もいないので、このレース定番の前半スロー→後半延々加速していく形が濃厚。ウインマリリンはキレでは勝負できないので逃げてでも前半の貯金を作ったほうがいい。グローリーヴェイズは過去の成功をベースとしつつ、取れる範囲の前を取れればさらに有利になる。

 外国馬では調教で良く見えるのはブルームなのだが、近況を見ると推しづらい。もともとのフォームの良さで良く見えているだけにも思える。

 個人的にはフランスの2頭、特にボタニクに期待したい。キレるタイプではないが位置も取れるし、ドラール賞は距離などで度外視できる。

□香港スプリント

香港スプリントに出走予定のメイケイエール。(Photo by Tomoya Moriuchi)

 香港勢の強いレース。総大将ウェリントンは前走ジョッキークラブスプリントで敗れているが、タイトルを持ち斤量加増されている馬の前哨戦敗戦は気にする必要がない。逆に上がり馬で前哨戦も勝ったラッキースワイニーズのようなパターンは、香港プールでは過剰人気になることもある。

 日本馬ではナランフレグの追い込みがはまると爽快なレースになるだろう。香港短距離のタイトな馬群を丸田騎手がどう捌くか注目だ。メイケイエールとJ.マクドナルド騎手のコンビも興味深い。テン乗りで大外枠のメイケイエールは普通に考えると買えないが、ロンジンワールドベストジョッキーに輝いた名手があっさり乗りこなす可能性もある。水曜の追い切りは動画でしか見ていないが、問題ない折り合いに思えた。

 香港勢はウェリントンといえども過去の名スプリンターに比べるとやや格落ちの感はあり、そのぶん日本馬にチャンスがある。一方で、3連複や3連単を買うファンは人気薄の香港馬にも目を配りたい。とにかく層が厚いのでデュークワイ、サイトサクセスあたりでも上位食い込みの可能性は十分だ。

□香港マイル

香港マイルに出走予定のシュネルマイスター。(Photo by Tomoya Moriuchi)

 サリオスが除外となって9頭立て。ここは王者ゴールデンシックスティと逃げ残りを狙うカリフォルニアスパングルの一騎討ちだろう。ゴールデンシックスティについては会見で敵陣のZ.パートン騎手からも「香港史上最高の馬」と賛辞が送られたほどだが、地元の記者人気では意外とカリフォルニアスパングルの評価が高い。確かに若さと逃げ脚質は武器になりそうだ。

 シュネルマイスターは2走前にスプリンターズSを使ったが、スタートと序盤の反応を向上させるため、というのが手塚師の会見コメントだった。マイルCSは馬場状態などもあり5着だったが、求めていた反応は得られたとのこと。32秒台までマークしたことのある末脚を繰り出せば、香港の人気2頭に割って入れる。ダノンスコーピオンは状態がよさそうだし頭数が少ないことがレース運びにおいてプラスに働きそうだが、純粋な切れ味勝負になるとやや分が悪いかもしれない。

□香港カップ

香港カップに出走予定のダノンザキッド。(Photo by Toru Arita)

 8番枠から逃げようとするパンサラッサに対し2番枠からジャックドールがどう抵抗するかというところだが、騎手のタイプを考えると序盤で大喧嘩にはならず、パンサラッサをジャックドールがぴったりマークするような形になると読む。

 個人的にはダノンザキッドに期待。枠も悪くないし、ある程度流れて折り合いをつけやすい中で馬が気分よく走ると結果にも繋がってくる。

 地元勢ではなんといってもロマンチックウォリアー。香港プールでは一本かぶりになりそうだ。最近の香港馬は2000mでも強いので、日本馬にとっては強敵になる。

 トゥールビヨンダイヤモンドは相手なりに走れる馬だしH.ボウマン騎手との初コンビも魅力なのだが、枠がだいぶ悪い。ここはカーインスターやマネーキャッチャーと地元馬にも前に行くタイプがいるので、前半が速くなって差し馬の台頭があってもおかしくない。ロシアンエンペラーあたりが候補だろうか。

(取材、文:須田鷹雄)