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【ドバイワールドカップデー回顧】好走馬は多数、アベレージとして日本馬の強さを示す

2024年04月02日 11:55

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 現地時間3月30日、ドバイ、メイダン競馬場。ダート、芝共に良馬場で2024年のドバイワールドカップデーが開催された。

 UAEダービー(G2)に出走を予定していたサトノフェニックスこそ回避となってしまったが、それでも22頭の日本馬が、今年はかの地に集結。そのUAEダービーを制したのはフォーエバーヤング(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)。3~4コーナーでは好位で絶好の手応え。危な気なく勝利し、ケンタッキーダービー(G1)への挑戦権をほぼ掌中に収めた。

 結論から言うと今年の開催で日本馬が優勝したのはこのレースだけで終わった。しかし、各G1レースで好走馬は多数。アベレージとしての日本馬の強さを示す結果にはなった。

無傷5連勝でUAEダービーを制覇したフォーエバーヤング。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 メインのドバイワールドC(G1、ダート2000メートル)は逃げたローレルリバーが後続との差をどんどん広げてゴールイン。ドバイワールドCにありがちな展開となった。

 そんな中、昨年の覇者でもあるウシュバテソーロ(牡7歳、美浦・高木登厩舎)は後方からよく追い上げた。前走のサウジC(G1)ではゴール寸前にかわされたセニョールバスカドールを、今度は差す形で、同馬には雪辱を果たしたものの、ドバイワールドCにありがちな逃げ馬有利の競馬となり2着までが精一杯。見守った高木調教師は「よく追い込んでくれたけど、前が止まりませんでした」と言うと、秋には昨年に続くBCクラシック(G1)に挑戦する意向を示した。

 3着がセニョールバスカドールで4、5、6着に日本のウィルソンテソーロ(牡5歳、美浦・小手川準厩舎)、ドゥラエレーデ(牡4歳、栗東・池添学厩舎)、デルマソトガケ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)が続いた。

 なお、ローレルリバーの勝ち時計は2分2秒31で、2着ウシュバテソーロにつけた差は8馬身半。勝利調教師はB.シーマー師で、同騎手はT.オシェア騎手。

ドバイシーマクラシックを制したレベルスロマンス。(Photo by Getty Images)

 準メインは芝2410メートルが舞台のドバイシーマクラシック(G1)。日本からは昨年の牝馬3冠馬でジャパンC(G1)でもイクイノックスの2着に健闘したリバティアイランド(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)を筆頭にジャスティンパレス(牡5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)、シャフリヤール(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)、スターズオンアース(牝5歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)の4頭が出走。ディープインパクト産駒でイギリスのダービー(G1)やアメリカでBCターフ(G1)勝ちもあるオーギュストロダンとの対戦が、興味をひいた。

 しかし、思わぬ結果が待っていた。道中はかなりのスローペースで流れたが、有力馬のオーギュストロダンやリバティアイランドが後方に控えていたせいか、各ジョッキーとも動くに動けない。スローペースにも関わらず、馬群は縦長となり、4コーナーでは先行した3頭が後続との差を広げて最後の直線へ。結局その差が大きなアドバンテージとなり、前へ行った3頭のうちの2頭で決着。W.ビュイック騎手に操られたレベルスロマンスが2分26秒72の時計で真っ先にゴールに飛び込むと2馬身遅れてシャフリヤールが2着となった。前半後方にいたリバティアイランドは、よく追い上げたものの3着止まり。オーギュストロダンにいたっては終始最後方のまま、何も出来ずに最下位でのゴールとなった。

 2着シャフリヤールのC.デムーロ騎手は「勝ち馬を見ながら一緒に動いたが、少し左へモタれた分、離されてしまいました」と言い、リバティアイランドの中内田調教師は「馬の具合は良かったけど、タフな馬場のせいか日本にいる時のような切れが見られませんでした」と肩を落として語った。

 また、ジャスティンパレスは4着、スターズオンアースは怪我をしてC.ルメール騎手から乗り替わったL.デットーリ騎手が「ずっと右にモタれていた」と首を傾げる走りで8着に沈んだ。

ファクトゥールシュヴァルがナミュールを短アタマ差で退けたドバイターフ。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

 ドバイターフ(G1、芝1800メートル)には一昨年の日本ダービー馬で昨年の有馬記念(G1)勝ち馬でもあるドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)の他、ダノンベルーガ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)、ナミュール(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)、マテンロウスカイ(せん5歳、栗東・松永幹夫厩舎)と計4頭の日本馬が出走した。

 レースは横山典弘騎手にいざなわれたマテンロウスカイの逃げで始まったが、ゴール前は様相が一変。外から追い上げたフランス馬ファクトゥールシュヴァルが一気の差し切り。1分45秒91の時計でゴールイン。更に大外からナミュールが追い上げたが短アタマ差の2着に惜敗した。

 一方注目を集めたドウデュースはスタートで出負けすると、終始後方インの窮屈な位置での競馬。直線入口でも前が壁になる等スムーズな競馬が出来ず。結果5着まで追い上げるにとどまった。武豊騎手は唇を噛んで「残念」と言い、続けた。

「思ったような競馬が出来ず、不完全燃焼で終わってしまいました」

 なお、ダノンベルーガは3着、マテンロウスカイは15着。また、キャットニップが直線で故障を発生し、C.ルメール騎手が落馬をして大怪我。ドバイシーマクラシックのスターズオンアースとドバイワールドCのデルマソトガケはそれぞれL.デットーリ 騎手とO.マーフィー騎手に乗り替わりとなった。

ドバイゴールデンシャヒーンを完勝したタズ。(Photo by Getty Images)

 ドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200メートル)には公営・園田競馬からイグナイター(牡6歳、新子雅司厩舎)の他、ケイアイドリー(牡7歳、栗東・村山明厩舎)、ドンフランキー(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)、リメイク(牡5歳、栗東・新谷功一厩舎)の計4頭が出走。ドンフランキーが快速揃いのアメリカ勢を封じハナを切る形でレースを引っ張った。

 後続もピタリとくっつき決して楽な逃げには見えなかったが、直線を向いてもドンフランキーの逃げ脚は衰えない。唯一すぐ後ろを追放してきたタズが内からかわすと、一気に突き抜け、1分10秒19の時計で2着に6馬身半の差をつけ圧勝。ドンフランキーは2着に粘り込み、リメイク、イグナイターが4、5着、ケイアイドリーは9着に敗れた。

取材・文:平松さとし