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【来年こそは香港へ!~香港競馬観戦ガイド】 第1回:ハッピーバレー競馬場ガイド

2024年12月05日 15:58

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 川田将雅騎手が参加したロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップや、来る日曜に迫った香港国際競走のニュースは日本の競馬ファンにも届いていることでしょう。

 いつかは香港競馬に行ってみたい! と考えている方は多いはず。そんな方々に将来のガイドになるよう、今日から5日間にわたって香港競馬についての情報、主に「旅打ち」の情報をお送りしていきます。この企画を読んで、来年はぜひ香港にいらしてください。

 今回はハッピーバレー(跑馬地)競馬場についてご紹介します。ハッピーバレーは香港を植民地にしたイギリス人が1846年に作った競馬場で、1978年に沙田競馬場ができるまでは香港唯一の競馬場でした。古い競馬場なので自然の地形に制約されたトリッキーなコース形態をしており、ここでの騎乗経験が少ない騎手は苦にすることもあります。

 香港島の繁華街である銅羅湾から徒歩圏内という好立地で、現在は主に水曜日にナイター開催を行っています。沙田が東京競馬場ならハッピーバレーは大井競馬場、というイメージでしょうか。

跑馬地(Happy Valley)行きのトラムに乗ること。(Photo by Takao Suda)

 まずは行き方です。いちばん分かりやすいのは、香港島を東西に走る路面電車=トラムに乗ること。跑馬地(Happy Valley)行きに乗ってください。それ以外のトラムは競馬場には行きません。終点から、公衆席と呼ばれる一般席エリアの入り口まではすぐです。

 このトラムは競馬場の向正面側をずっと回っていくので、非開催日に乗っても、競馬場の中を見ることができます。

ハッピーバレー競馬場のギフトショップ。(Photo by Takao Suda)
大混雑の一般エリア。(Photo by Takao Suda)

 この公衆席エリアに入ってすぐのところにはギフトショップがあり、スタンドに入るとATMや外貨両替窓口(めちゃめちゃレートが悪いのでおすすめしません)もあります。ビールを飲みながら楽しむ現地在住外国人や、馬券に夢中の馬券おやじ達で賑わっていますが、開催日によってはかなり混んでいます。令和以降の日本の競馬場では経験しないレベルの人口密度です。

 この混雑を避けるひとつの方法が、メンバーエリア=会員席に入れるバッジを買うことです(会員席といっても指定席ではなく、エリアです)。メンバーエリアはトラムの降り場からだと数百メートルあるので、こちらに行くときは地下鉄の銅羅湾(コーズウェイベイ)駅から歩いたほうがよいかもしれません。

 「ツーリストバッジ」を買えるのは18歳以上で、パスポートが必要です。スタンド裏手、「E」の入り口がメンバーのエントランスで、その端に売り場があります。詳しくは、こちらをご覧ください。料金は通常開催130HK$(約2340円)、沙田の香港国際競走と香港ダービーデーは190HK$(約3420円)です。

メンバーエリアの入り口。(Photo by Takao Suda)
ツーリストバッジを買える窓口。(Photo by Takao Suda)
メンバーエリアの馬券売り場。(Photo by Takao Suda)

 もうひとつ、日本から指定席を予約していく方法もあります。日本でいう指定席=「席だけ」の選択肢もありますが、指定席付きレストランもあり、はるばる香港まで行くのならそちらを予約してみるのもよいでしょう。予約はHKJCのホームページからできます。

 案内はこちらにありますが、現地の馬券ハイローラープログラム会員限定の席なども表示されるのでご注意ください。豪華さでは、IJC当日我々プレスの食事場所として提供されるステーブルベンドテラスなどもよいのですが、1コーナー側から直線をタテに見る感じなので観戦位置としてはいまひとつです。

ステーブルベンドテラスからの眺め。(入線後)(Photo by Takao Suda)

 ひとつおすすめするとしたら、正面からレースが見られて値段も手ごろな「リーディングエッジ」という席です。食事付きで屋内席245HK$(約4410円)、バルコニー席215HK$(約3870円)なのでお値打ち。もちろんさきほどのリンクからお好みに合う他の施設を選んでいただいてもよいと思います。1か月前からオンライン予約できます。入り口等の案内は、予約時のメールに書いてあります。ある程度英語を解する方(もちろん広東語でも)にはおすすめです。

 冒頭に書いたようにハッピーバレーはトリッキーなコースなので、馬のほうも合う馬・合わない馬があります。また同じクラスでも沙田のほうがややレベルが高くなる傾向があるので、沙田→ハッピーバレーのコース替わりで穴になるような馬を探すと馬券で良いことがあるかもしれません(競馬新聞の入手については後日の回でご紹介します)。

また、開催日によって馬場傾向が変わるような印象もあります。序盤のレースで傾向をつかんで、前残りなのか、差し優勢なのか、馬券の方向性を決めてください。

 しかし、仮に馬券がハズレたとしても、ハッピーバレー独特の雰囲気はお楽しみいただけると思います。向正面に高層マンションが林立していて、その夜景の中で行われる競馬というのは世界じゅうでも珍しいものです。「香港で競馬」となるとどうしても沙田の大レース志向になってしまうかもしれませんが、ハッピーバレーも強くおすすめしておきたいところです。

 最後にもうひとつ。このハッピーバレー競馬場には、競馬博物館(賽馬博物館)があります。開館時間など詳しいことはこちら

 トラムで行くと終点からかなり歩きますので、銅羅湾から行くか、(道が混まない)非開催日ならタクシーでもいいでしょう。香港渡航がハッピーバレーの開催と合わなかった、という方はこの博物館だけでも訪れてみてください。展示物が楽しめるのはもちろん、競馬場の中の様子を伺うこともできますし、ギフトショップもあります。この原稿を読んでいて12/8の沙田に行く、という方は前日に行ってみる手もありますよ。

※1香港ドル=18円で換算

(取材、文:須田鷹雄)